宮崎県日南市で長年にわたりキャンプを張っている広島カープが、このほど市に1億円を寄付したそうだ。
なんでも、前田健太郎投手が大リーグ・ドジャースへ移籍したことにより、球団はドジャースから譲渡金約24億円を受け取ったという。そこで、球団としては長年お世話になっているからと市に寄付を申し出たとのことだ。カープは、同じくキャンプを行う沖縄市にも同額の寄付をしたらしい。
日南市では、1億円を基金として積み立て、そのうち3千万円を新年度当初予算案に計上する方針だという。使い道としては高齢者や子供たちが利用するマイクロバスの購入費に充てる他、選手らが地元の油津商店街から休場に通う道、通称「カープ一本道」のカラー舗装にも使いたいという。
いかにも市民球団広島カープらしい話題だと感じた。
このニュースに接し、すぐに連想したのが私たちの国の寄付文化であり、それに関わる町内会を通して集める寄付金問題だ。
私は、町内会長という役割を11年間にわたり担ってきた。そうして今、あらためて強く思うことがある。それは、町内会・自治会は、そこに生きる者が豊かに暮らすために必要不可欠な存在であるということだ。同時に、現実の町内会・自治会の在り方が、そこに生きる人々を暮らしにくくしている。ややもすると苦痛を与えているのではないかという危惧だ。振り返れば、この11年間は、その複雑に絡まった糸をほぐすための営みだったようにも思われる。しかし、残念なことに絡まった糸は依然としてそのままである。
町内会・自治会の組織率の減少という警告灯が点滅しているのに、町内会長にも自治体にもそれほどの危機感はない。どうしようもない無力感に打ちひしがれている。