鬼頭魚(シイラ)
【語源】
シイラの由来は「秕(しいな)」です。
これは殻ばかりで実のない籾(もみ)のことです。
シイラも体は大きいが身が薄く食べるところが少ないからの総称の 様です。
また、シイラは漂流物に集まる性質を持っており、時には、動物の 死骸などにも集まります。
このことから、死人食(しびとくらい)などと言う地方名さえあり ます。
他には若魚時代に群れで遊泳する様から、万匹(まんびき)や 十百(とうひゃく)、そして、シイラという名は縁起が悪いからと、
万作(まんさく)や金山(かなやま)という名で呼ぶ地方もあり ます。
縁起が良い魚なのか悪い魚なのか?良くわかりませんね~
シイラの切身
【旬】
このシイラと言う魚の評価は様々~
山陰や九州では人気がある魚であるが、それ以外では全く人気なし。
ただ、釣り人には人気があるようです~時速60kを超えるスピードで 泳ぐこの魚の「ひき」は答えられないとか・・・・・
一方、欧米では高級魚扱いされています。
ハワイでは「マヒマヒ」と呼び、この魚のフライは、日本人のツアー 客にも大好評です。
産卵期は、日本近海では6~8月。 よって、旬は秋と言えます。
雌のシイラ
【うんちく】
シイラの大きな特徴は前頭部です。
特にオスは成長するにつれて前頭部が、異様に大きな角丸四角形に なります。
一方、メスは成長しても卵形まま・・・・。
このためオス・メスの区別は容易です。
また、鮮度の善し悪しも見分けやすい魚です。
死後の体色の変化は急速で、背は紺青色、腹は灰色が勝り、 くすんだ色になってしまいます。
【語源】の章で縁起の良い魚か?悪い魚か?わからないと記しました が、高知県ではたいへん縁起の良い魚とされているようです。
この魚、実は夫婦仲がものすごく良いのです。
それは、オスが釣り上げられると、メスはその船の後をどこまでも 追いかけてきて、メスも容易に釣れてしまうと言われています。
高知県では夫婦和合の象徴として、シイラの塩干物が結納に使われる 事があるそうです。
シイラの刺身
【ブランド・産地】
日本ではブランド化されていませんが、ハワイでは「マヒマヒ」 としてブランド化されていると言っても良いかも・・・?
このシイラ(マヒマヒ)を使ったステーキ、ハワイ名物料理の 「ポケ」にもよく使われます。
日本での主な産地は、高知、長崎、熊本、島根などです。
シイラの塩辛
【産地ならではの漁師料理】
隠岐では、このシイラで塩辛を作ります。
これはまさに漁師料理。流通はしません。産地でしか味わえない代物 です。
ハワイの名物料理「ポケ」とは、生魚をぶつ切りにし、薬味と あわせた物・・・・シイラはこの料理の食材によく使われます。
日本では非常に評価の低い魚で安値で流通します。
身質がハマチ・ブリに似ている事から、一昔前までは、ハマチとして 魚売場で売られたり、
「沖鰤(オキブリ)」と称されて販売された 時代もあったようです。
一番手前は雄のシイラ
【老人と海】
シイラは英名でDolphin Fishと言います。
この為、ヘミングウェイの有名な小説、老人と海ににおいてシイラが 登場するのでありますが、
初期の日本語訳では、何とイルカと訳して しまったそうで、どうも話がしっくりしなかったとか・・・。
これを末広恭雄博士が指摘し、後に、イルカからシイラに訂正翻訳 されて出版したという有名な逸話があります。
やはり欧米ではメジャーな魚なんですね~!
【栄養と効果・健康】
たんぱく質が豊富で脂肪分は少ない魚です。
ミネラルではカリウムを多く含み、体内の塩分排出を期待できます。
疲労回復に効果のあるビタミンB1と、脂肪をエネルギーに変える ビタミンB2も豊富です。
二日酔いの原因となるアセトアルデヒドを分解するナイアシンも 多く含んでいるので・・・お酒のつまみには最高~
一方、回遊する青魚のわりには、DHA、EPAは少な目の様です。
シイラの刺身
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