「若い人ほど、副反応が強く出る」……口コミやネットで、様々な情報が乱れ飛んでいる。当然なことながら、不安を煽るマイナーな情報の方が多いのは世の常の事。人の不幸を喜ぶ愉快犯には事欠かない。
そんな中で、ためらう人も少なくない。医師でさえ「私は接種しません!」と公言する場面にも出会った。しかし、我が家には毛筋ほどの迷いもなかった。7月1日14時30分にカミさん、時間差を置いて4日9時30分に私が、それぞれ2回目の接種を受けた。流れは1回目同様にスムーズで、15分の待機時間を含めて30分足らずで接種会場を出た。
カミさんは、少し腕に痛みが出て、夕方38.4分まで熱が出た。早めにベッドに入らせ、氷枕で頭を冷やして、予め掛かり付け医に処方してもらっていた解熱剤・カロナールを1錠服ませた。私がベッドに入る11時、薬のせいでびっしょり汗をかいたパジャマを着替えさせた頃には、36度9分の微熱迄下がっていた。翌日、軽い倦怠感が残ったが、腕の痛みは1回目ほどではなく、夕方には治まった。
私の場合。腕の痛みは、1回目より軽い。カミさんが「ブラのホックが留められない痛さ」と言っていたが、試しに後ろに手をまわしてみたが、大丈夫だった。夜から翌日いっぱい、36.9分~37度という微熱と、軽い倦怠感が続いたが、夜には平熱の36度5分で安定した。
若者並みのひどい副反応を怖れ(そして、若干期待)を抱いていたが、やはり「後期高齢者」の歳相応の結果でしかなかった。(笑)抗体が出来る今月半ば頃には、北部九州の梅雨も明けていることだろう。
2回目接種を終えたという安堵感は意外に希薄だった。ウイルスは今後も変異を重ねる、インド型・β(ベータ)型に続き、オリンピックを強行する愚かさのツケとして、ワクチン効果が五分の一といわれる南米型・λ(ラムダ)型の上陸が懸念されている。人類とコロナとの鼬ごっこは、コロナ優位のまま、先行きの見通しが立たない。2回目の接種が終わっても安堵感がわかない原因は、多分ここにある。特効薬のめども立たない中で、不毛の戦いはまだまだ続くだろう。マスク生活も、当たり前の世界になるだろう。目は表情のポイント、目美人が増えて、それはそれで楽しい……そう思わないと、この2年の耐える日々はあまりにも切ない。
庭の片隅に、いつの間にか茗荷畑が出来ていた。かつてハナミズキの紅白を植えていたが、訳もなく白だけが枯れた。その切り株の周りに、植えた記憶もないのに茗荷が生え始め、数年の内に根から増殖して、今年は50本近くに増えた。10日ほど前から収穫が始まった。油断すると白い花を咲かせてしまう。花が咲くと中身がスカスカになるから、朝晩見回って花が咲く直前で収穫しなければならない。薬味としては万能だから、カミさんの腕によりがかかる。
子供の頃、母から「茗荷を食べ過ぎると物忘れをする」と言われていた。その言葉の源をネットで辿ると、思いがけずインドに行きついた。
『インドの北部で誕生した周利槃特(しゅりはんどく)という少年がいました。この人は、兄の摩訶槃特(まかはんどく)と共に、お釈迦様に弟子入りして学びはじめます。兄は賢く、お釈迦様の教えをよく理解して仏教に帰依しましたが、弟の周利槃特はなぜか物忘れをしやすく、自分の名前すら忘れてしまうこともあったそうです。それでも、熱心に修業に取り組んでいたので、お釈迦様が名前を書いたのぼりを持たせてくださいました。
周利槃特がお釈迦様が書いてくださったのぼりを持ち、托鉢にまわると、人々はその手書きの文字を見ることをありがたがり、お布施もたくさんいただくようになりました。お釈迦様の教えの通りに、毎日掃除や托鉢に励みつつも、自分の愚かさに涙を流すこともあったそうです。それを見たお釈迦様が「自分の愚かさに気づいている人は、知恵のある人です。愚かさに気づかないのが、本当に愚か者です。」と言われたこともあるそうです。
何十年も毎日、毎日、お釈迦様からの教えの通りに、ほうきを持って掃除をつづけた周利槃特は、自分の心のごみまで除き、阿羅漢と呼ばれる聖者の位にまで到達し、お釈迦様は大衆の前で「わずかなことでも徹底して行うことが大切」とお話しをされ、周利槃特が、徹底して掃除をしたことで悟りを開いたと皆に伝えました。
その後亡くなり、埋葬されたところから見慣れぬ植物が芽をだし、花が咲きました。これをみつけた人が、自分の名を荷い(にない)努力を続けたことから、「茗荷(みょうが)」と名付け、ここで眠る周利槃特とみょうがを結びつけて、みょうがを食べると物忘れをするという由来になったという話しです。』
茗荷を食べなくても、物忘れが進む世代である。カミさんと何度も「思い出しゲーム」をすることが、日常茶飯となった。いつか、コロナ禍も忘れる日が来ることだろう。
6月27日ヒグラシ、28日ニイニイゼミ、7月5日クマゼミ、8日アブラゼミ……初鳴きを重ねて、季節は忘れることなく歩みを進めている。
(2021年7月:写真:朝採り茗荷)
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