処遊楽

人生は泣き笑い。山あり谷あり海もある。愛して憎んで会って別れて我が人生。
力一杯生きよう。
衆生所遊楽。

トゥヤーの結婚

2008-03-30 22:05:43 | 映画

原題:図雅的婚事   英題:TUYA'S MARRIAGE

07年ベルリン国際映画祭金熊賞受章

中国の内モンゴル自治区が舞台。遊牧民の伝統的なライフスタイルが失われていくなかで、井戸掘りの事故で半身不随になった夫と子供二人との生活を必死に支える女性の物語。

 

この先の生活のために離婚を決意、新たな再婚は、先夫との同居が彼女の条件。実際にはあり得ないであろう展開が、映画を観る者に、「そう突飛でない」と思わせる新進気鋭の女優、ユー・ナンの演技が見事である。

 

極貧でも、夫を愛し子供を慈しみ逞しく生きるヒロインに暗さはない。生き抜く意志の強さが迫ってくる。

 

ヒロインを除き、出演者たちは実際の遊牧民。勿論演技は素人。素朴な味がいい。それが映画的に成功してる。

 

90点。10点の減点は、季節が秋から冬にかけてのようで、あの緑に溢れた大草原のシーンが出てこないから。

 

ル・シネマ。      

               

     

    ユー・ナン

 http://tuya-marriage.jp/

 

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吾亦紅

2008-03-27 13:36:46 | 音楽

 

          

われもこう

 

作曲家の杉本真人の母の死に際して、友人のちあき哲也が献詩、それに杉本自身が曲を付けたプライベート版が始まりという。

 

07年2月発売。札幌のSTVラジオで話題となり、ミニライブや有線放送などで次第に人気を得、昨年の紅白に歌手すぎもとまさと58歳初出場とまで相成った。

 

心を揺さぶられずにはおかない、思い溢れる歌である。ライブでは観客が漏れなく涙したというのも頷ける。  

 

現在の日本の音楽状況は、中高年世代には決して芳しいとは言えない。むしろ不幸とさえ言える。分野で言えば、この20年来の艶歌の悲惨さは耳を覆うばかりである。

 

それがどうだ、この曲は。曲と詞と歌い手が三位一体となって胸を打つ。旋律、詞、声、さらに加えれば伴奏。どれ一つが変わっても、この感動は生まれない。

 

高齢化社会のトップを走る日本。団塊の世代が満足できる歌が出た。このことは、今後の社会の変化や文化の在りように大きなインパクトになりそうな気がする。

 

著作権により歌詞は載せられない。ならばyoutubeで(というのも変な話だが)

 http://www.youtube.com/watch?v=Xn4nYiA1fF8

 http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/saijiki/waremokou.html

 

 

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ヒトラーの贋札

2008-03-25 15:43:30 | 映画
原題:DIE FALSCHER 英題:THE COUNTERFEITER
ドイツ、オーストリア合作。 '07年アカデミー賞外国語映画賞受賞。

1959年、オーストリアのトプリッツ湖から9つの木箱に入った1億3460万英ポンドが発見され世界が驚愕した。ナチス・ドイツが"ベルンハルト"と名づけた世界経済混乱作戦で製造された贋札だった。

この作戦に強制的に働かされたユダヤ人の手になる原作をもとに、殺されないために贋札作りをするか、正義のために抵抗をして死を選ぶか、その葛藤と苦悩が描かれている。

普段観ることの少ない国の映画を観るのは楽しい。
内容も映像も暗いにも拘わらず、中だるみもせず、96分はアッと言う間に過ぎた。主人公の稀代の贋作師サリーに扮したカール・マルコヴィクスの演技によるところが大きいのではないか。

人を喰ったような表情。真剣のような真剣でないような、真面目なような不真面目のような、いい加減に見えてそうでないときもあって、いろいろな想像が掻き立てられる。したたかに生き抜く存在感に圧倒される。

銀座シネパトスは1列8席が9列、全72席の気の利いた試写会場のような小劇場。観客は11名。若者は2人で、他は中高年。このような暗いB級映画にくるのは余程のシネマディクトでしょうか。

銀座シネパトス。100点。
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シャンソン・コレクション ~わが麗しき恋物語~

2008-03-22 16:22:44 | 音楽


CD club 2月新譜

クミコが本家帰りでシャンソンを歌う。こんなにも自分の解釈で歌う歌手を、他には知らない。「ラスト・ダンス・・」などは、往年のコーチャンファンが聴いたらずっこける事疑いなし。
なぜ、彼女の歌はいいのか。以下は、彼女のこのアルバムを出す弁である。

『私が大事にしているのは、曲の中に生きている「人」や「風景」が立ち上がるまで歌うということ。どの歌にもそれぞれ主人公がいますが、「こんな人っているな」とか、「それは自分かもしれないな」とか、そんなふうに歌を立体化するためには、私自身の想いというフィルタを通すことが重要なんです。シャンソンが面白いのは、年を重ねたほうがその立体化がしやすくなる音楽だからです。若い人が歌っても何だか平面的に感じる歌でも、年を経てきた人が同じ言葉、同じメロディで歌うと、上手い下手とは別に、急に歌が立体化される。私自身、同じ歌でも年を重ねるごとに見えてくるものは全然違いますね。自分が年をとって、やっと説得力を持てるようになったかなと、この頃思うんです』

 
『人間は、最後には死ぬということと向かい合っていかなければならない。そのなかで、生き続けるために考え出したのが、歌を歌うということではないでしょうか。私はそのお手伝いをしていく。生きることは素晴らしいって何回でも思わせてあげたい、そして自分も思いたい。そうやって心が希望に向いているってことが私のすべてです。生きるということを俯瞰できるようになった今のほうが、歌自体もよく見えるようになりました』

『今回のアルバムに入っている歌を、ひとつひとつ短編小説や短編映画のように思って聴いていただけると面白いと思います。今はとても物語の少ない時代。歌自体にも深みのある物語は少なくなりました。その点、シャンソンには非常に面白い物語がたくさんつまっています。大人の方々の心を満たす物語が必ず一曲はあると思うので、ぜひ聴いていただければと思います』

 1、わが麗しき恋物語
 2、サン・トワ・マミー
 3、愛の讃歌
 4、愛の追憶
 5、アプレ・トワ
 6、夢の中に君がいる
 7、もう森へなんか行かない
 8、十八歳の彼
 9、幽霊
10、雨降る街
11、愛しかないとき
12、帰り来ぬ青春
13、ラスト・ダンスは私に

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イヌシデ

2008-03-17 21:39:10 | 身辺雑記
我が傾斜面の庭に立つ高木。ここ数年衰えが目立つので、植木屋さんに手を入れてもらって、初めてその名前がわかった。

イヌシデ(犬四手)。別名シロシデ(白四手)、関西地方ではソロと多く呼ばれているとか。

     


雄花序。小さな雄花が集まり、風になびきます。


常緑樹VS落葉樹。個人の好みは落葉樹。
ちなみに、ジャズ演奏(レコード、CD)でもっとも多いスタンダードの曲のひとつは『枯葉』

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湖畔の結婚式

2008-03-16 22:04:31 | 


ちょっとドライブに出かける。 

春まだ浅く、晴天だが寒風。 

静かなところでゆっくりランチでもと、ホテルのレストランに入る。

気が付けば、三々五々、フォーマルの人達。

賛美歌が流れて、なんと結婚式がはじまった。

湖畔の芝生の上。バックは連山の向こうに富士山。

周囲に祝福されて、新郎新婦に花シャワー。

彼此を比べて感慨無量。

どうぞ末永くお幸せに。
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母べえ

2008-03-13 16:37:20 | 映画
やっぱり、予想通りのものだった。
日本の戦争下の暗い母子物語。

確かに戦争前までは、どこにでもいたような日本の母。
どんな逆境でもじっと耐えて、慎ましやかで、夫に従い、子供を守り育み、
一人労苦を背負って生きる日々。

演じるのは吉永小百合。彼女がもっとも相応しいと誰もが思う。
あるいは吉永自身もそう思い、賢明な母を演じる。

映評はどれも激賞。

しかし、映画的面白さは伝わって来ない。
感動もない。反戦の思いもそれほど湧いては来ない。

監督や出演陣が、カンヌに行っていたことは、市川昆逝去のニュースで
知ったのだが、彼らは、受賞にエントリーすると思っていたということか。

それにしては、あまりに日本的な映画づくりで、ワールドワイドなテーマや普遍性からはほど遠い。

山田監督は吉永小百合に頼り過ぎないか。
吉永小百合も、同パターンの役ではない、新境地ワクワクの映画に出るべきだ。

新宿ジョイシネマ。70点。


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つづみ留次郎

2008-03-09 21:49:44 | 舌鼓


四谷三丁目。ついこの間までは、『 炙り焼 いち雲 』

頑張っている後輩の激励で、馴染みを訪ねたら店が変わっていた。
ちょっと躊躇した後、他に行くところもないし、暖簾を分けて入った。

隠れ家風は以前と同じ。落ちてる照明もそのまま。
居抜きでオーナーが変わっていたようだ。

『 いち雲 』は魚屋や野菜の一夜干し。
しかし、こちらはたん焼き。



味噌味焼きたん、さいころ焼き、野菜、はたはたなど。
焼酎はどれも500円。


はたはた

これなら通ってもよさそうだ。

160-0005
新宿区愛住町4-1湯本ビル
03-3356-8323
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村上 春樹

2008-03-04 21:32:06 | 


書棚を整理していて遭遇した。B4版半折綴じの『スイング25年の歩み』である。ザラ紙に黒インクでテキスト印刷された小冊子。外側は黄ばんでいる。水道橋駅至近の神田川のほとりのビルの地下にあったトラッド・ジャズ専門の喫茶店「スイング」が開店25周年を記念してつくったものである。発行は昭和58年1月20日。
賑やかで活発な関西と違って、貧弱な関東のトラディショナル・ジャズ・シーンを牽引してきた同店だけあって、当時錚々たる面々が記念のメッセージを寄せている。油井正一、河野隆次、瀬川昌久らのジャズ評論家の各氏。ジャズ・クラブの主宰者、レコード会社の幹部などだ。その中に混じって、作家・村上春樹氏も一文を寄せている。

その中で彼は、自分が同店でアルバイトをしていたのは11年前まで、つまり昭和47年までと述べている。何年働いたのだろうか? 期間によっては私が通っていた時期と交錯する。



「トラディショナル・ジャズの良いところは人目を気にしたり格好をつけたりしないで聴けるところじゃないかという気がします」
「当時は大学紛争なんかがポシャちゃった直後で、そういうエア・ポケットのようなところがかえって体になじんだという記憶があります」と書いている。

店に迷い込んだ猫にメズロウと名付けてみんなで飼ったこと、ブラインド・フォールド・テストで一度も当たらなかったこと、『響』でアルバイトをしていた夫人と待ち合わせをして帰宅したこと、神保町「いもや」の天丼が170円だったことなどを紹介し、「大昔の話みたいな気がします」と懐かしく追想している。

彼の作品に通底するジャズ感覚は、ここでも培われたのだろう。
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Duke Meets Rabbit

2008-03-03 23:32:39 | ジャズ
CD club 3月新譜



久しぶりにジョニイ・ホッジスが出た! 今どきニューリリース? そんなバカな、と言いつつ、早速取り寄せ包装を解く。聴けばなにやら、これまで聴いてきた同じ音源。騙された!

クラブ会員に名盤、幻盤、珍盤(など無いか)を提供する有難いシステムなのだが、アルバム・タイトルは全く別にするため、こうしたことがしばしばある。著作権やビジネスの上でのルールなのだろうが、ならば、事前に万全な周知をしておくべきではないのか。

2大巨頭ががっぷり組んだ2枚のアルバム、『 BACK TO BACK 』『 SIDE BY SIDE 』の合併盤。
1,Wabash Blues
2,Basin Street Blues
3,Beal Street Blues
4,Weary Blues
5,St.Louis Blues
6,Loveless Lobe
7,Royal Garden Blues
8,Stompy Jones
9,Squeeze Me
10,Going Up


1~7は、『 BACK TO BACK 』から。


8~10が『 SIDE BY SIDE 』から。

相変わらず演奏はご機嫌。当たり前か。
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