ガザミ・渡蟹(ワタリガニ)
【語源】
標準和名はガザミです。しかし、「ワタリガニ」の呼び名の方が、
知られています。
ボートのオールのような5番目の脚を巧みに操って泳ぎ、遠くへ移動
することから命名されたと思われます。
ガザミは月夜に群れをなして泳ぐことから「月夜ガニ」とも呼ばれ
ます。
「ガザミ」とはカニのハサミの略語。
ハサミを意味するカサメから来ているものと思われます。
一つのハサミは大きく、一つのハサミは小さい・・・、大きいほうの
ハサミで闘い、小さい方で餌を食べます。
渡り蟹の蓮の葉包み蒸し料理(四川料理)
【旬】
ワタリガニは脚には身が少なく、胸肉すなわち脚の付根の肉を食べ
ます。
白い美しい身の成分は車エビと似ており、二杯酢につけて食べると、
ほの甘い肉汁が口中に広がり、幸せな気持ちなります。
この身を楽しむなら秋の雄。交尾後の太った雄が、最高です。
しかし、ワタリガニのもう一つの醍醐味は、鮮やかなオレンジ色を
した内子・外子(卵)とミソです。
雌は冬から初夏にかけ、甲羅の中に卵巣とミソが充実します。
マグロ君の見解では、旬は春とします。
ワタリガニのほぐし身!卵も一緒に
【うんちく】
青森県以南の日本・韓国・台湾・中国大陸などの沿岸に分布します。
棲息水温は7~35度で、季節的な鉛直移動を行い、夏季は沿岸・湾内
の浅場に棲息し、冬季には沖合・湾外の深場に移動します。
良く似た仲間に「台湾ガザミ」がいます。甲の表面に白色の雲状模様
があるので、見分けはすぐつきます。
また、近年人気なのが脱皮後のガザミ・・・。
「ソフトシェル」と呼ばれ、殻ごと調理され食べられています。
敵から身を守るのに、自ら脚を切り落として逃げることを自切と言い
ます。
ワタリガニは活きがよいものほど自切します。
また、気も荒く、大きい方の爪を使ってすぐ喧嘩し、足がもげて
しまいます。
そこで、輸送中に自切しないように、また、喧嘩しないようにゴム
などで縛られて流通しています。
【ブランド・産地】
ブランド化はされていないようです。
国産物の水揚量は、福岡、愛知、愛媛の順となっています。
【産地ならではの漁師料理】
ワタリガニの代表的な料理は味噌汁。すばらしく良い出汁が出ます。
鍋も最高!
しかし、漁師さんは、茹でてそのまま、しゃぶりつくのが好きな
様です。特に雌はこれが一番。
雄は味噌汁、雌は茹でて・・・・が漁師流です。
茹でる際は、水から茹でること。
そうしないと足がとれてしまいます。これは、他の蟹の場合も同じ
です。
兵庫県室津では、ガザミを使った「炊き込みご飯」が郷土料理として
あります。
蟹のエキスをしっかり吸ったご飯・・・・考えただけで美味そう~!
茹でたワタリガニ
【栄養と効果・健康】
高たんぱく・低脂肪・低エネルギーのヘルシーな食材です。
特有の旨みの強さは、アラニン、グリシン、アルギニン、グルタミン
酸、イノシン酸をバランスよく含んでいるため。
タウリンも多く、血中のコレステロールを下げたり、血圧上昇を
防ぐ効果が期待できます。
まさに健康食ですね。
ワタリガニの釜めし
まずは押しとく~~~