サブタイトルにある通り、本書の筆者は中国と日本の両国の約20名、その多くが長年にわたって両国の報道や研究に携わり、それぞれ駐在記者としてお互いの国に派遣された経験を持つベテラン記者たちである。
記されているのは、私たちが聞いたり見たり経験した両国関係の重要な出来事であり、語られているのは戦後の中日友好事業の礎を築いた人や井戸を掘った人たちである。
取り上げている時代は、1959年の日本の長老政治家松村謙三氏の戦後初の中国訪問から2007年の中国の総理温家宝の来日までの約半世紀。出版は国交回復35周年の2007年9月に中国の五洲伝播出版社から。
半世紀にわたって自ら報道してきた記者たちが、少なからずの人数で書き編んだドキュメント。事実の重さがずっしりと伝わてくる。日中両国の現代史を綴った類書は数多くあれど、ユニークさと貴重さでは群を抜くのではないか。
繰り返し繰り返し読み続けて行きたいと思う。学習したいと思う。
本書の制作で中心的役割を果たしている劉徳有氏とは一時代を共有している。国交回復前、中国からの駐日記者が3人だった時代。
新華社、文匯報、光明日報から、劉徳有、王泰平、高地氏。誰がどこのメディアだったかは失念したが、気軽に往来をしていた。語り合うのは、両国の将来。そうした歴史の一幕になるが、結婚式を迎えたある日、お祝いとして額絵を戴いたのだった。
ネットで本書を知り、購入を試みたが "在庫無し" か "絶版"。無理もない、もう12年前の出版物である。ところが"あった"のである。中国書籍専門の内山書店(東京神田)。棚にある筈のものが無く、倉庫にあった、しかも大量に。1冊9千円余。中国語と日本語となれば致し方ないか。