処遊楽

人生は泣き笑い。山あり谷あり海もある。愛して憎んで会って別れて我が人生。
力一杯生きよう。
衆生所遊楽。

人生の1冊の絵本

2021-06-28 14:48:24 | 

著者 柳田邦男

出版 岩波新書

338頁

  

素晴らしい本に出会った。新聞の一隅の広告だったと思う。行幸と言うほかない。

近年、新聞やテレビで著者の姿を見ることは無く、加齢によるフェイド・アウトは致し方ないと、一抹の寂しさを感じてはいたが、どっこい、凄い仕事をされていた。この本によって取り組まれている今の仕事を知るにつけ、敬意と感動と夢に包まれることになった。

著者が「絵本を読もう!」との呼びかけを始めて20年になる。現在も継続中の看護専門紙『看護管理』の2014年4月号から2019年9月号までの連載から53編を一部加筆し、絵本新時代論として再構成したものである。

       柳田邦男氏

著者は ”あとがき” に書く。「絵本は幼い子供のために絵で言葉を補っている本だと思い込んでいるいる人が多い。だが違う。大人が自らの人生経験や心に抱えている問題を重ねつつじっくり読むと、小説などとは違う独特の深い味わいがある」「哲学や文学と並ぶ独自の表現ジャンルと位置付けられる」と。

頁を繰って読み進むうちに、取り上げている絵本が、すぐにでも読みたいという衝動に駆られる。絵の色合い、活字のポイント、それらのバランス、前後ページとの流れ、作者の思いなどだ。その欲求が湧くほどに柳田氏の文章に力があるといえるだろう。

巻末に取り上げた全165冊の絵本の頁が索引されている。便利である。これによって、本文に立ち返って絵本1冊ごとの概要と作者や勘所また背景などが振り返ることが出来る。

これはいい目標が出来た。これから先の人生、この書を座右に置いて、165冊を読んでみることにしよう。素敵なガイドブック、それも人生を考えるガイドブックだ。有難し。

 

 

 

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紙鑑定士の事件ファイル

2021-06-23 13:58:27 | 

著    者 歌田 年

出版社 宝島社

315頁

2019年第18回『このミステリーがすごい!』大賞受賞。

    

紙の業界で普通に働く一市民が、彼が持つ紙の蘊蓄から事件に首を突っ込みはじめ、捜査当局をリードする活躍を描いた異色の探偵小説。登場人物のキャラクターの造形がユニーク。

タイトルの故からでしょう、この本自体が相当入れ込んだ作り方をされている。

表紙の見返しにこの本に使用している用紙の説明書きがある。本の構成とその名称が描かれており、読者には目が鱗。これが実にいい。

1頁から320頁に至る本文には4種類の用紙が使われている。"アルトクリームマックス 四六版 52.5kg"、"メヌエットライトC 四六版 55kg、・・・という具合の紹介があり、「風合いをお楽しみください」とある。その区別など、さすっても透かしても素人には区別はつかない。

      

相当の本好きでも本の成り立ちには、ほとんど関心がない。こうして改めて教えられること自体がかなりのミステリアス。なるほどと合点。

    

CDディスクが挟まれている、頁を括ると中の絵が立ち上がってくる、景品が付いている、袋とじがある、など本にも種々の創意工夫がある。この本もそうした営業的な視点もあろうが、なかなか味のある趣向である。

    

著者は、プラモデルについても知識に精通しておりオタクレベルと推察する。或いは車もかな。

物語の結末に神奈川県の平塚市が登場する。ブログ主が22歳まで過ごした地である。記憶に残る一冊になった。

 

 

 

 

 

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或る世界地図

2021-06-16 15:41:57 | 身辺雑記

先日、仙台に住む畏友から世界地図帖を戴いた。実は、"畏友"と呼ぶにはそれこそ文字通りの畏れ多い人生の大先達である。40年来行き来を重ね折々にご教導を戴いて来た。
東日本大震災では、被災3県を中心に東北中を救援に駆け回り、希望と勇気と励ましをされた人格と行動の人である。

    

戴いた便りに同封された氏の添え書きには、「福島県の90歳の婦人から戴いたもので、その婦人が尊敬してやまない人生の師(池田大作創価学会名誉会長)の世界平和の行脚が今年で70年。記念にその足跡を辿ったその方の自作の地図です。戴きました」とあった。

   

手に取れば、DAISOの『WORLD ATLAS 世界地図』。
地図には、池田氏が訪れた国名と年月がそれぞれの国に貼ってある。
54か国を数える。1か国1行なので、おそらく複数回の訪問の場合は第1回目をカウントしてるのだろう。

    

  《 アジア  》  

            

   

   《 アメリカ 》

 

一行のメモはマーカーで色分けされている。大陸別ということのようだ。

     

  《 ヨーロッパ 》 

 

  

 《 周恩来と池田氏 》

 

人生の師匠に感謝したい宣揚したい、それをどう表現するか様々である。各人各様である。

創価学会のホームページをはじめとして関連情報は溢れている。テキスト、画像、データなどの内容は、規模と深さとヴィジュアルにおいてこの地図帖の数十倍数百倍であろうと思う。

           

      《 池田大作氏 》

齢90の婦人は、DAISOの世界地図帖を選択し、エクセルで年月と国名の一覧表を作り、1行づつ切っては貼り付けをしたに違いない。これを100部仕上げて、記念のお祝いとして親しい友人・知人に差し上げておられ、これはその中の一冊、お裾分けである。

ブログ主も馬齢を重ねて、人生の機微や感謝の心を知るようになった。

思いは行動に表れる。表れてこそ、 ”思い" "心”は他者に伝わる。この先の人生に大きな勉強をさせて戴いた。感謝である。

 

 

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プラネタリウム

2021-06-13 13:38:23 | 身辺雑記

『タウンニュース』の隅の告知案内で知り、コロナ禍の引きこもりの気分転換の積りで行く気になった。
プラネタリウムは、小学生の頃に初めて経験し、23~24歳の時のデートが2回目。で今回が3回目。

 

《のんびりアロマ》のキャッチに惹かれ、香りに包まれての星空の下の12時間(実時間は50分)。解説無しというのがいい。上の画像は、江の島の展望台から片瀬、鵠沼海岸方面を望むプラネタリウムの投影画像。
場内は、児童が多いと思いきや、若い男女のペア、母娘の二人連れと夫婦物。

 

    

事前に電話で予約、入場料は@500円。入場時に本日のスペシャル・プレゼントの紙石鹸を戴く。懐かしい! 本日のアロマ【玉響】(たまゆら)。松・ライム・バチュリのブレンド。場内にも馥郁を微感。

   

上映中の音楽は、あれはきっとビル・エバンス・トリオのバラード。ベースが効いている。
この演出の最後の曲の予想を試みた。「星に願いを」。
結果 "ピンポーン" 。

 

上機嫌。とてもいい夜になった。
残念なのは、終了後に食事が出来なかったこと。緊急事態制限下で飲食店の営業は20時まで。
余韻を楽しみたかったのに。

 

 

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ウォーキング・ロードの草花 ’21夏 ⅱ

2021-06-12 13:22:20 | 四季

今日から、ウォーキングの開始時間を2時間早めて7時にした。
お陰で、農道脇でコイン買いの野菜が豊富。
トマトとキュウリとトウモロコシを買う。〆て750円。 

    

    

【宿根カスミソウ】原産:地中海沿岸、中央アジア、シベリヤ。
  切り花や花壇用に栽培・生産される。日長が長いほど開花が促進される長日植物で、日本では熊本県で生産量が多い。《撮影:庭草》
花言葉:"切なる願い"   

 

     

    別名:"オータムセージ"、"チェリーセージ"
 原産地:アメリカ・テキサス、メキシコ。《撮影:庭草》

 

    

【和名:薄紅葵】
花はハーブティとして利用されており、お湯を注ぐと透きとおった青いお茶になる。レモンを浮かべるとピンク色に変色するので、大変人気がある。
民間薬として、咳や胃炎に効果があるとされている。《撮影:庭木》
花言葉:"穏やか", "柔和な心”  

 

 

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或るご挨拶状

2021-06-10 15:15:16 | ちょっといい話

これは、故人から生前お世話になった方々に届いた逝去の挨拶状です。
普通よくある葬儀の挨拶状とは異なります。亡くなった本人からのという点において。

本状を受け取った一人一人は、この差出人が既に亡くなったことを、これによって初めて知ったの
です。読んで呆然、事態が飲め込めません。暫くの後やっと理解に至ります。

 

  

家族(遺族)の理解のもとに、生前の元気な時に自らが文章を練り、送り先を考え、タイミングを計って投函したに違いありません。
残念ながら先に逝った親兄弟、恩師、友人などとの彼の国での再会を期待し、現世に残す親類縁者への思いを認める。
故人の人柄と遺族との麗しい関係が一目瞭然。何と素晴らしいことだろうかと感嘆しました。

近年、古い伝統や格式に則った豪華な葬儀は敬遠され、友人葬・家族葬或いは直葬という形が好まれています。この挨拶状の形も、そうした変化の一つと言えるでしょうか。

ブログ主も選択肢に加えようと思っています。

 

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ウォーキング・ロードの草花 '21夏ⅰ

2021-06-09 12:35:11 | 四季

撮ったのは5月下旬、気が付いたら既に6月。でタイトルは夏にした。

       

【千寿菊】開花期が長いが、万寿菊=クジャクソウより短いことから名づけられた。
  メキシコ原産の一年草。《撮影:あぜ道》

    

      

【月見草】メキシコ原産。二年草または多年草。《撮影:生垣》
  太宰治著『富嶽百景』にあらわれる月見草は、実際はマツヨイグサであったとされる。
  花言葉は、”ほのかな恋” “移り気”

 

       

【美女桜】別名:マーベナ。アメリカ原産。《撮影:あぜ道》
  花言葉は、”家族の和合”

  

      

 【学名:サルビア・ウルギノーサ】メキシコ原産。耐寒性多年草。 《撮影:庭草》

    

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帰郷

2021-06-06 14:41:00 | 

著者 浅田次郎

出版 集英社文庫

252頁

  

  

先の大戦の兵隊の戦中戦後の生き様を描いた短編6作の作品集。

巻末の《解説》を、かつて3年間、「コレクション、戦争☓文学」(全20巻+別巻、集英社、2011~2013年)の編集委員として著者とともに作業をした歴史学者の成田龍一氏が書いている。

実によく作者と作品を理解され、個々の作品の概説とそこに投影される作者の心象について触れられている。これから読まれる方は、こちらを先ず、が宜しかろう。

氏は戦争文学の作家としての著者の位置を、斎藤美奈子の腑分けに従って「戦後第一世代」としている。つまり、”父母”が戦争経験者の世代である。ちなみに”祖父母”が戦争経験者を「戦後第二世代」と呼ぶ。この前段階、戦争小説は、その書き手は戦争の経験者が、自らの経験を語るのが王道であった。

解説は書く。「浅田さんが描く戦争小説は、父母の世代ー戦中世代への慰霊であり、そのことが人生の機微を感じさせる。運命を受容しつつ、大義に生きる父母への、「戦後第一世代」としてのメッセージが伝えられている。こうした小説が、非戦を訴えるものとなるのは必然であろう」と。

切なさと温かさと一途さと。時々の浅田小説で私は希望と活力を充填している。

第43回(2016年)大佛次郎賞受賞作。

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いのちの停車場

2021-06-02 17:03:31 | 映画

緊急事態が延長される前に観た。劇場内の観客は熟年夫婦が20組位だったろうか。

 

吉永小百合は、私的にはサユリスト世代に属するが、彼女には優等生過ぎていまひとつ距離を置 いて来た。が、テーマと配役陣、それにコロナ禍という特異状況もあり、観ることにしたのだった。

結果、今どきは数少ない大人の映画として落ち着いて観ることが出来た。85点の及第点。

やはり、脇役に芸達者が揃う映画はいい。いや、吉永小百合が良くないという謂いでは勿論ない。初めての医者役だからか、ぎこちない印象ではあった。もともと不器用な俳優さんなのかも知れない。であれば、ここまで来たのは努力の賜物となる。

     

舞台が金沢というのが気に入った。というよりは、好きな街金沢が舞台だから観る気になったのかも知れない。観た日の夜、この古都に住む友人に電話をした。この映画を薦めたら、いち早く観たという。きっと製作段階から地元で持ちきりの話題だったことだろう。映画の中の金沢、彼は違和感ありという。そういうもの、得てして。

          

小百合の父親役は田中泯。二人は同じ1945年生まれの同年齢。とてもそうは見えない。役者というのは凄い。

広瀬すず。輝いていた。テレビのバラエティ番組やスタジオ番組での印象とは大分違った。活発で言うべきことを言い、メリハリがあってワイルド。これからが楽しみな女優だ。

    

出色は、みなみらんぼう。シンガーソングライター。彼を知ったのは1980年頃。今は亡き畏友から教えてもらったLP『途上にて』だった。曲も詞もサウンドも強烈な印象。暫く追っかけもした。彼は成島監督から出演のオファーがあったとコメントしている。

医院の仲間が集まる酒場=バーのマスターの役。シーンに合わせて急ぎ作った「ステイション」なる曲をギターの弾き語りで歌う場面が一瞬出てくる。ファンには堪らない。そうそう、彼は吉永・田中より一つ年上だった。

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