おめでとうございます。
なによりも、諸君たちの元気な顔を見ることができたことに安心をしております。
さて、元旦は全国的に荒れ模様の天候であったようでした。幸い、関東地方だけが元旦の朝、天候に恵まれて初日の出を見ることができました。拙ブログに載せるため太陽の姿を撮影しようと、車で海岸まで出かけました。多くの方々がおられました。だんだんと明るくなってくる時間と共に、歓声も上がります。すばらしい大自然の光景に、感動をしておりました。
波も静かでありました。実に見事なまでに、ひたひたと押し寄せていました。
このような一年でありたいものであります。平常心を失わずに、冷静に、かっとならずに、こころ静かに日常を送りたいものであります。荒い波のような振幅の大きい生き方は永続しません。一時は良いときもあるかもしれません。ひたすら牛歩のごとく、努力したいものであります。
そんなことを初日の出を見ながら考えておりました。
ところが、この同じ日に、また同じ時間帯で、銚子の君ヶ浜では海が違った姿を見せていたのだそうです。銚子在住の方にお聞きしました。ちょっと北の茨城県の海岸では高校生による防波堤での事故もあったと知りました。なんということでありましょう。保護者の方々の哀しみを思うと、ほんとうに安全な生き方をすることについては、何度でも諸君たちに申し上げなくてはならないと考えます。こころからお願いいたします。命だけは、大切にしてください。
そして思ったことは、あまり距離も離れていないのにも関わらず、同じ海が、同じ日の同じ時間帯でどうしてこのように全く違った姿を見せるのでありましょうか。片方の海は、こころ静かに、波穏やかに姿を見せている。別の場所では、波が高い。
非常に不思議な現象であります。自然界のことについてはよくわかりませんが、また理科的には説明がつくのでしょうけれども、まったく門外漢のわたくしには理解できないことでありました。
しかしながら、太陽はわずかな時間に、どんどん上っていきました。あっという間の初日の出撮影でありました。自然のすばらしさを見ながら、「本校のますますの繁栄」「3年生諸君の進路実現」「本校を志願してくださっている中学生のみなさんの健闘」を思いました。
また新しい一年が始まります。3年生は、卒業を、進路実現を目指してください。2年生も1年生も、あと一年、あと二年で今の3年生と同じような心境になることでしょう。ぜひ、立派な成績を残して、立派に進級してください。すべては回り回って、同じような経験をしていくのです。海は海であって、現象的には凪の時もあれば、荒波の時もあります。しかし、海は依然として海であることに間違いはありません。何が本質で、何が枝葉末節なことであるのかをわきまえて行動をしてください。その一つが、否、最も優先されるべきことが、あらゆることに「学ぶ」であります。路傍の石にも、雑草にも学ぶことができます。なぜ、そこに石があるのか。なぜ雑草があるのか。それを考えることもまた学問であります。自己満足せず、けっしてうぬぼれることなく、自己の不完全さを思い、知識のたらざるを憂い、健康体力をより向上させて、自己の人格を鍛えなさいませ。
それが世のため、他者のためになるからであります。期待しています。
最後に新年にふさわしい和歌を紹介しましょう。
のどかにもやがてなりゆく景色かな 昨日の日影今日の春雨
伏見院、玉葉集18番
いまはまだ寒いけど、春は確実に一歩ずつ近づいてくる。だから身を縮めていないで、のびのびしよう。そんな気分にさせてくれるというような意味であります。。
今年がみなさんにとってよい年でありますことを、祈念して始業式の挨拶とさせていただきます。
(平成二十三年 三学期始業式レジュメ 外山日出男)