原 題 THE ANGELS' SHARE
制 作 国 イギリス/フランス/ベルギー/イタリア
上映時間 101分
監 督 ケン・ローチ
”天使の分け前”とは、ワインやウイスキーなどが醸成過程で、樽から蒸発して失くなることを指す言葉だそうだ。
グラスゴーのチンピラが、子供の誕生を機に、それまでの暴力、窃盗、詐欺の荒れた生活から生まれ変わっていく姿を、前半シリアスの後半コメディに描いたケン・ローチらしい秀作。
悪ガキ仲間4人のズレ方が半端じゃない。それでいて、いるいるこんなの、と思い当たるキャラクター。
彼等の社会奉仕活動の面倒をみる大人の存在が素晴らしい。権力者でもなく金満家でもなく道徳説教屋でもなく、市井の貧しい普通のオジさんが、更生の手助けをする。その普通さがよく描けている。
家族のために、新しい生活に踏み出してゆくラストに、なんともいえない安心を感じる。主人公ロビーに将来に明るい希望を見るのだろう。大げさぶらないヒューマンな映画である。