俗に『出会いの数だけ別れの数がある。』などという気の利いたフレーズがありますが、旅の醍醐味は出会いや発見にあるのであります。それは、人であり、風景であり、食べ物にも及び、これらが旅人の心情と微妙に調和して旅の情景…旅情を醸し出すのであります。
『醸し出す』…といえば、やはり地酒を語らなければいけない。山形県西川町にはドイツビール製法にこだわった「地ビール月山」があるのであります。元々ビールなどというものは、ヨーロッパでは飲料水に適さない硬水に混ぜて飲み水にしてきたというのがビールの使い方であったのだから、美味しい水「月山自然水」を売りにしている西川町で、ビールにこだわる必要も無いのではありますが…。1994年4月の酒税法改正によって最低製造数量基準が緩和されたことに伴い、町の名物、町おこしと称して全国各地で地ビール工場が乱立したのであります。ほとんどの場合、ハンドルを握っている『夢屋国王』は、地ビールを置いてあることは知っていてもこの地を通過することがほとんどであり、今回ばかりは自慢の地ビールを買い求めようと「月山銘水館(道の駅)」に立ち寄ったのであります。
地ビールの泣き所は、賞味期間が短くて、製造本数が少なく製造コストも高くつくことから販売価格が高く、さらに、こだわりが強くて味が一般大衆ウケしにくいことでありましょうか。実際、500ml瓶で682円…一般的なビール500ml缶が280円前後ですから、柿の種の小袋を買って2缶飲んでも、まだお釣りが来るお値段であります。仕事から帰り、背中を丸めて発泡酒一缶をチビリチビリ飲んでいる『宅飲みオヤジ』にとっては高嶺の華なのであります。温泉に浸かって、風呂上りにグビッと一杯…ハンドルキーパーのご褒美は地ビールと決めておりましたので、ピルスナー、ボックを6本ほど買い込みましたが、改めて家に帰ってから良く考えると倍以上のビールを飲むことが出来たなぁ…などと下世話な日常感覚に戻るのであります。旅行と言う『非日常』な気分が財布の紐を緩め、観光産業を潤すのでありますから、これはこれで良かったと思うことにしましょう。ところで「風味」は…美味かった^^;
「ビールは、苦くて嫌い。」という貴女…二十歳そこそこのおネェちゃんじゃ有るまいし、人生の酸いも甘いも知らない女とは話も弾まない。「ビールの苦味は、人生そのものなんだよ。腹の底に滓のように溜まった物をビールの苦味で流し消すのさ…。」などと、急にハードボイルド調に毒を吐いても、お気楽オヤジには似合わない台詞であります^^;
さて、『クラゲラスな生き方』(←夢屋の造語)を考えている内に、今日のお題は『別れ…る』であります。
クラゲは基本的に雌雄異体ですから♂♀の別があります。それぞれ生殖器があって、♂は昨日記載した「口」から精子を放出し、♀は「口」から精子を取り入れるのであります。こうしてみると「口」と表現しているパーツは、口でもあるが肛門でもあり、生殖口でもある…人間の持つ器官にクラゲのそれを当てはめようと考えるから混乱するのであって、クラゲは「口」と呼ばれる多機能な器官(開放口)を持っていると考えた方かスマートなような気がします。有精卵が♀の「口」から放出されると、卵は「プリヌラ」と呼ばれる幼生になり、やがて岩や海草などに定着して「ポリプ」「ストロビラ」という形態に変態していくのであります。
ここで、本日のお題『別れ…る』の始まりであります。「ストロビラ」世代は、お椀を重ねたような形をしておりまして、一個々々が切り離され「エフィラ」と呼ばれる幼生となって、やがてクラゲに成るのであります。同一の個体(ストロビラ)が、さらに一個々々の個体に分離する(単為生殖)わけですから、いわゆる「クローン」ですわなぁ…。『出合いの数だけ別れの数がある。』…いやいや、クラゲの場合は『出合い(受精)の数以上に、別れ(成長)の数がある。』などと、訳の分からない妄想を始める『夢屋国王』でありましたとさ。
追記)中段の画像は、加茂水族館クラネタリウムでミズクラゲを飼育している様子です^^;
これから卒業式を迎える中坊諸君…別れの数だけ、人間も成長していくのですよ!ちなみに、本日のタイトル「別れ…る」…ストロビラが分離する様子をイメージしていただけませんかねぇ^^;