山形県のほぼ中央に位置する「西川町」は、人口6,000人ほどの町であります。かつては、鉱山や林業で栄えた町でありますが、今では廃鉱衰退し、月山の夏スキーなど観光産業に力を入れている町であります。山形県の県都と庄内地方を結ぶ最短ルートであり車の往来は多いのでありますが、山形自動車道が自動車専用道路から高速道路の一部に組み入れられ、さらに、高速道路の無料化が実施されてからは、観光客の入り込みが極端に減ったとも言われております。
『夢屋国王』の旅はポイントだけを押さえて、あとは気ままな運任せ…運良く『期待以上の光景』や『ご当地の食』にありつければ充分満足出来るのであります。とは言え、今回ばかりはかつての職場の上司を案内しての旅でありますので気ままにと言う訳にも行かず、昼食は西川町間沢の「出羽屋」と決めていたのであります。地元で採れる山菜料理が有名な旅館でありますが、雪深い季節に訪れる人は疎らなのであります。確か、1,050円で「山菜そば」が食べられるはずであるが…予約無し(予約するほどお客がおりません^^;)で玄関を入ると、名物おかみが私たち一行を迎えてくれます。案内されるままに「鳥海」なる部屋に通されると2,310円の「山菜そば定食」より安い食事が無い…完全なリサーチ不足であります^^;
まぁ年金暮らしのお金持ちたちであるから、少々お高くても文句は言わせない…。
膳には、ウルイ、アサツキ、ワラビ、ウド、コゴミの胡麻和えとどこにも肉系は出て来ない。大きな鉄鍋に塩蔵の山菜をふんだんに使ったタレ…そばを鍋で煮ても良し、また、つけダレとして食べても良し…唯一、タレの中の鶏肉が肉系なのであります。四人でつけダレ用の中鉢に山菜汁を取り、三杯食べてもまだ鍋底に山菜が残るほどの分量であります。丼のかけそばに、申し訳程度に塩蔵の山菜が乗っている一般的な「山菜そば」とは、一線を画する「山菜そば」であります。これで高いか安いかは個人の判断にお任せいたしますが、お通じが良くなることだけは確かだと思われます^^;
『クラゲラスな生き方』(←夢屋の造語)を追求している内に『喰らう』ことを考えてみました。クラゲはプランクトン(Plankton;浮遊生物)なのでありますが、しっかり口があり、お尻(肛門)がある。しかし、口と肛門が一緒だから消化器系は壺のような状態なのであります。触手に触れた餌(動物性プランクトンや魚卵、幼魚など)を口腕で運び喰らう訳でありますが、結構グルメな奴ではないかなどと思うのであります。
山菜とひと括りにされる、ゼンマイやワラビなどのシダ植物は、古生代から現在まで生き延びた植物であり、ある意味では胞子植物の最も進化した系統であります。したがって、後に出現するホモ・サピエンスが、これを喰らったとしても何の不思議もないのでありますが、原始的生物と言われるクラゲが高等生物と言われる魚を食べる…先に生まれていたものが、後に出現したものを食べる…実に、不可思議な世界であります。
しかし、これは「進化」という言葉と「原始的」という言葉の誤用によるものであろうと思うのであります。シダ植物である「ワラビ」が、今の姿で古生代から続いていると考えるのではなく、シダ植物の進化した現在の姿を「ワラビ」という今様の姿で私たちは見ている。「クラゲ」はその形態こそ「原始的」なのではありますが、これもまた進化した姿や行動で今に繋がっているのであります。
『喰らう』そして『排泄する』という行動は、いわゆる「高等」と自慢しようが「下等」と見下そうが、その生命維持のためには欠くべからざる行動で有るから優劣など比較すべき内容では無いのでありまして、私『夢屋国王』が良かったなぁ~と心底思いますのは、人間の口と肛門が一緒に成らなかったという結果でありまして、もし人の口と肛門が一緒だったら、恐らく鼻(嗅覚器官)はきっと別の所に発達しただろうなどと便秘(←下らない)な話を妄想するのであります^^;