原 題 帰来
製作国 中国
時 間 110分
監 督 チャン・イーモウ
声高に叫ばない文革批判映画。
あのコン・リーが、精神を病んだ初老の婦人を演じている。知らずに足を運んだ映画館だったが、久し振りの再会。
地味な作品に気負わずに出ているのがファンとしては嬉しい。
反党的知識人として強制労働に送られた夫が帰って来たが、夫であることが判らない。この夫、脱走して自宅を訪ねる冒頭のシーンと後半の姿とはイメージが変わっていく。知的雰囲気がなかなかいい。
その夫は、妻に寄り添って、妻が待ち続ける夫を、つまり自分を共に待つというラストが実に切ない。
かつて、文革終息後十余年を経て初めて、文革批判映画が登場した。『芙蓉鎮』という。「生きろ。豚になっても生き続けるんだ」のセリフが印象的だった。それを思い出さす。
すべてのシーンにかつての中国がある。これこそが中国だという伝統的な中国が。この映画がいかに素晴らしいか、伝えた10人が10人、皆、同様の感想を返してくれた。