原題:PRECIOUS;Based on The Novel Push By Sapphire
制作:アメリカ
舞台は、1987年のニューヨークのハーレム。父親にレイプされて2児を産み、母親からは奴隷のように過酷な仕打ちを受けながらも、友達の友情と教師の愛情と、なにより学びたいという自らの意思によって、最悪の環境から立ち上がる16歳の少女のヒューマン・ドキュメント。
16歳の中学生を演じるガボレイ・シディベの存在感に圧倒される。漆黒の皮膚でこれ以上太りようがないほどの重量感。唇を一文字に結び、奥目からジッと射抜く視線。
彼女を虐待する母役のモニークの悪母ぶりも凄まじい。コメディアンだというが、とてもとてもそうは見えない。オスカーの助演女優賞の演技だ。
観たことあるという印象だったのは、カウンセラー役のマライア・キャリー。時代を画した歌姫は、この母子に比べたらエッ!というほどに存在感が希薄だった。彼女のキャスティングが判らない。話題作りのためかしら。
プレシャスを大きな愛情で包む教師・ミズ・レイン役のポーラ・パットンがいい。「最後の恋のはじめ方」に出ていたようだが気がつかなかった。アフリカ系とは意外。教師の彼女がレスビアンというのが、アメリカ映画らしい味付けで洒落ている。
新宿武蔵野館。90席16人。