吉次・喜知次(キチジ)・きんき
【語源】
体色が吉兆とされる朱赤色で、吉次(キチジ)と名付けられた。
一般的に「キンキ」の名で親しまれ、東北ではでは「キンキン」、
北海道では「メンメ」・「メイメイセン」などとも呼ばれる。
【旬】
旬は、晩秋から冬。
キンキの煮付け
【うんちく】
日本海では獲れず、東北沖から北海道沖にかけて多く分布する。
水深150~1200㍍の海底に生息し、おきあみ類、海老、魚類を
食す。産卵期は冬から初夏にかけて。
漁獲方法は底引き網や延縄(はえなわ)、刺網など・・。
キンキは、美味しさは当然ですが、その風貌によっても
高値がつけられます。鮮やかな赤の体色は、鮮魚売場などに、
華やかさと、彩り、鮮度感をもたらします。
このため、食べる事以上に「飾り物」として重要な要素持つお魚。
やはり、刺網漁など、ウロコがはがれ安い漁法のものより、
延縄などの方が高値がつくようです。
昭和の中ごろまでは、肥料にされたり、仙台名産の「笹かまぼこ」
の原料になったり・・・・、下級魚として扱われてきましたが、
今や、「赤い宝石」と呼ばれるほどの超高級魚。
キンキを原料にした笹かまぼこ・・・、食べてみたいですね~
美味しくないわけがない・・・。今となってはもう無理ですね。
また、東北地方の太平洋側では、鯛に代わる祝い魚として古くから
珍重され、正月にはキンキを神棚に供える風習があったとか・・。
キンキの鍋
【ブランド・産地】
やっぱり、北海道でしょう。その中でも「羅臼のめんめ」は
最高級。特に釣物はブランド化されつつあるといっても過言では
ありません。
「羅臼のきんき」は漁師さんの扱いがすばらしく、赤が非常に
鮮やか・・・。流氷が押し寄せる1月初旬前までが、漁の勝負。
キンキ鍋の後の雑炊
【産地ならではの漁師料理】
とにかく美味しい魚。マグロ君も初めて口にした時の衝撃は忘れ
ません。学生時代、北海道をバイクで一周した時、釧路の居酒屋で
「めんめ・・・時価」の貼紙。恐る恐るたのみましたが・・・。
今まで食べた魚はなんだったんだ・・・と思うほど美味しかった事
を思い出します(その時は、一夜干しの塩焼きだったと思います)
キンキのしゃぶしゃぶ
キンキのチャンチャン焼き
きんきは塩焼き、煮付けが王道。ですが産地の方の食べ方は、
「チャンチャン焼き」です。そう、あの秋鮭でやるのと同じ。
たっぷりのキャベツと きんき。キャベツの甘みと、きんきの旨み
そして、味噌の香ばしさが最高です。ビールですね。
もう一品は、漁師さんの船上料理。「湯煮」です。
お湯を沸かし、塩を二つまみくらい入れます。そして、ウロコを
とったメンメ(きんき)を内臓ごと、かるくこの湯にくぐらすだけ
豪快・簡単で素材の旨みを最大限に引き出す料理方法です。
鮮度が良いからこそできる料理方法ですね。
かるく焼いてから、湯にくぐらすのもいけるとか・・・。
きんきの湯煮
また、鮮度良いものは、刺身でも美味しいですよ~!
【栄養と効果・健康】
たんぱく質よりも脂肪分がの方が多い珍しい魚。
鉄分と協力して貧血を防いだり、皮膚や髪の健康を保つ銅を
多く含んでいる。
脂肪分が多いのでDHA・EPAも豊富。秋刀魚やサバなどの青魚と
同等。
また、生活習慣病を予防するビタミンEも豊富です。
味・姿・健康と三拍子そろった魚です。
キンキの干物
キンキの刺身