今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

放射線不安の中身

2011年03月21日 | 東日本大震災関連
私のブログにアクセスする多くの人が、政府・マスコミの情報への不満・不信が理由のようだ。
私自身、公的機関から、放射線量の測定情報がちっとも出ないので、自分で測り、それを公表することで、
皆さんのお役に立ちたいと思った。
今は、公的機関でも情報提供体制が整ったので、私の役割はほとんど終った。

なので、私の本職である心理学に戻って、皆さんの「不安・恐怖」を問題にしたい。

起こるかもしれない深刻な放射線被害の恐怖に関しては、私とて同じ。私もずっとこの恐怖心を維持している。
ただこの生起確率は低く、今はさらに低くなる方向にある。
問題は、今現実の自分にふりかかっている放射線量に対する明瞭な不安感。

人は不安になるとどうするか。
フロイトは、人は不安になると、無意識の防衛機制によって不安を解消しようとする、という。
つまり、不安解消行動をとるという。
ならば、放射線不安におののく人は、「この程度の放射線量は心配に及ばない」という政府・マスコミの情報に、積極的に望んで触れることで、不安解消=安心を得ようとする、はずである。

ところが、多くの人は、政府・マスコミのこの情報に接しても不安は解消されず、むしろその情報を信じられなくなった。
政府はもともと信じなかったろうし、いつもは扇情的なマスコミが、今回はその逆の方向になっていることに、何かを隠している、という不信がむしろつのった。

つまり、人々はフロイトの説どおりの行動をしていない。

次に、社会心理学者のフェスティンガーの説を紹介する。
人は、自分の信念と異なる情報に接すると、認知的不協和状態に陥り、不快となるので、
自分の信念と合致する情報の方を好むという(認知的不協和理論)。

つまり、強い不安になると、その不安を安易に否定する情報に接するとかえって不協和(不快)になり、
むしろ自分の不安を正当化してくれる情報(放射線の身の毛のよだつ危険性や、原発事故の破滅的結末)に好んで接する。
そして、だから自分は不安でいて正しいのだ、と認知的な協和状態になる。
つまり人は、自分の信念と事実認識との不協和ほど堪え難いことはないのだ。

人は、不協和をもたらす情報は疑うが、もう一方の自分の信念(放射線に対する知識)を疑うことはしない。
なので、その信念に合致する情報を採用し、合致しない情報を信じない。
これが多くの人の社会心理となっていることを、私はまじまじと味わった。

ちなみに、自分の誤った信念が、実は自分を心理的に苦しめているので、その信念から自由になろう、というのが、
今最も有効視されている「認知行動療法」である。

逃げるならどの方角がいいか:関東

2011年03月20日 | 東日本大震災関連
関東のみの話題で申し訳ないが、
最悪の事態として、15日午前中のように関東に放射性物質が流れ込んだ時の1000倍、すなわち、毎時0.5μSvではなく500μSvクラスの放射性物質が流れてくる場合を考えてみよう。
この値は屋内退避基準にも達しないレベルなのだが、たとえば悪い事態が長期化しそうなのでいっそのこと脱出するとしよう。
くれぐれも、決して事態を悲観してのことではない。むしろ少し余裕ができたがゆえの思考実験のつもり。

どこに逃げるかの判断材料は、その地への空気到達量を規定する、距離風向地形である。ついでに風速も考慮する。
それと敵(拡散する放射線物質)がどの方向に拡がるのかを知ることも大事。これをメインに考えてみたい。

まず距離
距離が2倍になると濃度が1/4に薄くなるから、距離をかせぐのが一番効率がよい。
安全レベルになる地点まで行けばいい。
でも計器がなければ自分で判断できないだろうから、なんら指示の出ていない地域に入ればひと安心。
自力で判断したい人は、ネットで地域のデータを参考に。

次に風向
私がフランスのシミュレーション動画を評価するのは、拡散パターンの実際がよく分かるから。
理論モデルにあるように、風下に向かって扇型に拡散するのではなく、実際は蛇のうねりのように予測が難しい曲線運動をしている。
これは風向のきまぐれな変化のためだ。
ただ、基本は東の太平洋上に流れている。定常的な偏西風の影響による。
ということは、福島原発から空気中に放散された放射線物質は、基本(大部分)は太平洋に出て行くと考えてよい(これはうれしい)。
西風にのりやすいのは、周囲より温度が高い空気として(線香の煙のように)上昇するので、上空の西風域まで届くから。
ただ、ときたま内陸に拡がる。これは地上の風による。
逆に言えば、人の住む内陸側には長時間は居続けない傾向にある。

それと地形のせいもあるが、北と南には拡がりやすい。
冬は北風だから南(関東)に、夏は南風だから北(宮城)に流れやすい。
逆に西(新潟)には流れにくいようだ(間に山がたくさんあるし)。
ただし、地上の分布では、比較的値が高い領域(この3日間同じ)が、第一原発から北西方向にまっすぐ伸びている(図の31,32,33,61,62,63,2)。
これのダイレクトな原因となるはずの”南東風”は存在しない。海風(東風)と地形の相乗効果のためかもしれないが、正確なところは不明。

またシミュレーションでは、濃度の濃い部分が塊状態のままけっこう遠方まで拡がることもわかる(一時的だが)。
これも弱風を前提とした扇型モデルに合わない動きだ。
これは空気の塊が拡散する前に背後の強い風で押し流される現象で、強風がちの時におきる(風には強弱の”息”がある)。
つまり、強風の時は、距離の効果が減ずる。

ということは風速も考慮したほうがよい。
風速は風上の空気が流れてくる速度だから、距離をとりたいなら平均風速以上の速度で逃げる必要がある。

最後に地形
同じ距離でも測定される放射線量が異なるのは地形の要因が大きい。
たとえば、海沿いでは、昼は強い海風が吹くので、海風が原発からの風上と異なる方向であれば、吹き飛ばしてくれそう。
風上と一致すると却って悪い。
シミュレーションで高濃度部分が関東に深く入った時は、メインの南風で関東に入り、それに鹿島灘からの海風が内陸側に押し込んだ感じがする。
風上の原発との間に高い山があれば障壁となって遮られやすいのは誰でもわかるが、フェーン現象のように、山越えの下降流が起きて、障壁効果がおきないこともある。
地形は風向に影響を与えるが、実際どのような地形がどのように風向に影響するかは、複雑な流体力学的現象で難しい。

あまり参考になることを言えなかったのが残念。

コメントについて:お読みください

2011年03月20日 | 東日本大震災関連
コメントをいただけるのは基本的にはありがたいのですが、
以下のコメントについては、対応する余裕がないので、
今後は掲載もせず、返答もしないということにいたします(また消去することもあります)。
あしからず。
1.記事に関係ない方向への議論
2.最近の記事を読んでもらえれば書いてあることや初歩的すぎる質問。
3.揚げ足取りや粘着的なコメント
せっかくネットを使っているのですから、ご不明な点は検索でお調べください。

逆にありがたいのは、情報提供です。
現地情報、リンク情報など。
放射線関係の計測サイトは、自分で探しています(いいのが見つかったのでもうすぐアップします)。

励まし、ちょっとした感想などは、いただけるだけで励みになります。


21日の雨と放射線:安全アドバイス

2011年03月20日 | 東日本大震災関連
今夕から日本の南岸に前線を伴った低気圧が通る。
すなわち、雨になる。
原発事故から一週間、関東では雨がなかった。
なのでその間(特に15日)に飛んできた放射線物質が地表に蓄積している。
17日の計測では、地表は空気中の4倍の量を示した。

私のブログの読者なら、もうとっくに家の前の水まきはすんでいるだろうが、
今晩からの雨が、地表にたまった放射性物質を希釈して流してくれる。
それはいいニュースなのだが、ちょっと問題もある。

風は低気圧向かって反時計回りに入り込む。
なので、通過中のある期間、関東にとって、福島原発が風上になる。
気象庁の予報によると、たとえば東京では、明日21日の午前6時から午後6時くらいまで、北ないし北北東の風となる。
この期間、大気中の放射線濃度が高まり、それが雨滴にまじって落ちてくると考えられる。
どのくらい濃度が高まるのかは、その頃の原発の状態による。
きちんと定量的に判断したい人は、風向と実況に近い測定値をチェックしてほしい
(私のガイガーカウンタは防水でないので雨滴の計測はできない)。

ということで、当たり前だが、雨に濡れないほうがいい(あえて濡れようとする人はいまい)。
もし濡れたら、シャワーの湯で洗い落とす。

ただしこれは安全基準によるアドバイスなので、雨に濡れると危険(傷害に至る)を意味するのではない。

安全基準:健康のためには朝食を摂った方がいいが、それはただちに朝食を摂らないと危険であることを意味しない。

15日のセシウム137関東拡散の再現動画

2011年03月20日 | 東日本大震災関連
福島原発の事故も、現場での英雄的な活動のおかげで、曙光が見えてきた。
私も過去を振り返る余裕がでてきた。
フランスのIRSN(放射線防護原子力安全研究所)による、ここ数日の福島原発からの放射線物質セシウム137の拡散をシミュレートした動画を紹介する。
オリジナル:上の小さいのは静止画、ページの下にいくと動画
Youtube:上と同じ動画
これを見ると、東の太平洋に拡がっていた拡散域が、15日午前中に風向きがかわって南下し、東京を含む関東全般に濃い濃度域が拡がった。
その時、私は名古屋にいたので、自分では計測できず、忸怩たる思いで、東京日野の常時観測サイトを開いていた。
すると、そこの放射線量がぐんぐん上昇していき、青ざめた。
16日以降の名古屋での予定をすべてキャンセルして、16日に帰京する決心をしたほどだ(東京にいたら、”一家ごと名古屋へ避難”が頭をよぎったろう)。

その時、東京新宿区での最高値は瞬間的に500nSv/hr(0.5μSv/hr)に達した(平常値は40nSv/hr)。
0.5μSv/hrなので値としてはたいしたこないが(湯の島ラジウム温泉の浴室内と同じ)、
急激な増加率にあせったわけ。このままどんどん上昇していくのかと。
心配を胸に仕事(卒業式)に出て、戻ってチェックしたら、昼にはぐっと減少していたので安心した。

この時が瞬間最高値で、今の東京は平常値レベル。
茨城や栃木はこの時もっと高い値になった。
私の「リンク集」内の文科省の経時グラフで確認してほしい(もうじき範囲外になるので今のうち)。

ニューヨークタイムズに出た福島原発の放射線の”値”

2011年03月19日 | 東日本大震災関連
海外に住む姉からの情報で、
ニューヨークタイムズで福島原発周辺の放射線量が地図と深刻な解説つきで載っているという(ニューヨークタイムズアジア太平洋版3/17)。
この情報をもとにCNNの記者たちが90kmの外に避難したらしい。
ただ、記事を読むと、この地図に分布している恐ろしい値(100rem=1Sv)は、モデルに基づく推定値であって、実測値ではない。
日本側が、昨日まで周辺一帯の実測値を公表しなかったためでもあるが、
この推定値が、実測値と誤解されて、世界中に拡がる前にここに紹介しておく。

暫定規準値を上回る放射線量の農産物

2011年03月19日 | 東日本大震災関連
福島と茨城の農畜産物から暫定規準値を上回る量の放射線が検出された。
数値(Bq)をみると、福島は、むべなるかな。茨城は、残念という感じ。
(野菜なら洗えばすむのだが)

もちろん、「安全」基準と「危険」基準との間にはかなりの開きがあり、
安全基準を多少上回っても、ちっとも危険ではないというのが放射線基準の一般則であるのは、
もう皆さん(頭では)ご理解済みだと信じるが(テレビでもきちんと解説されているし)、
なら、気にせず食べよう、という気になれないのは、私とて同じ(選択肢が他にあればなおさら)。

すなわち、こと食べ物に関しては、私自身も、定量的・客観的判断より、感覚・イメージに影響されてしまう。
放射線については、計測値と安全性の関係を客観的に論じることができても、
いざ食べ物となると、たとえばトイレで手を洗わなかった人が作った料理や、
その人の汗や唾液がしたたり落ちた料理は、いくら客観的には「健康を害することはない」と分かっていても、
食べる気をなくす。
つまり「誤解」ではないので、いくら理論的に安全性を強調されても無理。
だからこの問題については、計測値の細かい評価をして踏ん張るのはあきらめる。

ただ、今までの立場を貫いて言えば、
野菜に関しては露地物とハウス物とでは、浴びる放射線量がまったく異なるだろうし、
同じ茨城県でも地域によって、飛散した放射性物質量がだいぶ異なるので、
「県」レベルで判断されるのはどうかと思う。

17日の計測結果のコメントで、栃木の食品は控えたほうがいいかという質問に対して、私がけっこう強く反駁したのは、
一部の地点で値が高かったからといって、県全体が拒否されることへの不合理(しかも自分の計測のせい)を感じたからである。
ただ私の回答がまったく説得力をもたないのはわかっていた。
食べ物の問題だから。

上の問題は、出荷がしっかりコントロールされればなんとかなるだろう。
つまり、基準を上回っていた地域からは、たとえ値が正常でも最初から出荷停止を明言し、
安全な地域(たとえば、福島なら会津・南会津)だけの、「福島」産、「茨城」産にする。
あるいは県名よりも具体的な生産地名も付加した方が互いに都合がいい。

集団的パニックが起きる要因はすでに研究済みである。
その第一は、皆が求める情報がきちんと得られない場合である。

17日の宇都宮線沿線の計測情報の価値

2011年03月19日 | お仕事
もう古いので価値は無い
情報は時間とともに価値を減じていくもの(特に放射線情報の”半減期”は短い)。
忘れて結構。
「リンク集」記事内の栃木県による県内各地の観測情報のサイトをリンクしたので、
今後は、そちらを見てほしい。
ただ、いろいろコメントをいただいたので、記事は記念に残しておく。
黒磯の方にご迷惑をかけないことを祈るのみ。

無責任な海外報道に惑わされないように

2011年03月19日 | 東日本大震災関連
海外では、東京かが一斉に避難しているとか、逆に東京の人が平然としているのは危機判断ができないためとか、
いいがけんな報道がまかり通っているようだ
(私自身、ここ最近は娯楽にしていた”2ちゃん”をまったく見なくなった。正確な情報しか意味がないから)。
福島の原発事故でなんで東京がパニックになる必要があるのか、地理がわからないのだろう。

われわれは、放射線の現状を数値で判断し、事故の今後の可能性を推定し、被害の程度と及ぶ範囲を推定するべき。
まずは、福島・関東各地の計測値をチェックする(下の記事のリンク欄で)。

とにかく10μSv/hr以下なら、いくつか厳しい基準は上回るものの、そこで1年間生活しても健康上問題ない。
そうでない場所が福島県内にあるが、それらはすでに屋内退避以上の措置がなされている。

0.1μSv/hrに達しない南関東は無関係と決め込んでいい。
だって、今の東京の数値は、東海・北陸では日常値以下だもの(現地の人は知らないだろうけど)。
しかも昨日よりもさらに数値がさがっている。
洗濯物や蒲団を干してまったく問題ない
(ていうか、明日のことはわからなとすれば、今干した方がいい)。

だから南関東の人は、愚かな買いだめに走らないこと
(自分で自分たちの生活を苦しめているから愚か)。
本来なら、東北の被災地に供出すべき立場でしょ。

自分は遠くにいて無責任に危機を煽るだけの言説は信用しないこと。
信用するのは、とにかく客観的な測定値。
これを根拠にしない空想による議論は無視してよい。

ただし、これらは”今”の事。
”今後”の動向を注視すべきなのはいうまでもない。
それも、つねに放射線量の変化をもとに判断すべきだ。
だから、数値のモニターを常にチェックすることが大事。

ただ、値がわかっても判断できないという人が多いのもわかる。
ものすごく単純に示すと 1から1000までの幅をもつ単位レベルで

1μSv/hr未満(=nSv/hr):日常域。 私のブログではnSv/hrで数値表現している。
1μSv/hr以上:非日常域(異常域)。 データ的な異常値であって、人に異状を与えるという意味ではない。外出可だが警戒は必要。
1mSv/h以上:危険域。”危険”というのは、傷害が発生する事態に至る危険性があるということ。だからこの段階では短時間作業にとどめる(もちろん防護服着用が望ましい)。
1Sv/hr以上:傷害域。 実質的なダメージをこうむる段階。当然立ち入り禁止。

そもそもSv(シーベルト)というのは、このような健康判断のために作られた(純粋な物理量ではない)。
だから、1とか5とか切りのいい数値を基準に使えるわけ。
1から1000までの幅を1つの段階にまとめているので、少々無理があるが(もっと細かい方が望ましい)、一番簡単な分類基準にしてほしい。

もちろん、放射線量を常時計測している私が、自分の判断で皆さんに以下のメッセージを発することがある(ただし対象は都内に限定)。
準備情報:なんらかの行動準備。特定の物品を準備しておくようにとか
行動情報:洗浄、屋内退避(外出禁止ではない)のすすめなど。さらに屋内退避でいいのか家を出て避難すべきかもデータ(気象条件なども含め)を駆使して考えたい。

ラドン濃度測定開始:更新

2011年03月18日 | 東日本大震災関連
二日前に名古屋宅からもってきた空気中のラドン濃度測定器の値が出始めた。
東海・東南海地震に備えるつもりで名古屋宅に置いておいたのに…まさか東京で使うことになるとは。

して、その値は、
3月18日16:00 21 Bq/m3(立方メートル)
単位の Bq(ベクレル)は(単位空間当りの)1秒間の原子崩壊数を示す物理量であって(詳しく知りたい人はググって)、
Sv(シーベルト)のような人体の健康被害用に計算された数値(有害紫外線指標のUVindexも同じ)とは別種。

持参直前の名古屋宅では50Bqだったので、21という値は、名古屋の半分以下。
(Bqはいつも単位空間あたりの数値なので今後は「/m3(立方メートル)」は省略する)。
実は東京に持ってきたのは2回目で、前回の3月はよりは2倍の値になっている。
これはガイガーカウンターでの傾向と一致。
というのもラドン測定器は、他の放射線もノイズとしてひろってしまうから。
つまり、意に反して、放射線量の測定器にもなってしまう。
ただし数値は、一週間分の平均値(移動平均)で更新間隔も1時間なので、ガイガーほど変化に敏感でない。
その代わり雑多なノイズを除去した正しいトレンドがわかる。

ラドンは地中から出るガスまたは地下水に溶けた状態での放射線物質(翼竜型の怪獣”ラドン”はその具象化)。
年間変動し、気圧や気温、部屋の密閉状態でも変動する(室内>屋外)。
そのほかに、地震に先立つ断層の部分破壊が始まると、ラドンガスが地中から多量に出て、数値を桁外れにあげるという。
それが地震予知につながるという主張がある。
ただし、実際の観察数が少ないので実証はされていない(該当例として兵庫県南部地震がある)。

つまり、このラドン測定器は、空気中の放射線量の測定が目的ではなく、”地震予知”の目的で作動させているわけ。
ただし測定場所は震源の近くでないとだめ。

東京に関して言えば、震源が遠い茨城沖などの(今回のような)プレート境界型の地震には向かず、
東京湾北部を震源とする東京直下型地震なら使えそう。
せっかくなので、この測定値も必要があれば、公表する。

ちなみに、ガイガーカウンターによる放射線量は、
16:30 室内 60-130nSv/hr。   200nSv/hrに達していた昨日よりかなり下った。良い傾向だ。
22:00 室内 70-140nSv/hr 18Bq

放射線:私への質問の前に知ってほしいこと

2011年03月18日 | 東日本大震災関連
私のブログに放射線に対する質問が相次いで来る。
東京宅や栃木など自分が測ったものについては責任をもって回答するが、
一般論については、ご自身でまずは情報をゲットしてほしい。

今後のコメントについては、この方針でいく(感想・励まし・情報提供は歓迎)。
それから、コメントはハンドルネームでいいから名乗ってほしい。
私も氏名を明かして記事を書いているのだから、それが礼儀でしょ(フェイスブック文化はその点で好ましい)。

また、私の態度、とりわけnSv/hrレベルの値に対してやけに楽観的なのが腑に落ちない人もいよう。

皆さんに読んでほしいものを過去の私自身のブログ記事の中から、探すと、
まずはおすすめの本『放射線と健康』を紹介した記事。せっかくの機会だから、連休中はこの本を読んで欲しい。ラドンのことも書いてあるよ。

それから、私がなぜガイガーカウンターを持っているのか。その理由はここ

あと、放射線に対する基本的考え方について。
もちろん、深刻な放射線被曝については差がないのだが、
身体に支障のない低線量域については3種の考え方あることも知ってほしい。
これは大事なポイントだからここで紹介する。

一番メジャーで、おそらく皆さんも準拠しているのは、
浴びる放射線は0であるほどよいという単純な「直線モデル」
直線モデルは、放射線防御の指針であり、マスコミにもやっと登場したさまざまな基準値はこのモデルによっている。
ただ、このモデルの欠点は、低線量域では科学的根拠がないこと。
すなわち、本当は安全なのに、ちょっと値が増えただけで危機をあおってしまう要素がある。

実際のデータに近いのは、一定水準以下の線量は影響がないという「しきい値モデル」と
一定水準以下の線量はかえって耐性を増進して健康に良いという「ホルミシスモデル」。

実際の動物実験や高濃度地域に居住する住民の健康調査によれば、
ホルミシスモデルの方が説得力があるようだ。

これらも先に紹介した本に、中立的な立場で紹介されている。
私がどの立場であるかは、私のブログの長年の読者ならご存知のはず。

黒磯で計測値が高かった理由を考える

2011年03月18日 | 東日本大震災関連
昨日の宇都宮沿線の放射線計測で黒磯が異常に高い値を示した理由を考えたい。
※18日夜の白河で2.5μSv/hrという結果が出た。黒磯の 9.5μSv/hrという昨日の計測値は、自分で測りながら、ますます納得できない。

結論から言うと、理由はわからない。

まず私が計測した場所は、黒磯駅の出入り口前のロータリーの左側(駅出入り口からみて)、木のベンチが数個ある所。
そこで数回、毎回リセットして測定した(機械による誤差をなくした)。
そのいずれも 9μSv/hrから10μSv/hrの範囲。
あちこち移動して測ってはいないので、私が立った場所だけが何かの理由で高い可能性はある。
ただ、駅の電車内でも1μSv/hr以上あったので、もともとそれなりに高いのは確か(この値は、那須塩原の値とくらべて不思議ではない)。

地点の放射線量を規定する要因として、放射線源からの距離以外には、風向と地形と地盤が考えられる。

風向は、黒磯にはアメダスの観測点があるので、気象庁の記録でわかる。
私が現地で雲の流れを実測しても、北西風だった。
当時の福島県内の風向から、原発の空気が一旦会津地方をまわって、北西から黒磯に入る、というパターンにはなっていない。
夜間には福島南部は時計回りの風の循環傾向があるようで、太平洋側の空気が白河など南端部にめぐってくる場合があるが、
日中にはそのような流れはない。

地形としては、東に八溝山北麓に戸中峠が開いていて、黒磯と棚倉などの東白河郡との空気のやりとりが可能。
ただそこから更に放射線源の原発までは幾重もの山を超える。つまり地形的にストレートに両者はつながっていない。

地盤としては、東海地方以西のように花崗岩質だと、地中から放射線が定常的に出ている(自然放射線なのでたいした値ではない)。
人形峠ならいざしらず、ウラン鉱石が駅前の地中にあるはずもない。黒磯駅付近にラジウムやラドンによる放射能泉があることもきかない。

※白河の鈴木さんの情報で、福島県の石川には放射能泉(母畑温泉)と鉱山跡があるという。石川の空気が入り込む可能性は地形的にはあるが、そもそも石川がすごい高濃度でない限り無理。空気よりは土壌・鉱石の運搬の方がわかる。

それ以外として、無理に考えると、
たとえば、放射線を多量に浴びた何かおおきな物体が、駅前にしばらく停留していて、
その直後に私が計測したとか。
私が駅舎から出る時、計測地点近くには、西那須野行きの路線バスが停まっていた。
福島県内への路線でもなく、那須塩原より値が低そうな西那須野と往復するバスなら、そのせいとはいえない。

かくして、私には理由が分からない次第。

風評被害を出さないためにも、信頼できる筋の再測定をお願いしたい。

外壁・網戸にも付着:安全アドバイス

2011年03月18日 | 東日本大震災関連
放射性物質は、家屋の外壁や網戸にも付着している。
今朝、窓を開けて外気を計測しようと、ガイガーカウンターを網戸にほぼ接触させたら(密着は計測に好ましくない)、
一気に100nSv/hr上昇し、別の場所に移したら元の値に戻った。
100nSv/hr上昇というのは、東京では倍増レベル。
晴天続きのため、地上ほどではないが、網戸に今までの放射性物質が付着していたためだ。

屋内退避地域の人は、外壁や網戸などには素手で触れない、触れたら手を丁寧に洗うように。
それよりやや外側の人(たとえば白河や黒磯まで)の人は、
ドアノブ・新聞受けなど手を触れそうな場所を今のうちに水をかけて流しておくとよい。

さらに外側の南関東などでは、過敏になる必要はないが、あえて素手でベタベタさわるのはおすすめしない。
洗浄しておくにこしたことはない。

同様に、植木の土も素手でさわらないように(使い捨てのビニール手袋をつける)。

※以上は、安全への予防的アドバイスであって、危険の警告ではない。
すなわち、外壁などに触れると被曝するということではない。
さらに畑の作物が汚染されていることを意味するのではない。
何度も言うが、安全のラインと、危険・傷害のラインとの間には大きな開きがある。
「健康のため、朝食を毎日しっかり摂りましょうという」というアドバイスは、
朝食を一回摂り忘れると、ただちに疾病を引き起すことを意味しないのと同じ。

たとえば、たかだが100nSv/hrごとき上昇しても実はまったく問題ない。
ただ、放射性物質が付着している事実を伝えたかった。

私のブログでも”アドバイス”と”警告”を明確に区別することにする。
みなさんもアドバイスによって不安や恐怖を感じないでほしい。

不確実な未来に翻弄されずに、今を確実に対処しよう

2011年03月18日 | 東日本大震災関連
予期不安と危機回避とは別物。
予期不安は自分の心の中で危機を増大させ、勝手にパニックに陥り、不適応行動に走ってますます自分を窮地に追いやる。不確実な未来(の想像)に翻弄されている。
今の買いだめ、買い占め行動がそれ。
理性のかけらもない、我執に支配されている。結局自分がバカを見るだけでなく、他人、特に被災者の生死にも悪影響を及ぼす。

危機回避とは、冷静に現状を分析し、それを元に最適行動を導き出すこと。
不安や恐怖が行動原理になっていない。
ただし危機を生き抜きぬいてみせる貪欲さ、タフさが源。

自分が今何をすべきかは、予期不安(原発事故の破滅的結末)ではなく、現状(実際の放射線量の評価)に準拠しよう。
今日、3月18日がヤマになりそうだ。

宇都宮沿線の放射線量計測結果のまとめ:表の一部修正

2011年03月17日 | 東日本大震災関連
3月17日に実施した宇都宮線沿線の放射線計測(実況的詳細は以前の記事参照)結果をまとめてみる。
屋外で計測した地点(駅)の値(nSv/hr)と福島第一原発からの直線距離との関係を表にした
(表の単位はn(ナノ)Sv/hr。μSv/hrに直すなら、9500nSv/hrは、9.5μSv/hr)。
「那須塩原」は新幹線ホームでは2000を超えた数値も出したので、もっと高い値かもしれない。


地点の放射線量は、理論的には距離の自乗に反比例する(拡散面が拡大して密度が減少するため)。
2倍遠ければ、量は1/4に減る。
なので距離が遠いほど、値が下るのは当然。
逆にいえば、距離が半分になると量は4倍になる計算。
でも距離200kmの大宮と、距離100kmの那須塩原の差は10倍になっているし、
黒磯は那須塩原と原発に5キロ近い(5%の接近)だけなのに、不自然な上昇率。

黒磯>那須塩原>宇都宮以遠 のそれぞれの不等号は、直線距離以外の要因がはたらいているようだ。
まず、実際の拡散は、直線移動ではなく、風によって運ばれるので、風の流線に沿う。つまり曲線に移動する。
たとえば山地は迂回され、盆地などでは合流する。
ただ黒磯の風向は、アメダスで確認すると、12:00-13:00は北北西で、原発が風上ではない。

風以外の要因としては、地表面からの放射線の影響である。
なにしろ、地表面からは空気中の4倍以上の値が検出された。
黒磯の地表を測定しなかったのが悔やまれる。

とにかく、理由は不明だが黒磯の値は、群を抜いて高い。
私のガイガーカウンターでは歴代第1位を記録した。
それまでのトップは秋田の玉川温泉のとある岩盤の7200nSv/hr。
岩盤は地表面だが、トップになった今回は空気中。
10000nSv/hr=10μSv/hrは年間安全値の単位時間での上限11.4μSv/hrに近い。
つまり、安全圏内ではあるが、アップアップだ。

私が行きたかった福島の白河は、まさか那須塩原→黒磯の増分の延長上にはないと思うが、
黒磯より低いという可能性は低い(原発との直線距離は20km短い)。
黒磯と同じでも地表面は 40μSv/hrに達している可能性が高い。
今日は雪という。
地表の放射性物質は覆ってくれても、雪自体が新たな放射線物質を運んでいる。

※黒磯の住民の方は、この値をみてご心配になると思います。私以外の他のどなたかに、もっと時間をかけて計測を依頼されるのを期待します。あるいは放射線の測定ができる方でどなたか黒磯に赴いていただければ幸いです。