風・感じるままに

身の回りの出来事と生いたちを綴っています。

〝強きに屈し…〟

2012-06-14 | 社会
8日の野田首相の大飯原発3・4号機“再稼働表明”について記者からコメントを求められた大阪市の橋下市長は、「夏季限定(稼働)で十分に関西府県民の生活は守られる。いきなり国民生活や経済が出てくるのは論理がおかしい」と批判、引き続き今夏だけの再稼働を政府に求めていくと述べた。

これについて、財界の大本である経団連(日本経営者団体連合会)の米倉弘昌会長は13日、野田首相の再稼働表明について「高く評価したい」とのべるとともに、橋下市長がいう「夏季限定」稼働について、「いかに住民や企業に経済性のある電力を安定供給するかを考えるのが首長の責任だ」「原発への不信感を起こさせる発言の根拠を明らかにすべきだ」と述べるとともに「経済活動や事業を全然ご存じない方の発言」と橋下市長のいう「限定再稼働」発言を一蹴した。

野田首相が8日に大飯原発の再稼働表明をした背景に、関西電力や関西財界の脅しに屈した橋下市長も参加する関西広域連合の「限定的」再稼働を容認への「変節」があったことは明らか。滋賀県の嘉田知事が12日、外国特配員協会で講演した際に記者から「(関西広域連合が)再稼働反対の声を過激にあげていたにも拘らず、180度スタンスを変えたのは何故か?」の質問に「(夏場の)電力不足で“停電になったらどうする?” “お前は責任取れるのか?”と関電、国、企業から脅された」と答えている。

嘉田知事だけでなく、再稼働したら「もう民主党をぶっ壊すしかない」と大見得を切っていた橋下市長の「変節」にも多くの市民から厳しい批判が浴びせられた。彼はこれまで、自分に対する「批判」には、相手を〝こてんぱんにやつけるまで〟ツイートしまくっていたのに、再稼働容認後はほとんどツイートしなくなってしまった。今までの彼には考えられないことで、今回の米倉批判にもまったく黙している。

現在、橋下市長は原発再稼働容認への変節とともに、一方で、福祉や教育などの施策488億円の切り捨ての「市政改革プラン」なるものを多くの市民の反対を押し切って強行しようとしている。
既成権力?や強者には批判めいたことを口汚く発信し続けてきた橋下市長の実が人気取りのパホーマンスでしかなかったことがだんだん明らかになってきた。
〝強きに屈して弱者を挫く〟偽りの「改革」に未来はない。

救えたはずの命

2012-06-14 | 社会
先日発表された内閣府の2012年版自殺対策白書によると、昨年1年間の自殺者は3万651人で14年連続で年間3万人を超え、特徴として若い世代で増加しているという。1日80人以上が自殺に追い込まれている痛ましい現実は異常です。

日本の自殺死亡率(人口10万人あたりの自殺者数)24・4は、世界第8位で、アメリカの2倍、イギリスの3倍で、年代別では15~34歳の死因の第1位が自殺となっているのは先進7カ国のなかで日本だけ。また、昨年は、学生・生徒の自殺者数が1割以上も増え、調査開始(1978年)以来初めて千人を超え、特に自殺の原因・動機に「就職失敗」とされる29歳以下の人が150人にものぼっていて、これは5年前の2・5倍になっていると。
 
希望を持って社会へ踏み出そうとする若者を待っている厳しい「就職難」。何百社応募してもなかなか面接にすらたどり着けない、挙句の果てはアルバイトなどの非正規で働かざるをえない現実。日々の生活はもちろん、結婚や子供を産み育てることの希望も持てないを現実。
人生の新たなスタートで挫折し死に追い込まれるような事はあってはならない。「救えるはずの命」が失われない社会をつくることが急がれます。

昨年は東日本大震災直後の4~6月にかけて自殺者数が増加し、白書は、震災後の暮らしの不安が全国的に広がったためと分析しています。国民の暮らしを安定させ、希望のもてる社会にすることが自殺の要因をなくす大前提です。不安定雇用の拡大に歯止めをかけ、長時間・過密労働をなくすこと、大企業による下請けいじめをなくすなど経済社会の大本を変えなければなりません。「介護疲れ」などを生まない社会保障制度の充実も不可欠です。

年間自殺者数が3万人を突破したのは98年。前年に消費税が5%に引き上げられ経済状況が一気に悪化した時期です。いまの経済を一段と深刻にする野田政権の消費税10%への大増税と社会保障改悪の「一体改革」は「生きにくい」社会をいっそう若者にも高齢者にも押し付けるものになるでしょう。