時間の問題だとは思っていたが、とうとう福岡でも新型コロナウィルス性肺炎が発症した。高齢者には重症化することが多いという厄介な「招かれざる客」のお出ましである。
昨日、猿之助の「オグリ」を観て帰った博多座でも、高校生などの団体にキャンセルが出始めたという。スポーツなど、いろいろなイベントの中止が始まった。それは、太宰府でも同じである。此処天満宮の参道は、アジア系の観光客が激減、クルーズ船の寄港も拒否されているが、個人的観光客は絶えない。だから、天満宮参道は当分近寄れない鬼門。
来月、明治座と歌舞伎座の芝居見物を予定しているが、泊まるのは横浜の長女の家。悩ましい時節である。そのうちに、劇場や映画館の閉鎖もあるのだろうか?
ダイヤモンドプリンセス号の乗客の下船が始まった。楽しかったクルーズの果てに、長い隔離状態が続いていた。その管理が妥当であったのか否か、巷では喧々諤々。16年前に、夢の豪華船旅だったものが、今では高齢者の最後の思い出作りの様相を呈している。ちょっと悲しく寂しい思いもあるが、それはそれで時代の趨勢だろう。
下船して自宅に帰った人達、旅行代金は全額払い戻されるらしいが、もう二度と乗りたくない船だろう。陰性のお墨付きをいただいているとはいうものの、当分は肩身の狭い思いが続く。
今日は、町内の「男の料理教室」。昨夜研ぎあげたマイ包丁を片手に、エプロンとバンダナで武装(?)して出掛けた。献立は、カレーライスと鯛と海老のホイール蒸し……男向きの簡単メニューである。1時間半で出来上がった料理(?)をいただきながらの談笑の席で、自治会長からこんな報告があった。町内の空き家を、中国人の学生が買ったという。たまにしか泊まらないという話だが、時折違う中国人が来ている……ということは、中国人がひそかに営む民泊?武漢で始まった新型コロナウィルス性肺炎は、化学兵器の開発から漏れたという説も、まことしやかに囁かれているとか?
こんな時節である、噂は尾鰭をどこまでも伸ばしていく。
アメリカでは、インフルエンザの罹患者が2600万人、死者も14000人も出ているというのに、ほとんどニュースにならない。日本は騒ぎすぎなのだろうか?
カリフォルニアに住む次女に出したメールに、こんな返事が来た。
「うん 毎年のインフルエンザの方がよっぽど致死率高いから、新型ウィルス出るたびに大騒ぎする日本政府には???だよ。
オレンジ・カウンティーも感染者数人出てるけど 中国人いるから当たり前だし… 別に全然騒いでなくて… 正直毎年のインフルエンザの方がよっぽど怖い。 断然感染率も致死率も高いから。
鳥インフルの時も豚の時も…こっちは全然静かだった。今回の日本の大騒ぎっぷり… ちょっとメディアに翻弄され過ぎと思う…
幸いカリフォルニアは車社会だし、インフルエンザ多いと学校もすぐ閉鎖になるから心配しないで。
ホント、日本に帰らない限り、風邪引くことも全くないし、インフルエンザは毎回予防注射バッチリやってるから」
暖冬の中に、突然冬将軍が殴り込んだ。17日午前8時27分、初雪である。平年より64日遅く、観測史上最も遅い初雪だった。
帰りの道を心配しながら車の定期転勤に出かけて、また言われた「もう少し走ってください。バッテリーの傷みが早くなりますから」1年半で走行距離僅か6000キロである。年寄りの下駄代わりの車だから、こんなものだろう。
一面の雪景色を期待して翌朝を迎えた。既に雲が切れており、夏の山野草の日差し除けに張ったネットの上に、申し訳のようにわずかな残雪が、まるでプラナリアのようにのたくっていた。
もちろん、初氷もない。蹲に立つ「逆さつらら」の気配もない。
ふと、夏の炎天への不安が兆した。
(2020年2月:写真:ささやかな残雪)