障泥烏賊(アオリイカ)
【語源】
障泥(アオリ)とは元々は泥よけの馬具のことで、毛布や皮などで造
って鞍の間に差し込んで馬腹の両脇を覆いました。
後には飾りとして、天気の良い日にも用いるようになりました。
ヒレがこのアオリの形に似ていることから障泥烏賊と名付けたという
説があります。
また、単純に胴の周りのヒレ(ミミ)をあおぐ様にして泳ぐ事から
アオリイカと名付けられたと言う説もあります。
【旬】
アオリイカが旬とされる時期は、地域や人によって違います。
産卵前の春、大型の獲れる夏、旨味の増す秋とも言われ、様々。
また、産卵期が長く、冬場には南下するとあって、ほぼ周年各地で
漁獲されている事も旬が特定されにくい状況を作っているようです。
しかし、最も漁獲量が多く、流通量も多い夏を旬としましょう。
アオリイカのにぎり寿司
【うんちく】
イカの種類は日本海域だけでも70~90種類生息していると言わ
れています。
その中で一番美味いイカは?と言う質問にはこのアオリイカと答える
人は多いでしょう。また、見た目も天下一品。大型のものは胴だけで
50cmを超え、重さも2㌔を超えます。
ちなみに雄の方が大きくなります。
良く似たイカにコウイカがいますが、さばけばハッキリと違いが・・
アオリイカはコウイカ特有の石灰質の甲羅(鳥の餌としてよく与え
る)がなく、スルメイカなどと同様の透明の軟甲を持っています。
伊豆半島では、形が芭蕉の葉に似ていることから「芭蕉イカ」、
九州では、海藻に産卵する事から「モ(藻)イカ」と呼ばれます。
能登のほうでは靴の形に似ていることから「クツイカ」・・・
とも呼ばれているようです。
アオリイカのゲソの刺身
【ブランド・産地】
ブランド化は、特にされていなしようです。
主な産地は駿河湾以南で、九州・中国地方で多く漁獲されている
ようです。
その昔、東京湾はアオリイカの大産地であったようです。
まさに江戸前の魚だったんですよ~!
アオリイカの刺身
【産地ならではの漁師料理】
アオリイカは、イカ類の中で最も高価。
食べ方は、刺身、寿司、天ぷらが主流になります。
しかし、漁師料理、郷土料理は各地にあります。
まずは、長崎県 生月島(いきつきしま)の「くろみ」と呼ばれる
料理。茹でたアオリイカをイカ墨で和えて食べる漁師料理。
お歯黒になるのを気にしてては食べれない料理です。
くろみ
次に、沖縄の浜料理「イカ汁」。アオリイカを墨汁で煮たもの。
健康食としても人気があります。
最後は、伊豆地方の「アオリイカのぶっ掛けご飯」。
炊き立てのご飯にアオリイカの細切りにしたものをのせ、醤油を
ぶっ掛けて食べます。
どれも、美味しそうでしょ~!
【栄養と効果・健康】
イカで一番美味しいのは?の質問に対しては、二分します。
アオリイカと答える人と、剣先イカと答える人。
実際、甲乙つけがたい美味しさ・・・しかし、これは栄養成分でも
科学的に実証できるのです。と言うのは、このアオリイカ、剣先イカ
と、栄養成分がそっくりなのです。
いか汁
また、かつてイカはコレステロールの固まりだから「有害」と言われ
ていた時期がありました。
コレステロールが多いというのは確かですが有害ではありません。
それは、コレステロールを抑制し様々な薬効を持つタウリンを、その
倍以上含んでいるからです。
問題はこの両者の比率だったのです。
加えてイカのタンパク質は他の魚類と比較すると量は少ないですが
非常に良質で、ミネラルや必須アミノ酸が豊富。
しかも低脂肪。ダイエット効果も見込める健康食品なんですよ~。
いつも応援ありがとう~
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