完全版:ニュー・プリント・バージョン
何度観ても圧倒される。初めての上映は1962年。
よくもこんな映画を造れたものだ。スケールや配役は勿論のこと、全てにわたって最大・最高の映画である。実写でここまでやれるのか。ただただ驚異の作品である。
ピーター・オトゥールは、最近のマッチョのヒーローとは一線を画した屈折したインテリ・ヒーロー。
はじめは反目するが、やがてオトゥールを支えるオマー・シャリフ。彼なくしては、この名作は生まれなかったのではなかろうか。それほどいい。
彼が炎熱の砂漠の彼方の点の存在から、蜃気楼の中を近づいて来るロングのワン・ショットは後世に語りつがれる名シーンだろう。
名優がこれほど多く、しかも女優陣がいない映画という点も特筆すべきか。
砂漠は、もう一方の主役だ。美しい。デビッド・リーンはこれをものしたくて、ロレンスの映画を撮ったのではないかと思えて来る。
蛇足だが、勅使河原宏の『砂の女』は、砂を描いて双璧と言える。日本の砂も美しい。そして恐い。
新聞広告のスティーブン・スピルバーグのコメント
「この作品を見た翌日、私は監督になろうと決心した」
何をか云わんやである。
テアトル・タイムズスクエア 100点