太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

今日が人生最後の日、と思った日

2018-01-14 09:20:35 | 日記
土曜日の朝、職場に車を停めて建物に向かって歩いてゆくと、

マネージャーが、せっかく開けたシャッターや窓をガラガラと閉めていた。

「シロ!ミサイルがハワイにむけて飛んでくるんだって!!」

我が耳を疑うとはこのことだ。

抜けるような青い空、鳥達の大合唱、太陽にきらきらと輝く木々。

この平和とミサイルが、あまりにもかけ離れていて、私は英語を聞き間違えたのかと思った。



私は自分の携帯電話を家に置き忘れてきたので知らなかったが、携帯電話の非常警報が一斉に鳴った。

画面には

『ミサイルがハワイに向けて発射されました。この警報はテストではありません』

と表示されていた。



2018年1月13日 8時7分AM

そうか、今日が私の人生最後の日なんだ、と私は思った。

不思議とパニックはなかった。

私はこの数日不機嫌で、今朝も調子が悪くて寝ていた夫に、わざと優しい言葉をかけずに出てきたことが悔やまれた。

寝る前と別れ際は円満にする。

いつもいつも、このことだけは気をつけていたのに、それを故意にやらない日に限って。

北朝鮮からのミサイルが届くのは、警報が鳴ってからほぼ12分だときいた。

今から家に帰っても間に合わない。

そのミサイルは核爆弾で、どこに隠れたとしても無駄だろう。

核シェルターなどないのだ。




およそ30分後、それは誰かがボタンを押し間違えたミスだとわかった。



ミスだとわかるまでの間、人々はパニックになって赤信号は無視、

子供達をマンホールに入れようとする人達、空港にいる人たちはみんなバゲージルームに集められ、

家族の安否やお別れの言葉を言うために電話回線はパンク寸前。

どうしてこんなことになったのかというと、午前8時が勤務交代の時間で、

勤務を交代した人が一連の操作のテストをする際に、コンピューターのマウスをダブルクリックしてしまったことで

警報が出てしまったということらしい。

人的ミスは誰にでもある。

だが、もし日本で同じことが起きたら、たぶんその人は公務員を辞めなくてはならない状況におかれるのではないか

と私は思うのだが、ここはハワイ。

今朝の新聞に、その ミスをしてしまった人が市長の隣で若干おちゃめな顔をしている写真 が載っているではないか。



スターアドバタイザーより

緑のシャツが市長、その左側がその人。

市長のほうが困ったような顔をしている。


「なにへらへら笑ってンだよ!人騒がせなことしやがって」

と背後の人は突っ込みをいれたいような顔をしている。

ダブルクリックしたあと、コンピューターは「本当に警報を発令しますか」と重ねて聞いてきたのに、それにもクリックした。

ここが日本なら、記者会見の席上で90度の角度で頭を下げるところじゃないか。

せめてもう少し申しわけなさそうな顔でもしたらどうだ。

その人はもちろん辞めることにもならず、左遷もされず、今日は庭でBBQでもやっていることだろう。

いいのか、これで?

まったくゆるいハワイ。

今後は、二人の人間がクリックしないと発令できないシステムに改善したそうだ。





人生が終わらなくてよかったけど。

夫には優しくしようと思った。





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