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斎藤隆夫の第89回帝国議会衆院本会議(1945年11月28日)の質問と下村定・陸軍大臣の答弁から主権者国民が学べる事

2018-11-18 07:32:05 | 帝国議会

 斎藤隆夫は第89回帝国議会衆院本会議(1945年11月28日)で下村定・陸軍大臣に「我が国に於ける軍国主義の発達」について質問している。このやり取りから主権者国民が教訓として知っておくべき事を以下に紹介しよう。

「軍国主義は既に亡びてしまった、「ポツダム」宣言の一撃に遇って根本から亡びてしまった、我々は国家の為にこれ程痛快な事はないのである。唯しかし我々の力に依って軍国主義を打破する事ができず、「ポツダム」宣言、即ち外国の力に依って初めてこれを打破する事ができたという事は、何と弁解致したところで我々政治家、日本政治家の無力を語るものである、しかしこれは仕方がないとしても、元来我が国に於いてはかの満州事変当時より軍人が政治に干渉し、軍国主義者が漸次に勢力を得て、実際に於いては国家の政治に瀝るまで彼等によって左右せらるるに至った事は、これは争う事のできない事実である、而して、この弊害は積もり積もって停止する所なく、遂に今回の戦争を巻き起こし国を挙げて戦争の渦中に投じ、国を挙げて敗戦のどん底に蹴落として我が国今日の惨状を来した、今回の敗戦に依って軍備は悉く撤廃され、軍国主義者は悉く葬り去られる、これがために軍部を統轄する陸海両省も近く廃しせられて国民に別れを告げねばならぬ事になる、それ故にこの際に当たって、苟も軍の代表者たるものは、わが国においてどうしてこういう軍国主義が生まれ出たのか、又どうしてこれを未然に防ぐ事ができなかったのか、どうしてこれを抑圧する事ができなかったのか、そうしてどうして今回の戦争を導いたのか、これらの事について、全国民に一切の真情を説明せらるる必要がある、軍部大臣と相見る事は今回が最後と思うから、あえてこの質問をする……」

 これに対する下村定・陸軍大臣の答弁。「軍国主義の発生については、陸軍としては、陸軍内の者が、軍人としての正しき物の考え方を誤った事、特に指導の地位にある者がやり方が悪かった事、これが根本であると信じます、この事が中外の色々な情勢と、複雑な因果関係を生じて、ある者は軍の力を背景とし、ある者は勢いに乗じて、いわゆる独善的な横暴な処置を執った者があると信じます、殊に許すべからざる事は、軍の不当な政治干渉です、かような事が重大な原因となり、今回の如き悲痛な状態を国家にもたらした事は何とも申し訳がありません、私は陸軍の最後に当たって、議会を通じてこの点について全国民諸君に衷心からお詫び申し上げます、陸軍は解体をします、過去の罪責に対しても私共は今後事実を以てお詫びを申し上げる事、事実を以て罪を償う事ができません、誠に残念ですが、どうか従来からの国民各位のご同情に訴えて、この陸軍の過去における罪悪のために、純忠な軍人の功績を抹殺し去らない事、殊に幾多戦没の英霊に対して深きご同情を賜らん事を、切にお願いします、軍国主義の発生の経緯ならびにそれを抑制し得なかった理由などについて、この議会に開陳せよという斎藤君のご希望、誠に御もっともです、これには慎重の検討を要する事でして、私共もとよりその必要を感じていますが、今議会中に於て、斎藤君のご満足のいくように、具体的に詳細に申し上げられるかどうかはお約束できません」

(2018年11月18日投稿)

コメント (1)
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