著 者 樹下 智
出版社 第三文明社
定 価 1,000円
歴史的転換点となったイギリスのEU離脱、その世界の変わり目の現場ルポルタージュである。
ヨーロッパ各地でのインタビューの内容がいい。説得力がある。これは聴き手の視点と洞察力が優れているからだろう。
デイリーの新聞でもこうしたルポはあるが、連続性と思想性に欠けるきらいがある。こうして一冊に纏ると、この本自体が、歴史の刻印として実に貴重な資料となる。
巻末の「あとがきにかえて」によれば、聖教新聞社外信部として初の企画編集物の出版だという。その意気込みと高い志が誌面から伝わってくる。第1号は成功といえる。
著者は、今回、取材に応じてくれた識者を終生大切にしていくことだ。自身のこれからの世界平和の探求に限りない力と智恵を提供をするに違いない。それほど打ち合いに力の入ったのインタビューだったと読みとれる。
惜しむらくは、現下のトランプ騒動。この驚天動地の大混乱が無ければ、本書は、もっと広くもっと強く読まれたに違いない。