前号(中山晋平記念館)の続き・・・
まだチラホラの段階の梅花を矯めつ眇めつしながらなだらかな梅園を歩く。
ベンチを拭く桃色の法被姿の女の子。よく見るとリードの先に猿が一尾。きれいに拭き終わった後を猿が歩き回っては、女の子が「ダメダメッ!」とか「降りなさい!」とかやってる場所に出っくわす。幟が立って、地面にはシートが敷かれている。聞けば、「猿回しです。お時間があればやりますけど」と。それから15分間、笑い転げました。
”戦豆の猿まわし”という人猿一体の大道芸人屋さん。いま風にはイベント屋とでも言おうか。
このチームの名は”春らんまん”。春ちゃんとらんま君という姉弟の珍しい組み合わせのよう。
はじめ子猿かと思っていたが、成猿かもしれない。コンビを組んで3年目と口上にあった。
「らんまはまだ学習中です」と春姉さんが語っていたとおりミスが出る。しかし当のらんま君は知らんぷり。その仕草が可愛いく思わず大笑いの拍手。
ひょっとしたらグルになってお客を騙している節をある。
コロナ禍、梅の開き具合も未だという塩梅のなかだが、客も三々五々集まり始めた。真ん前のベンチで砂被りという贅沢。
この日のらんま君の芸は、輪くぐり・ボール乗り・梯子越え・竹馬。
よくイルカ・ショーなどである一芸毎にご褒美というのか餌を与えるという仕掛けは、どうやらラジカセから流している音楽にあるようだ。春ちゃんが股引きから出してはボタンを押して名刺入れ大の器具だろう。
出し物が終わった後に、お礼のあいさつと心尽くしの無尽の笊。記念に戴いたのが会社の名刺とお猿のキーホルダー。
とても印象に残ったペアだったことから、改めて”戦豆の猿まわし”を括ってみて感動したことがあった。社員の猿をまわすお兄さんお姉さん。皆さん一様に「たくさんの人に喜んでもらえる、笑ってる顔を観るのが嬉しい」のでこの仕事を選んだという。猿が好きだからというのが二番目の理由。
「動物園の飼育係や獣医大などを狙っていたが、とても無理。結局この仕事に就くしかなかった。でも今は最高」という内容がホーム・ページに書かれている。是非これは読んでみて欲しいと思わずにはいられない。
いいですね