佐々町には、役場職員の若手のみなさんが中心となって自主的に学ぶ「ひなたの会」という集まりがある。
先週金曜日、その勉強会が講師に佐賀県庁政策部企画課の円城寺雄介さんをお迎えし開かれた。
折に触れて役場職員のみなさんと、まちづくりその他について意見交換させていただいていることから、私にもこの勉強会にお声がかかる。
今回も一般町民は私だけで、勇気を振り絞って参加させていただいたのだが、懇親会では相変わらず図々しく喋っている私がいて、後から考えるとだが、いつも赤面の至りである。
さて、講師の円城寺さんだが、全国初の救急車でのiPad活用により救急医療にイノベーションを起こしたことで知られる人である。
私にも経験があるのだが、救急車が来た後、救急車に患者を乗せてから出発するまでに時間がかかる。患者の受け入れ先の病院をそこから電話で探すことになるからだ。A病院に断られ、B病院に断られ、C病院に断られ、やっと受け入れ先が決まる。その間、一刻を争う場合もあるだろうに患者は救急車の中で待たされ続ける。いわゆる救急患者のたらい回し問題だ。
円城寺さんは、医務課に配属された際、実際に出動する救急車に一晩同乗し、救命救急センターで医師に密着したことから、救急隊員と医療機関で情報の共有が不十分であるという課題を見つけた。
そして、試行錯誤の末にiPadの利用を思いつく。その後、様々な障害を乗り越え、現在のiPadを活用した佐賀県の「99さがネット」が創り上げられた。
佐賀県では、2011年4月から県内すべての救急車にiPadが配備され、専用サイトにアクセスすると救急患者の受け入れ状況を始めとして、最新情報が一覧できるようになっているという。そのことで、佐賀県では伸び続けていた救急搬送時間を短縮することができたそうだ。そして、この画期的な取り組みは他の自治体にも広がっているという。
円城寺さんの自らの経験で得られた『良いと思ったことやるためには「私」自身が本気になる。そこに私利私欲がないことを確認する。データ・数字を示して理解を求める』。あるいは「先ずは小さいことからでいいから始める。目的は明確にシンプルに。何かをやるには楽しみや感動が必要」等の言葉が心に残った。
勉強会は彼らの業務とは別に行われる。したがって、金曜日のこの日の勉強会は業務が終わった後の夜の7時半から始まり9時過ぎに終了した。引き続き行われた懇親会のお開きは深夜12時を過ぎていた。主体的に行っていることだから、みなさん生き生きと楽しそうだった。
少子化は、言うまでもなく深刻な問題だ。全国各自治体は生き残りをかけての競争の時代に入っていると言っても決して過言ではないだろう。つまりは、市や町や村が市民によって選ばれる時代なのだ。国や自治体が意図する移住促進とか働き方改革とは全く異なるところで、個々人の哲学とか価値観による主体的な意思に基づいての働き方の、暮らし方の、何処に住むかの自由な選択が今後、ますます増えていくことが想像される。
危機感のない自治体は危うい。その点で、佐々町職員のみなさんの取り組みは尊い。佐々町の未来は明るい か。