文化財保護法制定60周年記念の同展に出掛けた。
会場は国立博物館の平成館。
平山郁夫といえば、「西域」「敦煌」或いは「西安」シリーズなど、大作・名作をものした芸術家として、また日中両国の友好に生涯をかけた大物文化人として我が国の歴史にその名を刻印した。
大作もさることながら、これらの下絵、スケッチ類の水彩の小作品群がとても気に入った。
絵葉書からの三作品
奈良・薬師寺の壁画(襖絵)は、平山らしからぬ濃彩色の巨大な作品。実物大で陳列されていたが、ヒマラヤを描いたものは、当薬師寺では本尊とされて、日夜の拝礼の対象になっているという。これも宗教なのである。
敦煌、バーミヤン、アンコール・ワットは、平山が国内外に積極的に働きかけ、自らもおもむき、保護運動に東奔西走した世界の遺跡である。その甲斐あって修復・復興が進んでいる。芸術家もその世界だけに生きるのではない。芸大の学長にまでなった政治力があればこそである。
1時間後、観終わって外は黄昏時。17時の閉館は、文化国家といえるかどうか。我が国の予算に占める文化予算は、赤面するほど少ないし。
気が付けば、薄暮の中にスカイツリーが顔を見せていた。なるほどこれは側で見上げれば高かろう。そう思わせる堂々たる威容ではあった。