私は東京の調布市に住む年金生活の71歳の身であるが、
政治・経済も疎(うと)いが、少子高齢化の中で、日本の借金は1000兆円を越えている、
と幾たびも新聞など学んだりしてきた。
私たち夫婦は子供に恵まれなかったので、我が家は家内とたった2人だけの家庭であり、
家内は私より5歳若く、お互いに厚生年金、そしてわずかながらの企業年金を頂だいた上、
程ほどの貯金を取り崩して、ささやかな年金生活を過ごしている。
昨今、ファイナンシャル・プランナーの紀平正幸さんから、年金の受給額が年々減っていることを学んだりした。
「夫婦2人の場合、20年前の受給額は平均して年金300万円だったのが、現在は220万円になったと言われる。
つまり、3割近く減ったのです。
ところが生活費は、ここ20年ほど年間300万円で変わっていません。
つまり、普通に生活するだけで、1年で80万円の赤字になってしまいます。
60歳の夫婦が90歳まで生きれば、2400万円の赤字が確定するんです」
このような実態を学び、年金生活12年生の私は苦笑したりしたりした。
或いは最近、『週刊新潮』2015年12月24日号に於いては、
『中年フリーターの「老後破産」で生活保護費が5倍に』を読み、
私はやがて20数年後は、日本財政は更に悪化すると動顛したりした・・。
《・・厚生労働省によると、雇用者に占める非正規雇用者の割合、すなわち非正規雇用率は、
80年代半ばには10数%だったものが、今年は40%近くにまで達している。
いまや、この国の労働力の5人に2人、実に2000万人以上が非正規雇用者というのが実情なのだ。
労働経済ジャーナリストの小林美希氏が予測されると、
「2008年に政策研究機関であるNIRA(総合研究開発機構)が発表したレポートでは、
今後、就職氷河期世代が老人になった際には、生活保護に必要な予算が、約17兆から19兆円にのぼると試算されていました。
非正規雇用の人々が現状のまま放置されつづければ、実際にそのくらい、あるいは、それ以上のコストがかかることになってしまうでしょう」
ここ数年、生活保護の給付総額は年間3兆円台だから、その増加ぶりは、すさまじいばかりだ。
17兆円といえば、先ごろ新規上場した郵政3社株の時価総額と、ほぼ同額であるが、
それ以上に、日本の一般会計予算の5分の1に近い金額だと言ったほうが、より衝撃的かもしれない。
それほどの巨費が、単年度の生活保護費として必要になるというのだ。
しかも、それらはまさに、中年フリーターたちの“老後破産対策費”と呼ぶべきものなのである。・・》
このような記事を読み、無力な私でも果たして日本財政はどうなるか、憂いたりしてきた。
早朝のひととき、私が愛読している講談社の基幹サイトのひとつの【現代ビジネス 】を見たりし、
《 「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした
~それどころか…なんと2016年、財政再建は実質完了してしまう!
この国のバランスシートを徹底分析 》と見出しを見て、
どのような理由で・・と驚愕しながら、 精読した・・。
この原文は【現代ビジネス 】の中で、『ニュースの深層』で高橋洋一氏が定例寄稿文を寄せられている。
高橋洋一(たかはし・よういち)氏の略歴は、1955年、東京生まれ。
80年、大蔵省(現財務省)入省、理財局資金企画室長、内閣参事官など歴任。
小泉内閣、安倍内閣では 「改革の司令塔」として活躍。07年には財務省が隠す「埋蔵金」を公表、08年に山本七平賞受賞。
政策シンクタンク「政策工房」会長、嘉悦大学教授。
このような確かな御方であるので、信頼できる寄稿文である、
そして私と同様に、「日本の借金1000兆円」と思っている方に、読んで頂きたく、無断ながら記事を転載させて頂く。
《・・
☆鳥越俊太郎氏もダマされていた
先週26日(土曜日)、大阪朝日放送の番組「正義のミカタ」に出た。
大阪のニュース情報番組だが、東京とは違って、自由な面白さがある。
そこで、「日本経済の諸悪の根源はZ」というコーナーをやった。Zとは財務省である。
その中で筆者が強調したのは「借金1000兆円のウソ」である。
借金が1000兆円もあるので、増税しないと、財政破綻になるという、
ほとんどのマスコミが信じている財務省の言い分が、正しくないと指摘したのだ。
借金1000兆円、国民一人当たりに直すと800万円になる。
みなさん、こんな借金を自分の子や孫に背負わせていいのか。
借金を返すためには増税が必要だ。
こんなセリフは誰でも聞いたことがあるだろう。
財務省が1980年代の頃から、繰り返してきたものだ。
テレビ番組は時間も少ないので、簡単に話した。
「借金1000兆円というが、政府内にある資産を考慮すれば500兆円。
政府の関係会社も考慮して連結してみると200兆円になる。
これは先進国と比較してもたいした数字ではない」
これに対して、番組内で、ゲストの鳥越俊太郎さんから、
「資産といっても処分できないものばかりでしょう」と反論があった。
それに対して、多くの資産は金融資産なので換金できる、といった。
筆者がこう言うのを財務省も知っているので、財務省は多くのテレビ関係者に対して、
「資産は売れないものばかり」というレクをしている。
鳥越さんも直接レクされたかがどうかは定かでないが、財務省の反論を言ってきたのには、笑ってしまった。
番組が昼にかかり15分くらいの休憩があった。
そのとき、鳥越さんから、「金融資産とは何ですか」と筆者に聞いてきた。
「政策投資銀行(旧日本開発銀行)やUR都市機構(旧住都公団)などの特殊法人、独立行政法人に対する貸付金、出資金です」と答えた。
それに対して「それらを回収したらどうなるの」とさらに聞かれたので、
「民営化か廃止すれば、回収ということになるが、それらへの天下りができなくなる」と答えた。
このやりとりを聞いていた他の出演者は、CM中のほうがためになる話が多いといっていた。
実際に、番組中で言うつもりだったが、時間の都合でカットせざるを得なくなった部分だ。
借金1000兆円。これは二つの観点から間違っている。
☆巨額な政府資産に驚くなかれ
バランスシートの左側を見てみれば…
第一に、バランスシートの右側の負債しか、言っていない。
今から20年近く前に、財政投融資のALM(資産負債管理)を行うために、国のバランスシートを作る必要があった。
当時、主計局から余計なことをするなと言われながらも、私は財政投融資が抱えていた巨額の金利リスクを解消するために、
国のバランスシートを初めて作った。
財政が危ういという、当時の大蔵省の主張は、ウソだったことはすぐにわかった。
ただし、現役の大蔵官僚であったので、対外的に言うことはなかった。
筆者の作った国のバランスシートは、大蔵省だからか「お蔵入り」になったが、
世界の趨勢から、その5年くらい後から試案として、10年くらい後から正式版として、財務省も公表せざるを得なくなった。
今年3月に、2013年度版国の財務書類が公表されている。
その2013年度末の国のバランスシートを見ると、資産は総計653兆円。
そのうち、現預金19兆円、有価証券129兆円、貸付金138兆円、出資66兆円、
計352兆円が比較的換金可能な金融資産である。
そのほかに、有形固定資産178兆円、運用寄託金105兆円、その他18兆円。
負債は1143兆円。
その内訳は、公債856兆円、政府短期証券102兆円、借入金28兆円、これらがいわゆる国の借金で計976兆円。
運用寄託金の見合い負債である公的年金預り金112兆円、その他45兆円。
ネット国債(負債の総額から資産を引いた額。
つまり、1143兆円-653兆円)は490兆円を占める。
先進国と比較して、日本政府のバランスシートの特徴を言えば、政府資産が巨額なことだ。
政府資産額としては世界一である。
政府資産の中身についても、比較的換金可能な金融資産の割合が、きわめて大きいのが特徴的だ。
なお、貸付金や出資金の明細は、国の財務書類に詳しく記されているが、そこが各省の天下り先になっている。
実は、財務省所管の貸付先は、他省庁に比べて突出して多い。
このため、財務省は各省庁の所管法人にも天下れるので、天下りの範囲は他省庁より広い。
要するに、「カネを付けるから天下りもよろしく」ということだ。
☆財政再建は、実は完了している?
第二の問題点は、政府内の子会社を連結していないことだ。
筆者がバランスシートを作成した当時から、単体ベースと連結ベースのものを作っていた。
現在も、2013年度版連結財務書類として公表されている。
それを見ると、ネット国債は451兆円となっている。
単体ベースの490兆円よりは少なくなっている。
ただし、この連結ベースには、大きな欠陥がある。
日銀が含まれていないのだ。
日銀への出資比率は5割を超え、様々な監督権限もあるので、まぎれもなく、日銀は政府の子会社である。
経済学でも、日銀と政府は「広い意味の政府」とまとめて、一体のものとして分析している。
これを統合政府というが、会計的な観点から言えば、日銀を連結対象としない理由はない。
筆者は、日銀を連結対象から除いた理由は知らないが、連結対象として含めた場合のバランスシート作ることはできる。
2013年度末の日銀のバランスシートを見ると、資産は総計241兆円、そのうち国債が198兆円である。
負債も241兆円で、そのうち発行銀行券87兆円、当座預金129兆円である。
そこで、日銀も含めた連結ベースでは、ネット国債は253兆円である(2014.3.31末)。
直近ではどうなるだろうか。
直近の日銀の営業毎旬報告を見ると、資産として国債328兆円、負債として日銀券96兆円、当座預金248兆円となっている。
直近の政府のバランスシートがわからないので、正確にはいえないが、
あえて概数でいえば、日銀も含めた連結ベースのネット国債は、150~200兆円程度であろう。
そのまま行くと、近い将来には、ネット国債はゼロに近くなるだろう。
それに加えて、市中の国債は少なく、
資産の裏付けのあるものばかりになるので、ある意味で財政再建が完了したともいえるのだ。
ここで、「日銀券や当座預金も債務だ」という反論が出てくる。
これはもちろん債務であるが、国債と違って無利子である。
しかも償還期限もない。
この点は国債と違って、広い意味の政府の負担を考える際に重要である。
☆滑稽すぎる 「日本の財政は破綻する」論
このようにバランスシートで見ると、日銀の量的緩和の意味が、はっきりする。
政府と日銀の連結バランスシートを見ると、資産側は変化なし、負債側は国債減、日銀券(政府当座預金を含む)増となる。
つまり、量的緩和は、政府と日銀を統合政府で見たとき、負債構成の変化であり、
有利子の国債から、無利子の日銀券への転換ということだ。
このため、毎年転換分の利子相当の差益が発生する(これをシニョレッジ〔通貨発行益〕という。
毎年の差益を現在価値で合算すると、量的緩和額になる)。
また、政府からの日銀への利払いは、ただちに納付金となるので、
政府にとって日銀保有分の国債は、債務でないのも同然になる。
これで、連結ベースの国債額は、減少するわけだ。
量的緩和が、政府と日銀の連結バランスシートにおける負債構成の変化で、
シニョレッジ〔通貨発行益〕を稼げるメリットがある。
と同時にデメリットもある。
それはシニョレッジ〔通貨発行益〕を大きくすればするほど、インフレになるということだ。
だから、デフレの時にはシニョレッジ〔通貨発行益〕を増やせるが、インフレの時には限界がある。
その限界を決めるのが、インフレ目標である。
インフレ目標の範囲内であればデメリットはないが、超えるとデメリットになる。
幸いなことに、今のところ、デメリットはなく、実質的な国債が減少している状態だ。
こう考えてみると、財務省が借金1000兆円と言い、「だから消費増税が必要」と国民に迫るのは、
前提が間違っているので、暴力的な脅しでしかない。
実質的に借金は150~200兆円程度、GDP比で30~40%程度だろう。
ちなみに、アメリカ、イギリスで、中央銀行と連結したネット国債をGDP比でみよう。
アメリカで80%、65%、イギリスは80%、60%程度である。
これを見ると、日本の財政問題が大変で、すぐにでも破綻するという意見の滑稽さがわかるだろう。
以上は、バランスシートというストックから見た財政状況であるが、
フローから見ても、日本の財政状況はそれほど心配することはない、というデータもある。
本コラムの読者であれば、筆者が名目経済成長で、プライマリー収支を改善でき、
名目経済成長を高めるのは、それほど難しくない、
財政再建には、増税ではなく経済成長が必要、と書いてきたことを覚えているだろう。
その実践として、小泉・第一安倍政権で、増税はしなかったが、プライマリー収支が、ほぼゼロとなって財政再建できた。
これは、増税を主張する財務省にとって触れられたくない事実である。
実際、マスコミは財務省の言いなりなので、この事実を指摘する人はまずいない。
さらに、来2016年度の国債発行計画を見ると、新規に市中に出回る国債は、ほぼなくなることがわかる。
これは、財政再建ができた状況と、ほぼ同じ状況だ。
こうした状態で、少しでも国債が市中に出たらどうなるのか。
金融機関も一定量の国債投資が必要なので、出回った国債は、瞬間蒸発する。
つまり、とても国債暴落という状況にならないということだ。
何しろ市中に出回る国債がほとんどないので、
「日本の財政が大変なので財政破綻、国債暴落」と言い続けてきた、
デタラメな元ディーラー評論家には、厳しい年になるだろう。
☆今の国債市場は「品不足」状態
2016年度の国債発行計画を見ると、総発行額162.2兆円、
その内訳は市中消化分152.2兆円、個人向け販売分2兆円、日銀乗換8兆円である。
余談だが、最後の日銀乗換は、多くの識者が禁じ手としている「日銀引受」である。
筆者が役人時代、この国債発行計画を担当していたときにもあったし、今でもある。
これは、日銀の保有国債の償還分40兆円程度まで引受可能であるが、市中枠が減少するため、
民間金融機関が国債を欲しいとして、日銀乗換分を少なめにしているはずだ。
要するに、今の国債市場は、国債の品不足なのだ。
カレンダーベース市中発行額は147兆円であるが、短国25兆円を除くと、122兆円しかない。
ここで、日銀の買いオペは新規80兆円、償還分40兆円なので、合計で120兆円。
となると、市中消化分は、最終的には、ほぼ日銀が買い尽くすことになる。
民間金融機関は、国債投資から、貸付に向かわざるを得ない。
これは日本経済にとっては望ましいことだ。
と同時に、市中には実質的に国債が出回らないので、これは財政再建ができたのと同じ効果になる。
日銀が国債を保有した場合、その利払いは直ちに政府の納付金となって財政負担なしになる。
償還も乗換をすればいいので、償還負担もない。
それが、政府と日銀を連結してみれば、国債はないに等しいというわけだ。
こういう状態で、国債金利はどうなるだろうか。
市中に出回れば瞬間蒸発状態で、国債暴落なんてあり得ない。なにしろ必ず、日銀が買うのだから。
こうした見方から見れば、2016年度予算の国債費23.6兆円の計上には、笑えてしまう。
23.6兆円は、債務償還費13.7兆円、利払費9.9兆円に分けられる。
諸外国では、減債基金は存在しない。
借金するのに、その償還のために、基金を設けて、さらに借金するのは不合理だからだ。
なので、先進国では債務償還費は計上しない。
この分は、国債発行額を膨らせるだけで無意味となり、償還分は借換債を発行すればいいからだ。
利払費9.9兆円で、その積算金利は1.6%という。
市中分がほぼなく国債は品不足なのに、そんなに高い金利になるはずない。
実は、この高い積算金利は、予算の空積(架空計上)であり、
年度の後半になると、そんなに金利が高くならないので、不用が出る。
それを補正予算の財源にするのだ。・・》
注)原文にあえて改行を多くした。
この寄稿文を読み終わった後、「日本の借金1000兆円」は誤りで、
《・・実質的に借金は150~200兆円程度、GDP比で30~40%程度だろう。
ちなみに、アメリカ、イギリスで、中央銀行と連結したネット国債をGDP比でみよう。
アメリカで80%、65%、イギリスは80%、60%程度である。・・》
と学び、私は安堵したりした。
そして財務省は省内の権益の拡大、天下り先の確保なども含めて、どうして無知な国民を翻弄させるのょ、
と少しボケた私は微苦笑したりしている。
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政治・経済も疎(うと)いが、少子高齢化の中で、日本の借金は1000兆円を越えている、
と幾たびも新聞など学んだりしてきた。
私たち夫婦は子供に恵まれなかったので、我が家は家内とたった2人だけの家庭であり、
家内は私より5歳若く、お互いに厚生年金、そしてわずかながらの企業年金を頂だいた上、
程ほどの貯金を取り崩して、ささやかな年金生活を過ごしている。
昨今、ファイナンシャル・プランナーの紀平正幸さんから、年金の受給額が年々減っていることを学んだりした。
「夫婦2人の場合、20年前の受給額は平均して年金300万円だったのが、現在は220万円になったと言われる。
つまり、3割近く減ったのです。
ところが生活費は、ここ20年ほど年間300万円で変わっていません。
つまり、普通に生活するだけで、1年で80万円の赤字になってしまいます。
60歳の夫婦が90歳まで生きれば、2400万円の赤字が確定するんです」
このような実態を学び、年金生活12年生の私は苦笑したりしたりした。
或いは最近、『週刊新潮』2015年12月24日号に於いては、
『中年フリーターの「老後破産」で生活保護費が5倍に』を読み、
私はやがて20数年後は、日本財政は更に悪化すると動顛したりした・・。
《・・厚生労働省によると、雇用者に占める非正規雇用者の割合、すなわち非正規雇用率は、
80年代半ばには10数%だったものが、今年は40%近くにまで達している。
いまや、この国の労働力の5人に2人、実に2000万人以上が非正規雇用者というのが実情なのだ。
労働経済ジャーナリストの小林美希氏が予測されると、
「2008年に政策研究機関であるNIRA(総合研究開発機構)が発表したレポートでは、
今後、就職氷河期世代が老人になった際には、生活保護に必要な予算が、約17兆から19兆円にのぼると試算されていました。
非正規雇用の人々が現状のまま放置されつづければ、実際にそのくらい、あるいは、それ以上のコストがかかることになってしまうでしょう」
ここ数年、生活保護の給付総額は年間3兆円台だから、その増加ぶりは、すさまじいばかりだ。
17兆円といえば、先ごろ新規上場した郵政3社株の時価総額と、ほぼ同額であるが、
それ以上に、日本の一般会計予算の5分の1に近い金額だと言ったほうが、より衝撃的かもしれない。
それほどの巨費が、単年度の生活保護費として必要になるというのだ。
しかも、それらはまさに、中年フリーターたちの“老後破産対策費”と呼ぶべきものなのである。・・》
このような記事を読み、無力な私でも果たして日本財政はどうなるか、憂いたりしてきた。
早朝のひととき、私が愛読している講談社の基幹サイトのひとつの【現代ビジネス 】を見たりし、
《 「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした
~それどころか…なんと2016年、財政再建は実質完了してしまう!
この国のバランスシートを徹底分析 》と見出しを見て、
どのような理由で・・と驚愕しながら、 精読した・・。
この原文は【現代ビジネス 】の中で、『ニュースの深層』で高橋洋一氏が定例寄稿文を寄せられている。
高橋洋一(たかはし・よういち)氏の略歴は、1955年、東京生まれ。
80年、大蔵省(現財務省)入省、理財局資金企画室長、内閣参事官など歴任。
小泉内閣、安倍内閣では 「改革の司令塔」として活躍。07年には財務省が隠す「埋蔵金」を公表、08年に山本七平賞受賞。
政策シンクタンク「政策工房」会長、嘉悦大学教授。
このような確かな御方であるので、信頼できる寄稿文である、
そして私と同様に、「日本の借金1000兆円」と思っている方に、読んで頂きたく、無断ながら記事を転載させて頂く。
《・・
☆鳥越俊太郎氏もダマされていた
先週26日(土曜日)、大阪朝日放送の番組「正義のミカタ」に出た。
大阪のニュース情報番組だが、東京とは違って、自由な面白さがある。
そこで、「日本経済の諸悪の根源はZ」というコーナーをやった。Zとは財務省である。
その中で筆者が強調したのは「借金1000兆円のウソ」である。
借金が1000兆円もあるので、増税しないと、財政破綻になるという、
ほとんどのマスコミが信じている財務省の言い分が、正しくないと指摘したのだ。
借金1000兆円、国民一人当たりに直すと800万円になる。
みなさん、こんな借金を自分の子や孫に背負わせていいのか。
借金を返すためには増税が必要だ。
こんなセリフは誰でも聞いたことがあるだろう。
財務省が1980年代の頃から、繰り返してきたものだ。
テレビ番組は時間も少ないので、簡単に話した。
「借金1000兆円というが、政府内にある資産を考慮すれば500兆円。
政府の関係会社も考慮して連結してみると200兆円になる。
これは先進国と比較してもたいした数字ではない」
これに対して、番組内で、ゲストの鳥越俊太郎さんから、
「資産といっても処分できないものばかりでしょう」と反論があった。
それに対して、多くの資産は金融資産なので換金できる、といった。
筆者がこう言うのを財務省も知っているので、財務省は多くのテレビ関係者に対して、
「資産は売れないものばかり」というレクをしている。
鳥越さんも直接レクされたかがどうかは定かでないが、財務省の反論を言ってきたのには、笑ってしまった。
番組が昼にかかり15分くらいの休憩があった。
そのとき、鳥越さんから、「金融資産とは何ですか」と筆者に聞いてきた。
「政策投資銀行(旧日本開発銀行)やUR都市機構(旧住都公団)などの特殊法人、独立行政法人に対する貸付金、出資金です」と答えた。
それに対して「それらを回収したらどうなるの」とさらに聞かれたので、
「民営化か廃止すれば、回収ということになるが、それらへの天下りができなくなる」と答えた。
このやりとりを聞いていた他の出演者は、CM中のほうがためになる話が多いといっていた。
実際に、番組中で言うつもりだったが、時間の都合でカットせざるを得なくなった部分だ。
借金1000兆円。これは二つの観点から間違っている。
☆巨額な政府資産に驚くなかれ
バランスシートの左側を見てみれば…
第一に、バランスシートの右側の負債しか、言っていない。
今から20年近く前に、財政投融資のALM(資産負債管理)を行うために、国のバランスシートを作る必要があった。
当時、主計局から余計なことをするなと言われながらも、私は財政投融資が抱えていた巨額の金利リスクを解消するために、
国のバランスシートを初めて作った。
財政が危ういという、当時の大蔵省の主張は、ウソだったことはすぐにわかった。
ただし、現役の大蔵官僚であったので、対外的に言うことはなかった。
筆者の作った国のバランスシートは、大蔵省だからか「お蔵入り」になったが、
世界の趨勢から、その5年くらい後から試案として、10年くらい後から正式版として、財務省も公表せざるを得なくなった。
今年3月に、2013年度版国の財務書類が公表されている。
その2013年度末の国のバランスシートを見ると、資産は総計653兆円。
そのうち、現預金19兆円、有価証券129兆円、貸付金138兆円、出資66兆円、
計352兆円が比較的換金可能な金融資産である。
そのほかに、有形固定資産178兆円、運用寄託金105兆円、その他18兆円。
負債は1143兆円。
その内訳は、公債856兆円、政府短期証券102兆円、借入金28兆円、これらがいわゆる国の借金で計976兆円。
運用寄託金の見合い負債である公的年金預り金112兆円、その他45兆円。
ネット国債(負債の総額から資産を引いた額。
つまり、1143兆円-653兆円)は490兆円を占める。
先進国と比較して、日本政府のバランスシートの特徴を言えば、政府資産が巨額なことだ。
政府資産額としては世界一である。
政府資産の中身についても、比較的換金可能な金融資産の割合が、きわめて大きいのが特徴的だ。
なお、貸付金や出資金の明細は、国の財務書類に詳しく記されているが、そこが各省の天下り先になっている。
実は、財務省所管の貸付先は、他省庁に比べて突出して多い。
このため、財務省は各省庁の所管法人にも天下れるので、天下りの範囲は他省庁より広い。
要するに、「カネを付けるから天下りもよろしく」ということだ。
☆財政再建は、実は完了している?
第二の問題点は、政府内の子会社を連結していないことだ。
筆者がバランスシートを作成した当時から、単体ベースと連結ベースのものを作っていた。
現在も、2013年度版連結財務書類として公表されている。
それを見ると、ネット国債は451兆円となっている。
単体ベースの490兆円よりは少なくなっている。
ただし、この連結ベースには、大きな欠陥がある。
日銀が含まれていないのだ。
日銀への出資比率は5割を超え、様々な監督権限もあるので、まぎれもなく、日銀は政府の子会社である。
経済学でも、日銀と政府は「広い意味の政府」とまとめて、一体のものとして分析している。
これを統合政府というが、会計的な観点から言えば、日銀を連結対象としない理由はない。
筆者は、日銀を連結対象から除いた理由は知らないが、連結対象として含めた場合のバランスシート作ることはできる。
2013年度末の日銀のバランスシートを見ると、資産は総計241兆円、そのうち国債が198兆円である。
負債も241兆円で、そのうち発行銀行券87兆円、当座預金129兆円である。
そこで、日銀も含めた連結ベースでは、ネット国債は253兆円である(2014.3.31末)。
直近ではどうなるだろうか。
直近の日銀の営業毎旬報告を見ると、資産として国債328兆円、負債として日銀券96兆円、当座預金248兆円となっている。
直近の政府のバランスシートがわからないので、正確にはいえないが、
あえて概数でいえば、日銀も含めた連結ベースのネット国債は、150~200兆円程度であろう。
そのまま行くと、近い将来には、ネット国債はゼロに近くなるだろう。
それに加えて、市中の国債は少なく、
資産の裏付けのあるものばかりになるので、ある意味で財政再建が完了したともいえるのだ。
ここで、「日銀券や当座預金も債務だ」という反論が出てくる。
これはもちろん債務であるが、国債と違って無利子である。
しかも償還期限もない。
この点は国債と違って、広い意味の政府の負担を考える際に重要である。
☆滑稽すぎる 「日本の財政は破綻する」論
このようにバランスシートで見ると、日銀の量的緩和の意味が、はっきりする。
政府と日銀の連結バランスシートを見ると、資産側は変化なし、負債側は国債減、日銀券(政府当座預金を含む)増となる。
つまり、量的緩和は、政府と日銀を統合政府で見たとき、負債構成の変化であり、
有利子の国債から、無利子の日銀券への転換ということだ。
このため、毎年転換分の利子相当の差益が発生する(これをシニョレッジ〔通貨発行益〕という。
毎年の差益を現在価値で合算すると、量的緩和額になる)。
また、政府からの日銀への利払いは、ただちに納付金となるので、
政府にとって日銀保有分の国債は、債務でないのも同然になる。
これで、連結ベースの国債額は、減少するわけだ。
量的緩和が、政府と日銀の連結バランスシートにおける負債構成の変化で、
シニョレッジ〔通貨発行益〕を稼げるメリットがある。
と同時にデメリットもある。
それはシニョレッジ〔通貨発行益〕を大きくすればするほど、インフレになるということだ。
だから、デフレの時にはシニョレッジ〔通貨発行益〕を増やせるが、インフレの時には限界がある。
その限界を決めるのが、インフレ目標である。
インフレ目標の範囲内であればデメリットはないが、超えるとデメリットになる。
幸いなことに、今のところ、デメリットはなく、実質的な国債が減少している状態だ。
こう考えてみると、財務省が借金1000兆円と言い、「だから消費増税が必要」と国民に迫るのは、
前提が間違っているので、暴力的な脅しでしかない。
実質的に借金は150~200兆円程度、GDP比で30~40%程度だろう。
ちなみに、アメリカ、イギリスで、中央銀行と連結したネット国債をGDP比でみよう。
アメリカで80%、65%、イギリスは80%、60%程度である。
これを見ると、日本の財政問題が大変で、すぐにでも破綻するという意見の滑稽さがわかるだろう。
以上は、バランスシートというストックから見た財政状況であるが、
フローから見ても、日本の財政状況はそれほど心配することはない、というデータもある。
本コラムの読者であれば、筆者が名目経済成長で、プライマリー収支を改善でき、
名目経済成長を高めるのは、それほど難しくない、
財政再建には、増税ではなく経済成長が必要、と書いてきたことを覚えているだろう。
その実践として、小泉・第一安倍政権で、増税はしなかったが、プライマリー収支が、ほぼゼロとなって財政再建できた。
これは、増税を主張する財務省にとって触れられたくない事実である。
実際、マスコミは財務省の言いなりなので、この事実を指摘する人はまずいない。
さらに、来2016年度の国債発行計画を見ると、新規に市中に出回る国債は、ほぼなくなることがわかる。
これは、財政再建ができた状況と、ほぼ同じ状況だ。
こうした状態で、少しでも国債が市中に出たらどうなるのか。
金融機関も一定量の国債投資が必要なので、出回った国債は、瞬間蒸発する。
つまり、とても国債暴落という状況にならないということだ。
何しろ市中に出回る国債がほとんどないので、
「日本の財政が大変なので財政破綻、国債暴落」と言い続けてきた、
デタラメな元ディーラー評論家には、厳しい年になるだろう。
☆今の国債市場は「品不足」状態
2016年度の国債発行計画を見ると、総発行額162.2兆円、
その内訳は市中消化分152.2兆円、個人向け販売分2兆円、日銀乗換8兆円である。
余談だが、最後の日銀乗換は、多くの識者が禁じ手としている「日銀引受」である。
筆者が役人時代、この国債発行計画を担当していたときにもあったし、今でもある。
これは、日銀の保有国債の償還分40兆円程度まで引受可能であるが、市中枠が減少するため、
民間金融機関が国債を欲しいとして、日銀乗換分を少なめにしているはずだ。
要するに、今の国債市場は、国債の品不足なのだ。
カレンダーベース市中発行額は147兆円であるが、短国25兆円を除くと、122兆円しかない。
ここで、日銀の買いオペは新規80兆円、償還分40兆円なので、合計で120兆円。
となると、市中消化分は、最終的には、ほぼ日銀が買い尽くすことになる。
民間金融機関は、国債投資から、貸付に向かわざるを得ない。
これは日本経済にとっては望ましいことだ。
と同時に、市中には実質的に国債が出回らないので、これは財政再建ができたのと同じ効果になる。
日銀が国債を保有した場合、その利払いは直ちに政府の納付金となって財政負担なしになる。
償還も乗換をすればいいので、償還負担もない。
それが、政府と日銀を連結してみれば、国債はないに等しいというわけだ。
こういう状態で、国債金利はどうなるだろうか。
市中に出回れば瞬間蒸発状態で、国債暴落なんてあり得ない。なにしろ必ず、日銀が買うのだから。
こうした見方から見れば、2016年度予算の国債費23.6兆円の計上には、笑えてしまう。
23.6兆円は、債務償還費13.7兆円、利払費9.9兆円に分けられる。
諸外国では、減債基金は存在しない。
借金するのに、その償還のために、基金を設けて、さらに借金するのは不合理だからだ。
なので、先進国では債務償還費は計上しない。
この分は、国債発行額を膨らせるだけで無意味となり、償還分は借換債を発行すればいいからだ。
利払費9.9兆円で、その積算金利は1.6%という。
市中分がほぼなく国債は品不足なのに、そんなに高い金利になるはずない。
実は、この高い積算金利は、予算の空積(架空計上)であり、
年度の後半になると、そんなに金利が高くならないので、不用が出る。
それを補正予算の財源にするのだ。・・》
注)原文にあえて改行を多くした。
この寄稿文を読み終わった後、「日本の借金1000兆円」は誤りで、
《・・実質的に借金は150~200兆円程度、GDP比で30~40%程度だろう。
ちなみに、アメリカ、イギリスで、中央銀行と連結したネット国債をGDP比でみよう。
アメリカで80%、65%、イギリスは80%、60%程度である。・・》
と学び、私は安堵したりした。
そして財務省は省内の権益の拡大、天下り先の確保なども含めて、どうして無知な国民を翻弄させるのょ、
と少しボケた私は微苦笑したりしている。
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