峰野裕二郎ブログ

私の在り方を問う

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10年先を行くドイツ

2016年02月06日 | 暮らし
今日、まだ若いある建築家の方とお話する機会を得た。
 
10年ほど前まで彼は、土壁の家をこれだと信じて作ってきた。しかしその後、現在主流の高気密・高断熱の家づくりを中心に据えているとのことだった。
それに対し、私は、家の中を丸ごと暖かくする、あるいは丸ごと冷やす高気密・高断熱の家づくりについて、過剰なエネルギーの消費の観点、あるいは、人間に元々備わる環境に適応する力を削ぎ、そのことが本来の生命力を弱めることにつながる懸念等々からして、日本固有の風土・気候を考えるとき、調湿機能が高い土壁を始め、無垢の木材を用いることこそ、環境問題も含め、これからの私たちの国の家づくりに求められる方向性ではないのだろうかとぶつけてみた。
 
すると彼は、昨年ドイツへ家づくりの勉強に出かけた際に感じたということを語り始めた。
ドイツの家は「パッシブハウス」と呼ばれる家が広く普及しているという。
「パッシブハウス」とは、太陽光とか地熱とか風などを冷暖房に活用する家のことを指すらしい。ちなみに彼らは、室内の温度を冬場でも18℃くらいに設定するのが一般的のようだ。
ドイツの家づくりに対する考え方は日本より10年は先に進んでいると彼は言った。
 
ドイツは、福島の原発事故後間もなく、2001年から2002年にかけて産業界と合意していた脱原発スケジュールを復活させ、それをさらに1年早めて実行することを決めた。
原発17基のうち8基を直ちに停止し、残りの9基は、2015年から2022年の間に停止される予定のようだ。
 
ドイツの、原発から自然エネルギーへの大転換は、確かに福島原発事故がきっかけにはなっただろう。だが、それよりはるか以前にドイツ゚では「エネルギー大転換」という言葉と概念が使われ始めている。そして、福島原発事故の20年も前に自然エネルギーへの移行が正式に始まっているのだ。
長年に渡り熟慮、議論されたものが政策として段階を経て、展開されている。
ドイツ人の民度の高さをつくづく感じる。遅れは10年どころではないだろう。
 
エネルギー政策同様、家づくりにおいてもドイツが進んでいることを若き建築家は、それを肌で感じて帰国した。
彼は、今の高気密・高断熱の家づくりが本当に良いのかどうか、実は、よく分からないのだと正直に語ってくれた。
そこに客のニーズがあるから、それに応えているのだと。もっともっと勉強して、本当にお客様に喜んでいただける家づくりが出来るよう頑張りたいと瞳を輝かせた。
コメント
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