浅利(アサリ)
【語源】
アサリの語源は「漁る(あさる)」と言う説があります。
これは、魚介類を探しとるという意味です。干潟をあさると容易に
とれる貝という事でしょう。
また、砂の中にいる貝を意味する「砂利(さり)」が語源であると
いう説もあります。
有力なのは前者だと思われま~す。
【旬】
アサリの旬は一般的には春とされています。
しかし、産卵期は春と秋の2回あり、産卵月は5月と10月です。
直前の3~4月と9月頃に身入りが最も良くなり、旨味成分のコハク
酸が増える時季となります。
ただ、この時季、栄養が身に集中して殻までまわらないため、殻は薄
く割れやすいので取り扱いに注意が必要です。
厳密に言うと旬は春と秋という事になります。
三重産のアサリ
【うんちく】
殻表は縦横に細い筋が走り、布目上になっています
。
色・模様は千変万化で、左右の模様が異なるものもいます。
この模様は老貝になるとが不鮮明になって行くとか・・・・。
内湾の干潟に住み、都市化や水質汚染の為、各地でハマグリが
絶滅したのに対し、アサリは強靭に生き残っており、人口干潟でさえ
育つといわれています。
生命力の強い貝なんですね~!
千葉産のアサリ
【浅利と江戸っ子】
江戸時代の川柳には貝がよく登場します。
これは、女性を表す隠語として貝類が使われていたのです。
シジミは少女を意味し、ハマグリは一人前の女性、又は芸者を・・・
赤貝は妙齢のご婦人を表したとか・・・・!
ちなみにアサリは下町の女房を意味します。気取らない庶民的な
所はまさに共通してますね~!
これに即してか? 江戸っ子の好物は深川どんぶり。
浅利のむき身を酒と醤油で煮、その煮汁で米を炊くという料理。
炊き上がったご飯に、浅利のむき身を加えて混ぜ合わせ、きざみネギ
、きざみ海苔、三つ葉などを散らして食べます。
考えただけでも生つばものですね~!
北海道厚岸産のアサリ
【ブランド・産地】
ブランド・・・と言うものはないようです。
強いて挙げるとすると、北海道厚岸(あっけし)のアサリでしょう。
北海道のアサリは色彩に乏しく茶色系。ただ、本土のアサリより
ひとまわり大きく、身も肉厚で美味しいです。
厚岸(あっけし)とは、アイヌ語で「牡蠣の多く獲れる地」と言う
意味。
現在は天然の牡蠣は死滅しましたが、死骸(殻)は浅瀬にたくさん
見受けられます。現在は時代が変わり、牡蠣の代わりに、この厚岸の
アサリが多く生息しています。
浅利のバター炒め
【産地ならではの漁師料理】
アサリ料理の種類は数え切れないほどあります。
酒蒸し、味噌汁、吸い物、パスタ、むき身を煮たり、炒め物などに
使ったり・・・・。
しかし~漁師さんのお勧めはバター炒め。作り方は簡単。
フライパンにたっぷりのバターを溶かし、殻つきのアサリを入れて
フタをします。コツは、最初は弱火で、汁が出だしたところで強火に
そして、火が通り殻が空いてから胡椒、三つ葉、パセリのミジン切り
などをふりかけるのです。
そして、アサリの身を堪能したところで・・・・残り汁を温かご飯に
かけるのです~。アサリ風味の「バターライス」。
どうです?試してみたくなってきたでしょ?
北海道厚岸・・・天然牡蠣が死滅した浅瀬!今は浅利が育っています。
【アサリの砂抜きのコツ】
浅利はしっかり砂抜きをしないと、美味しくいただけません。
コツは適量の塩を使う事。浅利は塩分の少ない水に住むので、これと
同じ環境を作ってやるのがポイントです。
塩分濃度は2~3%がベスト。この時使う水はできればカルキ抜きを
しておいた方が良いでしょう。
塩水の量は浅利がヒタヒタにつかる位が良いです。
量が多すぎるのは良くありません。せっかく吐いた砂をまた吸い込ん
でしまうからです。
浅利の味噌汁
そして、常温の暗い所に置きます。冷蔵庫には入れないで下さい。
温度が低すぎると砂を吐きません。
迷信とも言われていますが、水の中に釘などの鉄分を入れると、
よく砂を吐くとか、水にアルカリイオン水を使うと効果大という話
も・・・・・・。参考までに・・・・!
砂抜きの時間は1時間から一晩と大きな差が出ますが、活きが良い
浅利ほど短時間で済みます。
北海道産のアサリ
【栄養と効果・健康】
意外にも、貝類の中では栄養価が低い。
但し、旨み成分のコハク酸・グリコーゲンが豊富。これが美味さの
秘密。
たんぱく質は少なめですが、タウリンを多く含んでいます。
これは血中のコレステロールを下げ、血液を固まりにくくするので
動脈硬化の予防食と言えます。また、肝臓の解毒作用を助けますので
酒呑みにはベスト。
ミネラルでは、カルシウム・マグネシウムを豊富に含んでおり、
心臓病の予防にもなります。
ビタミンではB12を多く含み、貧血予防に効果があります。
プロが選んだ・・・・魚の【のれん街】