恥ずかしながら、花というものの美しさに気付いたのは、つい近年。
ずっと眺めている。
藤
牡丹
ちょっと変わった映画である。事故死した父親の葬儀に出ずに、家を出て行った母親を、息子の3兄弟が訪ねる道中記である。
3人が3人とも自分勝手な我がまま流、ぶつかりながらのインドの旅の物語。
めったに目に出来ないインドの風景や街並み、生活など興味津々。
件の母親が登場するのは、映画の最終章。教会で生活し宗教活動に専心していた。これがなんとアンジェリカ・ヒューストン。ご存知映画監督ジョン・ヒューストンの娘。この存在感たるや、曲者役者の3人が束になってもとうていかなわない。
世界のIT産業のトップを走るインド。映画は最大の娯楽だという。ちょうど映画に熱気があった日本の50~60年代というところか。アメリカ映画も配給されているのかしら。だとしたら、数億のインド人が観ることになるが、果たして違和感を感じさせずに仕上がっているのか。米映画に観る日本の描き方に不満を持つことの多い身として多少の気がかり。
前知識無く入った映画館では、短編が上映された。これが実は、本編『 ダージリン急行 』のプロローグになる『 ホテル・シュバリエ 』。
3男ジャックとガール・フレンドの2人の13分。電話の声で婆さんかと思いきや、登場したのはナタリー・ポートマン。嬉しかったね。しかもショート・カット。胸がドキドキ。もう一度観ようかしら。
新宿武蔵野館。70点。
「コンサートツアー2008~2009」の初日、オーチャードホールに出かける。
チャップリン主演の映画『ライムライト』のテーマ「エターナリー」のオルゴールに合わせて歌うお馴染の歌い出しから、アカペラで観客と一緒に歌うラストまで全25曲。途中15分の休憩をいれて2時間半、熱唱の舞台だった。
第一部は、懐かしの「この広い野原いぱい」からヒット曲「涙そうそう」、目下上映中の『明日への遺言』の自作の主題歌まで9曲を、喋りを交えながら和やかに進行。一転、第二部は新譜アルバム『春夏秋冬』の収録の全13曲をノン・ストップで披露。その熱気に場内は引き込まれた。
歌の上手さは、人の持ち歌、つまりカバーの曲を聴くとよくわかる。13曲いずれも元歌のイメージは残しつつ、全く彼女の世界になっていた。選曲もよく考えられている。素人にはちょっと歌えない曲ばかり。
音作りも丁寧。バックスは優秀さもさることながら、彼らとのコミュニケーションがとてもよく成り立っているのが伝わってくる。2時間半の印象は、間違いなく彼女は日本のエンターテイナーの一人だということ。
観客席を後ろから見ると紳士も淑女も、頭髪は大分薄かったり白かったり。最後まで、自席で静かに聴く聴衆たち。小田和正の追っかけや氷川きよしのステージとは異なった熟年ファンと言えるか。
開演のまさにその時、静まった場内、緞帳の向こう側から始まったイントロ、正面中央の幕にピン・スポット・ライト。2階3階席の後方から、にわかにざわめきが起きる。突然体がゆらーりゆらーり。何と都内全域震度3の揺れが襲ったのだった。
原題:88 MINUTS
アル・パチーノ3年振りの主演映画。
FBIの異常犯罪分析医で大学教授のアル・パチーノが、彼の9年前の証言によって犯人の死刑が執行される日に、何者かによって88分後の死を宣告される。殺人鬼との追いつ追われつのサスペンス映画。
シアトルが舞台。ポルシェに乗り、ワルサーを持ち、呼吸の合った美人秘書。ハイテクの大学では、なぜか美女学生達が受講生。犯罪捜査にも女性関係にもアル・パチーノはエネルギッシュに動き回る。男優はいい。齢を重ねるほど味が出る。それにしてもアル・パチーノにはB級作品がよく似合う。
観たのは三原橋地下の銀座シネパトス。今話題の『靖国』の上映を中止にしたヒュー・マックス系の映画館だ。こころなしか、従業員の皆さんがうつむき加減だったのは気のせいか。
90点。
3人の会。
飾らない下駄履きの店。
夕方まだ暮れる前から勤め帰りのグループが早くも盛り上がっている。まさにおじさん達には、駅前で素朴で廉価で無愛想で、格好な焼き鳥屋。
何しろ味がいい。種類豊富な焼き鳥は勿論、単品も旨くて後を引く。この日は「とりせんべい」「とりかわ餃子」「五兵衛サラダ」を頼む。
生ビール「中」3杯、「芋焼酎」ボトル1本、「焼き鳥」いろいろ15本、上記「逸品」3種、〆て8700円。
気心知れた連中と久方ぶりに囲むには持って来いの店だ。
炭屋五兵衛の名は、主が「五兵衛」さんなのか、はたまた銭屋五兵衛のゆかりなのかパクリなのか、あるいは加賀の出身なのか、聞き損なった。
東急東横線「学芸大学」下車2分。