コノシロ・小肌(コハダ)・新子(シンコ)
【語源】
コノシロの語源は、かつて、飯の代わりになるほど大量に獲れた事
から由来しています。
「飯(コ)」、「代(シロ)」で「飯代魚」となったと言わます。
とても解りやすい名前なのですが、これが後の世に思いもかけない
難癖を付けられることになります。
コノシロを食うは「この城を食う」とされ、縁起が悪い。
ましてや「この城を焼く」など言語道断。「武士は食べてはならぬ」
と言うお達しで、禁止されました。
また、コノシロを焼くと死人を焼く臭いがすると言われたり、
切腹の作法として、最後に与えられる魚がコノシロの塩焼だったとか
・・・・・。
そこで付いた名前が「切腹魚」。また、傷むとすぐに腹が切れるから
と「腹切魚」・・・。最悪の魚ですね~
コハダのにぎり寿司
シンコのにぎり
ところが、縁起良しとする話もあります。
コノシロを「児の代」または「娘の代」と表記することがあります。
これは幼子、娘の代役という意味です。出産児のあるいは今で言う
入学時の健康を祈って、コノシロを地中に埋める風習があったとか。
また現代でも、正月の祝い膳にはコハダの粟漬けは欠かせません。
メデタイのか?・・不吉なのか~?良くわからないお魚ですね~
コハダの酢漬け
【旬】
祝い事や正月のおせち料理に欠かせないのが「コハダ漬」で、
江戸前鮨には、なくてはならない一品です。
需要もこの時季が一番。
産卵期は春から初夏にかけて・・・・
よって旬は、晩秋から初春と言えるでしょう。
しかし、最も需要の多い時季を鑑み、旬を冬としましょう。
但し・・・・「シンコ」の旬は春~夏です。
【うんちく】
コノシロは出世魚としても知られます。
値段は大きさに伴わず、小さい方が高値がつく事が多い、珍しい魚
です。
東京・神奈川では、小さいものから順に「シンコ」 「コハダ」
「ナカズミ」 「コノシロ」と呼び方がかわって行きます。
しかし、その大きさの基準はあるようでなく、目安としては握り鮨
一カンに使う量によって区別されています。
2尾付けまでがシンコ。この時の大きさは6~7cmまで。
コハダは一貫、半身付けで12cmまで。ナカズミは一貫、半身付けで
15~16cm位。コノシロは握りには使わず17cm以上、と言った感じ
です。
シンコの酢〆
ところで驚きなのはその値段です。
早春生まれのシンコは走りの時期の5月頃には1k当たり数万円と
いう信じがたい高値が付く事もあります。
これは、初物をにぎり鮨にするため、引き合いが強いからです。
もっとも、これは東京だけの相場。
それが季節の移ろいと成長に伴い値段は急激に下がり続け、大きさ
によってはわずか 1k 数百円にまで下がります。
【ブランド・産地】
ブランド化はされていません。
松島湾や福井県以南から東シナ海、インド、ポリネシア方面に広く
分布します。
春から秋には、内湾でも塩分濃度が低い河口域に棲み、冬は湾口部の
比較的深みに移動して越冬します。
主な産地は、大阪湾、浜名湖、伊勢湾。北朝鮮からの輸入物も多いようです。コノシロのナレズシ
【産地ならでは漁師料理】
この魚は、なんと言っても酢〆でしょう。
かるく塩をして、2時間ほど熟成させ、酢につけます~
お好みで砂糖、少しの醤油などを入れるところも・・・
そして、醍醐味はにぎり寿司。江戸前鮨には欠かせない食材です。
しかし、これは「シンコ」「コハダ」「ナカズミ」までの話。
「コノシロ」になると、塩焼きがお勧め。骨は多めですが、脂がのり
、美味しい魚ですよ~
もう一品は「なれ寿司」。
なれずしの本場和歌山県御坊市では、コノシロをなれずしにします。
時間をかけて熟成させたこの一品は最高!機会があったら食べてみてください。
【江戸前鮨】
江戸前鮨では「鮨は小鰭(コハダ)に止めをさす」と言われます。
コハダの塩加減、酢締めの加減は鮨職人の腕の見せ所で、その鮨屋の
看板にかかわるとされてきました。
また、通人の間では味の濃いコハダは最後の締めに食べるもの・・・
とされているようです。
コハダは、江戸前鮨の真骨頂なのです。
シンコのにぎり寿司
一方、最初に注文する事が通とされるのが、「シンコ」・・・・。
大きさによって、呼び方、価格(価値)、食べる順番まで違う
珍しい魚なんですよ~
コハダの酢〆
【栄養と効果・健康】
良質なタンパク質と脂肪酸が豊富です。
脂質には血栓防止などに役立つEPA、脳神経細胞機能の維持に役立つ
DHAを豊富に含くんでいます。
骨を強化するカルシウムも極めて多く含んでおり、その吸収を助ける
ビタミンDも豊富。
貧血予防に交換のある鉄分と、その吸収を助ける銅なども豊富です。
ビタミンでは、若返りのビタミン・・・Eが豊富。
まさに健康食品です。シンコ
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プロが選んだ・・・・魚の【のれん街】
鰍(かじか)
【語源】
カジカの語源は『日本釈名』に「河鹿なり、山河にある魚也、夜なき
て其音たかし」とあり、「カワシカ(河鹿)」が「カジカ」になった
と言われています。
河鹿とは「カジカガエル(河鹿蛙)」と呼ばれる蛙の一種で、カジカ
の外見がこのカワシカ蛙に似ている事がそもそもの発端と考えられ
ます。
カジカ汁
【カジカの種類】
カジカの種類で食用とされているのは、「トゲカジカ(鍋こわし)」
、「ケムシカジカ(トウベツカジカ)」、「ツマグロカジカ(ぎす)
」の3種類です。
その他、「シモフリカジカ」、「ニジカジカ」がいますが、食用とし
ては、流通してません。
トウベツカジカ(マカジカ)
この中で最も美味しいのが「トゲカジカ(鍋こわし)」。次いで、
「ケムシカジカ(トウベツカジカ)」です。
ケムシカジカは別名「ぼっけ」とも呼ばれ、三陸地方では親しまれて
います。
ただし・・・カジカは海のみならず、川にも存在ます。
淡水魚のカジカはハゼ科の魚で「ゴリ」の名で親しまれ、ゴリの佃煮
は最高級品とされています。金沢の名産で100%ゴリを使ったものは
千歳煮(ちとせに)と呼ばれ、今や貴重品です。
ややこしいですね~!
トゲカジカ(鍋壊し)
【旬】
「鰍」・・・字のごとく旬は秋と言いたい所ですが、実は違います。
「ケムシカジカ(ぼっけ)」の旬は秋ですが、最も美味しく、高値
で流通する「トゲカジカ(鍋こわし)」の旬は冬です。
【うんちく】
水深50~300メートルの海底付近に住み、小型魚類を食します。
産卵期は冬。見た目は悪いですが非常に美味しい魚です。
トゲカジカとケムシカジカは主に鍋や味噌汁で食され、ツマグロカジ
カ(ぎす)は卵が好まれます。この卵は「ぎすこ」と呼ばれ、醤油
漬けにして食べます。
しかし、この卵の醤油漬けもケムシカジカ(ぼっけ)の方が美味。
イクラ以上と言う声もあります。
ギスコの醤油漬け
産地以外では、なかなかお目にかかれないカジカですが、その理由は
「あまりに美味しいので、漁師さんと地元の人が食べつくしてしまう
から」だそうです。
しかし先日、三越 日本橋店で積極的に販売していく事が新聞記事に
出ていました~! マグロ君・・・感激!
カジカの卵(生)
【ブランド・産地】
ほとんどが地場消費なので、ブランド化はされていません。
主な産地は北海道です。
カジカ鍋
【産地ならではの漁師料理】
現在、産地でしか流通していない為、すべてが漁師料理、郷土料理と
言って良いでしょう。
その中で最高に美味いのが、トゲカジカの鍋です。
別名の「鍋こわし」の由来は、「この鍋があまりに美味しくて、鍋底
をつつき、かき回し、ついには鍋を壊してしまったから」と言われる
ほど・・・!
身もさることながら、オレンジ色の肝は味も見た目も最高です~!
ネギや大根と一緒に味噌味で炊くのが漁師流です~!
カジカの姿造り(刺身)
カジカの鍋用
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