テレビ朝日30日放送を観る。
時代考証がしっかりされて、しかもリアリズムの山田洋二監督らしく
ディテールが疎かになっていない。それだけ没入できる。
昨年の封切り時には同監督の時代劇3部作の集大成との触れ込みだった。
時代劇も変われば変わるもの。
少年時代に観たそれは、いわゆるチャンバラ映画。
森の石松、国定忠治、一心太助 etc。
木村拓哉、檀れいの下級武士の夫婦が見事だが、
今回改めて感心したのが中間役の笹野高史。
彼がいなければ、この切ない物語は成り立たなかったのではなかろうか。
それに、坂東三津五郎。小悪人とはこいういうものかといたく納得。
テレ朝は、今年の視聴率がTBSを抜いたという。
2時間ドラマや2夜連続ドラマがあたり、野球のアジア選手権、サッカーのクラブ・ワールド・カップも運のいいめぐり合わせになったこともあっただろう。
どのチャンネルを見てもお笑い連中の楽屋落ちのような番組や演技もろくに出来ないタレントを使いまわす今のテレビに眉をひそめる人は多かろう。
いたずらに視聴率かせぎに走らず、手を抜かない番組を作れば、ちゃんと人は観る。
毎年、年末年始の番組のお粗末さをいまさら口にするのもするのも癪だが、こうした優れた映画作品をこの時期に放送することは、大歓迎である。