原 題 EMPEROR
制作国 日本/アメリカ
上映時間 107分
監 督 ピーター・ウェーバー
ある種、タイミングを計ったかのような、日本での封切りである。
第2次安倍政権、自民圧勝、日韓、日中、原爆忌、敗戦記念日。
日本を扱った洋画では、描かれた側の日本からすると、 大なり小なり、偏見や独断が気になることがこれまで多かったが、この映画は、その点に違和感がない。中国、韓国が、この視点の映画を作れるか、30年経っても無理だろう。
アメリカでは、戦った相手国の現代史の原点を映画にしてビジネスが成り立つのか、不思議な気がする。天皇に戦争責任があるのか。日本国内でさえ大きな関心や意味の問いかけは時を得てはいない。が一方では、観に入ったお盆の映画館は熟年配の観客で一杯という事実もある。
この物語にも登場する宮内次官の関屋貞三郎が伯父さんこあたるというの映画のプロデューサー奈良橋陽子氏は、田原総一郎にインタビューで、次のように語っている。
「アメリカは、日本以外の国では韓国、ベトナム、アフガン、イラクと全て占領政策に失敗していて、成功したのは日本だけ。そのことを殆どのアメリカ人は知らない。だから、なぜ日本では成功したのかということをアメリカ人に知ってほしかった」と。
浅田次郎の『終わらざる夏』(集英社文庫、全3冊)を終え、その余韻の中で、この作品を観、いろいろ考えること大である。