のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

9月の読書

2010年09月30日 23時25分21秒 | 読書歴
今月はちょうど10冊。少なめです。
なにせ大型連休をいただいて通勤時間が激減したので。
私の読書生活の9割を通勤時間が支えてくれています。

121.しゃばけ/畠中恵
■ストーリ
江戸有数の薬種問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体が弱く、外出も
ままならない。ところが目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃。以来、
猟奇的殺人事件が続き、一太郎は家族同様の妖怪と解決に乗り出す。
若だんなの周囲は、なぜか犬神、白沢、鳴家など妖怪だらけなのだ。
その矢先、犯人の刃が一太郎を襲う。

■感想 ☆☆☆☆
人気があるらしい、盛り上がっているらしいという噂のみ耳にしていた
このシリーズ。ずっと読みたかったのですが、やはりシリーズものは
1作目から読みたいなー、とずっと待っておりました。ようやく遭遇。
うん。こりゃ人気があるのも分かるわ。
情景が鮮やか。登場人物(人物?)が活き活きと動き回っていて
とても魅力的。なおかつ明快なストーリー。面白い!
2作目以降も探さなきゃ。

122.ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。/辻村深月
■ストーリ
「30歳」という岐路の年齢に立つ幼馴染の二人の女性。
都会でフリーライターとして活躍しながら幸せな結婚生活をも
手に入れたみずほと、地元企業で契約社員として勤め、両親と暮らす
未婚のOLチエミ。少しずつ離れていった互いの人生が重なることは
もうないと思っていた。あの「殺人事件」が起こるまでは。
何かに突き動かされるように、警察の手を逃れ、今なお失踪を続ける
チエミと、彼女の居所をつきとめようと奔走するみずほ。
行方を追う中、不可解な事件とその真相が明らかなる。

■感想 ☆☆☆*
様々な選択肢が与えられるようになった現代の女性。自由に未来を
決めることができなかったかつての女性たちから見ると夢のように
自由に自分勝手に楽しく生きていると思う。
けれども、その一方で多くの選択肢を与えられているからこその
息苦しさもあるな、と思う。なおかつ、多くの選択肢が与えられて
いるように見えて、まだまだ女性は多くの制約、目に見えない
何かに縛られているな、とも思う。
この作品では、それらがほんの少しデフォルメされて描かれて
いる。でも、地方都市になればなるほど、「現実」として
存在する問題なのだとも思う。結局のところ、幸せって何なんだろう
と考えさせられる作品だった。

123.宵山万華鏡/森見登美彦
■ストーリ
祇園祭前夜。妖しの世界と現実とが入り乱れる京の町で、次々と起こる
不思議な出来事。登場人物たちが交錯し、全てが繋がっていく連作短編集。

■感想 ☆☆☆*
ぐるぐる作品世界を巡っていくと、そこかしこで登場人物たちが繋がり
その繋がりが少しずつ、作品世界を変えていきます。
さっきの作品で出ていたあの人がこちらの作品ではこんなところに!
なるほど!さっきの作品のあの人は、あのときこんなことをしていたのね!
少し視点を変えることで繰り広げられる新たな景色が面白い。
まさに万華鏡の世界です。
また一編一編の彩りもテイストも異なるため、作品ごとに見える世界が
大きく異なります。そこもまた万華鏡。少し妖しく幻想的なお話あり、
力いっぱい馬鹿らしい話あり、作者お得意の単純明快、妄想大好物の
ヘタレ学生たちの活躍あり、ホラーテイストの話あり、と飽きません。

124.蒲生亭事件/宮部みゆき
■ストーリ
予備校受験のために上京した受験生、孝史は、2月26日未明、ホテル
火災に見舞われ、時間旅行の能力を持つ男に救助された。しかし行き着いた
場所はなんと昭和11年。雪降りしきる帝都、東京では、今まさに二・二六
事件が起きようとしていた。

■感想 ☆☆☆☆*
読み応えのある作品。「タイムトラベル」というSF的要素を取り入れて
いるが、「ありえない」のではなく、「あるかもしれない」「そうかも
しれない」という説得力に満ちた作品となっている。
「この世界で生きること」「今、与えられた世界で自分に正直に
まっすぐに生きること」それらがどれだけ難しいことなのか、そして
どれだけ幸せなことなのかをかみ締めた。

125.かみつく二人/清水ミチコ・三谷幸喜
■内容
すべらない英語ジョークから、もんじゃの焼き方、猫の探し方まで。
「一寸法師」好きの脚本家と、「スッポン」好きのタレントの
笑えるだけでなく役に立つ抱腹絶倒会話のバトル。ラジオ番組の
単行本化第三弾。

■感想 ☆☆☆☆
おふたりとも大好きですから。なんでこういうラジオ番組って
福岡では流れないんだろ・・・。ぜひ生で聞いてみたい番組。
面白いだろうなぁ・・・。
ふたりの声が聞こえてくるような作品です。何も考えずに
ただただ楽しめる作品。

126.黄昏/糸井重里・南伸坊
■内容
南伸坊と糸井重里が、鎌倉、日光あたりを小旅行。
旅のおともは、めくるめく会話、雑談、冗談、比喩。
人生の話からタコの話、嫁の話から天狗の話までヒマをつぶすために
交わされた巧みな言葉たちはちょっとした芸として老若男女に歓迎される。
ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」でじわじわ大反響を読んだ読み物が、
語りおろしをたっぷり収録して書籍化。たっぷりの写真と一緒にどうぞ。

■感想 ☆☆☆*
帯には小学生作家として活躍していた華恵さんからのコメントつき。
このコメントが私の感想とそのまんま重なりました。

おじさん二人の会話は 笑いと発見がてんこもり
ともだちと ふらっと出かけておもしろいことを延々としゃべってる
こんな大人がいたら ついてっちゃうよ

どの写真もどの会話もおじさんふたりがホントに楽しそう。
あぁ。人生はかくあるべしだなぁと微笑ましくなります。

127.塩の街/有川浩
■ストーリ
塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、社会を
崩壊させようとしていた。その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女。
男の名は秋庭、少女の名は真奈。静かに暮らす二人の前をさまざまな人々が
行き過ぎる。あるときは穏やかに、あるときは烈しく、あるときは浅ましく。
それを見送りながら、二人の中で何かが変わり始めていた

■感想 ☆☆☆☆*
有川さんにすっかりはまってしまい、次から次へと借りています。
この作品は恋愛と事件のバランスが私の中でベストでした。
このぐらいのほんのり感がとても好きです。ほんのりと言っても
おさえどころはしっかり抑えているあたりが有川さん。
読み終えて幸せな気持ちになりました。

128.白河夜船/吉本ばなな
■ストーリ
友達を亡くし、日常に疲れてしまった私の心が体験した小さな波。
心を覆った闇と閉ざされ停止した時間からの恢復を希求した「夜」の三部作。

■感想 ☆☆☆☆
友人から久々に「吉本ばなな」という名前を聞き、急に読みたくなって
取り出した作品。私は文章と文章の間の空白から何かを読み取る力が
決定的に欠けているため、短編小説がとても苦手なのですが、唯一の例外が
吉本作品。彼女の作品を流れる独特の時間とリズム、そして美しすぎる
言葉の数々が大好きです。この作品集の中でも人が持っている潜在的な
孤独や悲しみについて、数々の美しい言葉で語られています。

129.氷菓/米澤穂信
■ストーリ
いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集を
ないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた33年前
の真実。何事にも積極的には関わろうとしない「省エネ」少年、折木奉太郎は
なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と
解き明かしていく。

■感想 ☆☆☆
これまた久々の再読。面白いです。
初読時はこの面白さにちゃんと気付けてなかったような。

130.オー・デュポンの祈り/伊坂幸太郎
■ストーリ
コンビニ強盗に失敗し、逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。
江戸以来、外界から遮断されている「荻島」には、妙な人間ばかりが住んで
いた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を
操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。

■感想 ☆☆☆☆☆
これまた久々の再読。そして今月最大の掘り出し物でした。
この作品、こんなに面白かったんだー、ということを今更ながらに知りました。
これだからたまの再読はやめられないのです。本には出会うべきときが
あるんだろうなー、と思うのです。それにしても面白かった。
詩と沈黙、そして花を愛する島の処刑人、桜の生き様にしびれました。
これだけシンプルに生きられたらどんなにかっこいいだろう。