■いつか見た青い空
■原作(原案):向田邦子
■脚本:山元清多
■出演
岸恵子、清水美沙、戸田菜穂、椎名桔平、筒井道隆、江波杏子、黒柳徹子
■ストーリ
1945年、長男は出征し、母と3人の娘で暮らす雨宮家。
ある日、ハルという女がやって来たことから、娘・文子は母と見知らぬ男の
関係を知ることになる。そんなとき、海軍中尉の長男、浩一が戦地から帰宅。
浩一は「次に向かうのは沖縄で、生きては帰れないだろう」と文子だけに
打ち明ける。
■感想 ☆☆☆☆
大好きな久世さんの随筆「ニホンゴ キトク」を読んで以来
もう一度見たいと切に願っていたドラマ「いつか見た青い空」が
再放送されていたため、録画しました。終戦60周年記念ドラマです。
向田さん原作の終戦記念ドラマは、どの作品でも女性が主役です。
弱いけれど、守るべきものがあるために強く生きる女性たち。
彼女たちを中心に据え、戦地ではなく、東京の下町で必死に生きる
市井の人々の「戦争」を、そして「終戦」を丁寧に描いています。
何の武器もなく、思想も政治も関係なく、ただ、大切な人を守ること、
そして自分自身が今日を生きることにのみ、注力した名もなき人たち。
空襲も原爆も戦地も兵隊も出てこないこのドラマでは、戦争中であっても
人々には変わりなく日常が訪れること、「死」と隣り合わせてあっても
人々は笑ったり怒ったりするし、恋もするということ、そういった
当たり前の日常が丁寧に描かれています。
彼らの当たり前の日常がいとおしく、そして、それだけに「戦争」と
「終戦」の残酷さとやりきれなさが強く心に残ります。
ドラマのラストは「ニホンゴ キトク」で久世さんが紹介されていた
黒柳さんの印象的なナレーションで締められます。
「あの日の空は青かったと誰もが言います。
何かが終わったのか、それとも、これから始まるのか。
私にはよくわかりませんでした。私たちは四人で青い空を見ていました。
いつまでも・・・いつまでも・・・。
あれから50年経った今でも、あの日の、泣きたいような、
笑いたいような空の色は、私たちの心に焼き付いているのです。」
涙で声を詰まらせながら、万感の想いを込めて語られるナレーション。
語り終わったとき、黒柳さんも久世さんも、そして、その場にいた
スタッフの誰もが目を赤くしていたと書かれていました。
本来であれば録りなおしをしてもおかしくないナレーション。
このナレーションには、どんなに平和教育を受けても、
何度、戦争体験を聴いたとしても、戦争を知識としてしか知ることが
できない私たちに、どうにかして伝えたい、あの頃を残したい
そう願っていた久世さんたちの想いが込められているのだと感じました。
9月12日、この作品の脚本を書かれた山元さんもお亡くなりに
なりました。またひとり、久世さんや向田さんのところへ旅立たれました。
「昭和」がどんどん遠ざかっていくと嘆かれていた久世さん。
そちらはいかがですか?
そちらから見える今の日本は、今の世界はいかがですか?
キトク なのは ニホンゴ だけですか?
■原作(原案):向田邦子
■脚本:山元清多
■出演
岸恵子、清水美沙、戸田菜穂、椎名桔平、筒井道隆、江波杏子、黒柳徹子
■ストーリ
1945年、長男は出征し、母と3人の娘で暮らす雨宮家。
ある日、ハルという女がやって来たことから、娘・文子は母と見知らぬ男の
関係を知ることになる。そんなとき、海軍中尉の長男、浩一が戦地から帰宅。
浩一は「次に向かうのは沖縄で、生きては帰れないだろう」と文子だけに
打ち明ける。
■感想 ☆☆☆☆
大好きな久世さんの随筆「ニホンゴ キトク」を読んで以来
もう一度見たいと切に願っていたドラマ「いつか見た青い空」が
再放送されていたため、録画しました。終戦60周年記念ドラマです。
向田さん原作の終戦記念ドラマは、どの作品でも女性が主役です。
弱いけれど、守るべきものがあるために強く生きる女性たち。
彼女たちを中心に据え、戦地ではなく、東京の下町で必死に生きる
市井の人々の「戦争」を、そして「終戦」を丁寧に描いています。
何の武器もなく、思想も政治も関係なく、ただ、大切な人を守ること、
そして自分自身が今日を生きることにのみ、注力した名もなき人たち。
空襲も原爆も戦地も兵隊も出てこないこのドラマでは、戦争中であっても
人々には変わりなく日常が訪れること、「死」と隣り合わせてあっても
人々は笑ったり怒ったりするし、恋もするということ、そういった
当たり前の日常が丁寧に描かれています。
彼らの当たり前の日常がいとおしく、そして、それだけに「戦争」と
「終戦」の残酷さとやりきれなさが強く心に残ります。
ドラマのラストは「ニホンゴ キトク」で久世さんが紹介されていた
黒柳さんの印象的なナレーションで締められます。
「あの日の空は青かったと誰もが言います。
何かが終わったのか、それとも、これから始まるのか。
私にはよくわかりませんでした。私たちは四人で青い空を見ていました。
いつまでも・・・いつまでも・・・。
あれから50年経った今でも、あの日の、泣きたいような、
笑いたいような空の色は、私たちの心に焼き付いているのです。」
涙で声を詰まらせながら、万感の想いを込めて語られるナレーション。
語り終わったとき、黒柳さんも久世さんも、そして、その場にいた
スタッフの誰もが目を赤くしていたと書かれていました。
本来であれば録りなおしをしてもおかしくないナレーション。
このナレーションには、どんなに平和教育を受けても、
何度、戦争体験を聴いたとしても、戦争を知識としてしか知ることが
できない私たちに、どうにかして伝えたい、あの頃を残したい
そう願っていた久世さんたちの想いが込められているのだと感じました。
9月12日、この作品の脚本を書かれた山元さんもお亡くなりに
なりました。またひとり、久世さんや向田さんのところへ旅立たれました。
「昭和」がどんどん遠ざかっていくと嘆かれていた久世さん。
そちらはいかがですか?
そちらから見える今の日本は、今の世界はいかがですか?
キトク なのは ニホンゴ だけですか?