処遊楽

人生は泣き笑い。山あり谷あり海もある。愛して憎んで会って別れて我が人生。
力一杯生きよう。
衆生所遊楽。

西田 厚聡 氏

2008-02-29 23:22:14 | 
東芝がHD-DVD事業からの撤退を発表、かつてのベーターvsVHSの決着が13年を要したのに較べわずか2年。日ごとに、その決断に評価が高まっている。

 朝日新聞の2月24日付の囲み記事“補助線”で安井孝之編集委員が、その決断の人・東芝の西田厚聡社長について書いている。題して『撤退戦略を読み解く 問われるトップの決断』
 この記事によって西田氏について心動かされた幾つかの点がある。記事を引用して挙げてみる。

一、「約300人の記者やアナリストの前に立ったのは西田厚聡社長、ただひとり だった。(中略)すべての質疑を西田社長が1人でこなした。社長の脇を幹部が固める、他の多くの記者会見とは様子が異なっていた」

一、「西田社長は会見で『(社内で)いろいろな議論があるのは当たり前であり、そういう議論を経た上で最終決定をした』と語った。撤退戦略は最終的にはトップが決断せざるを得ないものだ」

一、「撤退と合わせて、次世代DVDの次の記録媒体とも期待されているNANDフラッシュメモリーの新工場を建設すると発表したことで、撤退のマイナスイメージを和らげた」

一、「西田社長は毎朝、6時半から8時までの1時間半を1人、社長室で過ごす。その間、じっくりと経営戦略を考えるという」

 西田社長は、早大から丸山真男を慕って東大に入り直し、イラン人留学生と学生結婚。東芝には31歳で入社。同社のノートパソコン事業の立ち上げに努力。社長になってからは原子力発電事業でウエスティングハウスを一兆円で買収したり半導体に特化した投資を次から次えと打ち出したりしている。なかなかの経営者であることを知った。非凡な人である。今更、自身の不明を恥じている。東芝には土光敏夫氏のDNAがしっかり引き継がれているのかしら。頼もしい。
 
 折から、自国の国民を守れず、自らの責任逃れにあたふたしている平和ボケの自衛官たち。西田社長に鍛えなおして貰いたい。





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陽炎の辻

2008-02-28 21:42:45 | 


佐伯泰英の長編時代小説。昨年、山本耕史の主人公役でNHKで放送されて一挙に人気作品になった感。ご存知居眠り磐音シリーズの第一巻。

人物設定がなかなかに魅力的で、物語の展開も単純。幕府の経済改革とその仕組み、その阻止に動く悪徳商人たち、なにやら現代にも通じなくはないエピソード、と読者サービス満載の劇画的読み物。

現在第24巻まで出版し計650万部。この先果たしてどこまで行くのだろうか。中里介山の『大菩薩峠』は1913~1941年に41巻まで刊行され、結局作者の死で未完に終わっている。超えるか?

こころのリフレッシュが要求される時には、格好の読み物だ。暫くはお付き合いをして見よう。フォントも大きくて助かることだし・・。

双葉文庫 680円。
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Akabeko

2008-02-23 22:45:54 | 舌鼓


20年にわたって町田で営業を続けてきた『akabeko』が、3月限りで店仕舞いというのでお別れの食事に行ってきた。



発展・充実を続け、人出も賑やかな南口につながる繁華街に比べ、北口は近年、極端に活気が少なくなってきたのが理由のようだ。
だからこそ、実は静かな環境でかつリーズナブルな同店を愛用してきたのに実に残念と言うほかはない。



この日はコースの西洋懐石『つぼみ』選んだ

   前 菜  ホタテ貝と小海老のマリネ
         シャルロットサラダ仕立て
   吸 物  人参のクリームスープ
   中 皿  カブのコンソメ煮 カニのスープ仕立て
   蒸 物  ブリとチーズの湯葉包み 白ワイン蒸し
   食 事  牛ロースのステーキ丼
  デザート  デザート盛り合わせ
   食 後  コーヒー又は紅茶

他に飛騨牛のお造りを追加
   飲み物は生ビールとグラス・ワイン 〆て二人で1万円



これからは、市ヶ尾店まで足を伸ばせにゃならんのか。

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小平秘録

2008-02-16 22:32:08 | 
伊藤正著 扶桑社刊



昨年のバレンタイン・デーから産経新聞に連載が始まったドキュメントが、いよいよ単行本になった。同年7月にその連載記事をこのブログで取り上げたが、上巻を再読し、改めて触れることにする。

'秘録'とは言うが、実は、内容の殆どは、中共中央文献研究室や党最高指導部が書き残した公刊の書籍からのものという。これだけ夥しい資料を渉猟した上で、まとめあげる構想力、精神力、筆力に驚嘆せざるをえない。

中国共産党による建国を果たした毛沢東の功績は、小平の改革開放・社会主義市場経済への転換の偉業の前には、かすんでしまうほどに思える。




石平(北京大・神戸大大学院・評論家・46歳)によるあとがき'私のみた小平、小平の時代と中国'の一節
「私達の世代にとって、小平は感謝すべき恩人であると同時に、憎むべき敵であり、追随すべき良き指導者であると同時に、反抗すべき暴君でもあった、そして、追随するにしろ反抗するにしろ、私たちの世代は結局、小平のその節々の政治的決断に翻弄されながら、小平のもうけた土俵の上で戦いを挑み、小平の敷いたレールの上で人生の道を走り、小平作り出した時代の波に乗ってゆく運命にあった」

現代中国を俯瞰するとき、最良の一冊である。
下巻の末尾になると思うが、「年譜」と「人名録」が備われば言うこと無し。
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いしかわ

2008-02-15 23:57:03 | 舌鼓
石器料理



行き始めて10年ぐらいになろうか。

料理は、「石焼」「石鍋」「石蒸」の3種類。
それぞれ5000円と7000円のコース(「石蒸」は6000、8000円)。
土曜日は1500円引き。日曜日は休み。

この日とったのは「石焼」コース。
高麗産の特製の石板で焼く牛のヒレ肉、野菜、魚介類。
仕上げは、野菜、ザーサイ、牛肉の千切りいための中国麺。
デザートはシャーベットかアイス。



ビル地下の小さなレストランだが、従業員の教育が行き届いているのか、きびきびしていながらアット・ホーム。
長く通っている理由のひとつかな。


新宿駅西口から歩いて3分。
TEL/03-3505-0088







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胡同の理髪師

2008-02-13 22:31:44 | 映画

原題:剃頭匠 英題:THE OLD BARBER

40年前、日本はオリンピック開催を機に、国土が一変した。今、中国が同じ軌跡を辿り、そっくりの只中にある。

再開発に追い立てられる胡同の住人たちの日常を、93歳の現役理髪師の日々を追ったドキュメント・タッチのヒューマン・ドラマ。

「静」のストーリー展開の中には、随所に笑いの箇所があり、古きよき人情や郷愁がしみじみと感じられてくる。

ハスチョロー監督は、「一人の人間が死をどう迎えるか。きちんと生きて死ぬには、どんな心づもりすればいいか。時間をかけて話を練り上げた」と言い、テーマは重い。

巻頭の、チン爺さんが、馴染みの老人の頭を刈り、髭を剃るクローズ・アップのシーンは凄い。ブラシで石鹸を塗り、剃刀で剃る。その匂いと音と感触が伝わってくる。鳥肌が立つほどだ。

 ロードショー3日目。場内は見たところ50歳以上の夫婦連れで満席。身につまされずにはいられない。

http://futon-movie.com/

岩波ホール 85点。

 

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ラスト、コーション

2008-02-09 00:25:38 | 映画
原題:戒・色  英題:Lust, Caution



昨年のベネチア国際映画祭金獅子賞、同撮影賞受賞。
監督は『ブロークバック・マウンテン』で05年度アカデミー監督賞受賞のアン・リー。

戦時下の魔都上海は、最も好きなシチュエイション。駄作だろうが外国作品だろうが、とにかく観る。この作品は期待を裏切らなかった。

日本の傀儡・汪精衛(汪兆銘)政権の特務のトップであるトニー・レオンと彼の命を狙って愛人になる抗日スパイ・タン・ウェイの愛欲とサスペンスの物語。

かつてトニー・レオンは「なんだこのやさ男」くらいしか思わなかったが、観るほどによくなってきた。渋さがなんとも言えない。陰がふさわしい。改めて気づいたが、漆黒の髪は欧米人にとっては得がたい魅力だろうか。

時代考証が丹念で、セットはまるで往時そのもの。市中の点描も文句なし。



タン・ウェイは1万人のオーデションから選ばれた新人。体当たりの演技とうたわれ、字義通りのシーンが続出。が、ネット画像氾濫の昨今では、さほど驚くには当たらない。彼女は第2作目が難しい。が大いに期待したい。



http://jp.youtube.com/watch?v=MA6yaVDlru0

2001年のウォン・カーウァイ監督、トニー・レオン、マギー・チャンの『花様年華』には及ばなかった。

ル・シネマ 85点
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雪景色

2008-02-03 19:53:32 | 四季

2年ぶりの雪。

日曜なので、通勤通学の混乱は無く、文字通り天から与えられた休養日。

真っ白な世界にくるまって、静かな一日となった。

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歓喜の歌

2008-02-02 23:46:27 | 映画

       

珍しくロードショー初日に観る。前の上映回には出演者の舞台挨拶があったようで、大勢の人達と入れ替わって場内に入った。

町の市民会館の主任が、大晦日のママさんコーラスの予約をダブル・ブッキングで受付てしまったために、公演を巡っての大騒動を描いた人情コメディ。

         

 芸達者たちの出演で、素晴らしい内容になった。満足感一杯になる。

この映画の成功は、キャスティングのうまさに負うところが多い。他の俳優では考えられないほどピッタリ。

         

 小林薫が演じる市職員・飯塚主任の、いい加減で場当たりで薄っぺらな人間性は、 誰もが持つ一面でもあり、何だか気恥ずかしいやら居心地の悪さを感じぜずには居られない。

でも最後、観終わったあとには、「人間ていいな!!」 「よし、頑張ろう!!」という思いになる温かい映画である。

日本の映画もなかなかやるじゃない! 捨てたもんじゃない!と実感。

新宿ガーデンシネマ。100点。

 

 

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国家の罠

2008-02-01 22:23:03 | 
新潮文庫、550ページ。



凄い人だ。佐藤優氏のような外務官僚がいたとは。
果たして氏のような硬骨の職人官僚は他にいるのかしら。
いれば日本の将来は大いに希望に満ちたものになるのだが。
佐藤氏の優秀さと異能には驚嘆するばかりだ。以下、諸点を抜粋。



観察力
「この事務官は経験不足なのか、自己陶酔癖があるのか、仕事に酔って興奮しているだけだ。こいういう手合いはたいしたことはない。過去の経験則から、私は利害が激しく対立するときに相手とソフトに話ができる人物は手ごわいとの印象をもっている。その意味で、この検事の方は相当手ごわそうだ」

「情報の世界では、第一印象をとても大切にする。人間には理屈で割り切れない世界があり、その残余を捉える能力が情報屋にとっては重要だ。それが印象なのである」

記憶力
「情報屋の基礎体力とは、まずは記憶力だ。私の場合、記憶は映像方式で、なにかきっかけがなる映像がでてくると、そこの登場人物が出てくると、そこの人物が話し出す。書籍にしても頁がそのまま浮き出してくる。しかし、きっかけがないと記憶が出てこない。 
 私にはペンも紙もない。頼れるのは裸の記憶力だけだ。独房に戻ってから、毎日、取調べの状況を再現する努力をした。私の体調がよくないので、取調室には科学樹脂の使い捨てコップに水が入れられていた。私はときどきコップを口にする。その水の量と検察官のやりとり、また、西村検事は腕時計をはめず(腕時計をしているならば、時間とあわせて記憶を定着させることはそれほど難しくない)、ときどき懐中時計を見る癖があるので、その情景にあわせて記憶を定着させた。いまでも取り調べの状況を比較的詳細に再現することができる」

胆力
「『僕や東郷さんや鈴木さんが潰れても田中(眞紀子外相)を追い出しただけでも国益ですよ。僕は鈴木さんのそばに最後まで思っているんですよ。外務省の幹部たちが次々と離れていく中で、鈴木さんは深く傷ついています。鈴木さんだって人間です。深く傷つくと何をするかわからない。鈴木さんは知りすぎている。墓までもっていってもらわないとならないことを知りすぎている。それをはなすことになったら・・・』
 略(西村検事)
『僕が最後まで鈴木さんの側にいることで、その抑止にはなるでしょう』
 略(西村検事)
『大丈夫です。そこは覚悟しています。これが僕の外交官としての最後の仕事と考えています』」

国策捜査
「被告が実刑になるような事件はよい国策捜査じゃないんだよ。うまく執行猶予をつけなくてはならない。国策捜査は、逮捕がいちばん大きいニュースで、初公判はそこそこの大きさで扱われるが、判決は小さい扱いで、少し経てばみんな国策捜査で忘れてしまうというのが、いい形なんだ」国策捜査で捕まる人たちはみんな大変な能力があるので、今後もそれを社会で生かしてもらわなければならない。うまい形で再出発できるように配慮するのが特捜検事の腕なんだよ。だからいたずらに実刑判決を追求するのはよくない国策捜査なんだ」(西村検事)

「国策捜査が行われる場合には、その歴史的必然性があります。当事者である検察官も被告人もその歴史的必然性にはなかなか気付かずに、歴史の駒としての役割を果たしているのでしょう」

外務省の崩壊
「日本政府の一機関である外務省が、鈴木宗男潰しのために革命政党である日本共産党を利用したこの瞬間に日本外務省は内側から崩壊したのである。外務省に頼まれ、北方領土問題で政治的リスクを負い、多大な労力と政治資金を使った政治家が、国賊、売国奴として整理されてしまうことは理不尽だ」


(東京拘置所面会所)


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