著者 ヤマザキマリ
発行 文芸春秋 文春新書
実に小気味のいい本である。著者が、映画『テルマエ・ロマエ』の原作者であることを知らずにいた。
大体が、テレビで流れる映画『テルマエ・ロマエ』のCMカットは、何やら騒々しく、俳優の阿部寛を好きでなかったこともあり、さらには原作がマンガと知るに及んで、関心外ではあった。
しかしながら、この自身に満ちた論述に触れて、タダモノでない気配を感じるに至る。類例の少ない日本人女流作家ではなかろうか。
終章の、興業収入58億円の映画『テルマエ・ロマエ』の原作使用料が100万円という騒動の下りの当事者の言い分は、興味を惹かれる。あまり知られていない業界の遣り口を世に曝したという点において功績大である。