耳ダンボ

2015-07-19 21:01:59 |  東北 花の山旅+α
7月5日(日) 昼食

14時、参道入口の駐車場に帰着し、遅い昼食を食べるべくお店を物色。
すぐ近くの小さな食堂で蕎麦を食べることにした。
一つだけ空いてた席の隣では、ファミリーが和やかに食後のかき氷を食べていた。
若いお父さんとお母さんと小さな女の子。
日曜の午後の少しお疲れ感が漂っている。

私の注文した蕎麦がやってきて食べ始めた。
食べるのに手と口は忙しかったが、耳は暇してたので隣から聞こえてくる会話にどうしても気がいく。
ありふれた会話だがちょっとハラハラドキドキする展開と、女の子の受け答えが可愛らしかったので、途中からしっかり聞いてしまった。
以下、最後以外は耳からだけの情報。

母 「今日はもうサクランボ食べに行くのやめとこうか。」
子 「えー、なんで?」
母 「お腹いっぱいで食べられないでしょ。」
子 「サクランボ食べられるよ。山形に来たらサクランボ食べるんでしょ。」
母 〈してやられた感じで〉 「そうだったねー。」
子 「サクランボ食べようよ。山形のサクランボは他と違うんでしょ?」
私 (そう教えて連れてきたんならお母さん、連れて行かないとね。

父 「お父さん寝とくから、二人で行ってくるんならいいよ。」
母 「来る時運転したのは私なのに、どういう事かな。」
子 「?」
 〈母と父で小声でやりとり、よく聞こえない。父は面倒い事をしたく無さげ。母の声、少しイライラ。〉
母 「お父さんお疲れみたいね。」
子 〈自分がなにか悪いことをしたと思ったのか心配そうに〉 「怒ってる?」
母 「怒ってないよ。」
私 (大丈夫、お母さんはお父さんに怒ってるんだよ。

母 〈目を付けていたサクランボ農園に携帯電話で確認を入れる。が、すでにサクランボ狩りの時期を終えてしまっていたらしい。〉
母 「サクランボ狩りもう終わっちゃったんだって。」
子 「えー、サクランボ食べられらないの?」
私 (そうか、もう7月だもんな。
母 「大丈夫、お母さんがなんとかするからね。」
母 〈携帯で観光案内所と思われる所に電話し、まだサクランボ狩りができる施設がないか問い合わせる。〉
子 〈緊張感漂う空気の中、何を思うのか無言。〉
母 〈まだ営業してる所があったらしく、当該施設に電話し営業時間、期間など必要事項を淀みなく確認する。〉
私 (お母さん、やるじゃない。

母 「サクランボ食べられるけど、今日はもう遅いからやめとこうか。明日か明後日食べに行こう。」
私 (おや、そちらも夏休みですか。明日、明後日があってよかった。
母 「今日はこれから海に行って遊ぼうか。」
私 (この後食べれなくて、泣くのかな、騒ぐかな。
子 〈一生懸命〉 「うん、海に行く。海で遊ぶ。」
私 (あら、なんて聞き分けのいい。
母 「じゃあ行こうか。」

私 〈みんなで会計に立つ後ろ姿を追う。〉
子 〈手をつなぐ父を見上げ、なんでか沈んでしまった雰囲気を盛り上げようと、海で遊ぶの楽しいよ、どんなことして遊ぼうか、きっと楽しいよ、と話しかける。〉
私 (健気だなあ。家族の仲を取り持つ愛だな。幼いのにできた子だ。
お父さん、大事に育ててあげてください。

<これは食べれないサクランボ>