著 者 田原総一朗
出版社 毎日新聞出版
頁 413頁
定価 1,598円(税込み)
ベテラン・ジャーナリスト田原総一朗氏の手になる創価学会本。果たして如何なる内容か興味津々で頁を捲った。結果は予想外、ここに氏の「朝ナマ」イメージは無い。あるのは、3年をかけたという取材の情熱と巧みに構成・配置された正真のルポである。400頁をあっという間に読ませる力量はさすがである。
創価学会には毀誉褒貶が多い。好嫌の感情で両極にイメージが二分されてきた団体が創価学会という言い方もあろう。その磁場に田原氏は自身の目と耳と口と足と手で、真正面から挑んで描いて見せたのが田原創価学会、この本である。
サブ・タイトルを付けるなら "その歴史と運動"あるいは "私の見た創価学会"とでもなろうか。創価学会の現代史がよく判る。
反学会の人々は氏の“変節”に激怒し、学会の人々は“応援”と狂喜することだろう。これまで同時代をセンセーショナルに切り取ってきた氏のこと、喧騒は折り込み済みではなかろうか。
近年は佐藤優氏や森田実氏がフェード・インして創価学会側で論陣を張っている。かつては竹中労氏もいた。加えて田原総一朗氏となるのか。その動機はいかなるものか。心の動きが知りたい。
それにしても、宗教団体創価学会は、もっと研究されていい、政治以外でも。例えば、リーダー論、師弟論、社会運動論、組織力学等々、社会学的考察に恰好の対象とは言えないか。