剱岳を早月尾根日帰りにて、日本百名山全山登頂を果たした僕は、翌日からの『信越トレイル踏破』に向けて移動を開始していました。
まず信越トレイルとはどんなものか、簡単にお話しますね。
以下、信越トレイルクラブのホームページより。
『長野・新潟の県境に位置する標高1,000m前後の関田(せきだ)山脈のほぼ尾根上に延びる全長80kmにおよぶ国内でも稀なロングトレイルです。
ブナ林に育まれた自然豊なこの山脈は、かつて信濃と越後を結ぶ交通の要所として16もの峠道が存在し、越後からは塩や海産物が、信濃からは内山和紙や菜種油が運ばれ、戦国時代には上杉謙信が川中島の合戦の際に何万もの兵を連れて峠越えをしたとも言われています。
トレイルの整備や維持管理はNPO法人信越トレイルクラブが主体となり、周辺地域のボランティアの方々の協力によって行われています。』
『京都一周トレイル』『大阪/ダイヤモンドトレイル』『美ヶ原高原ロングトレイル』と踏破してきた僕にとって、次の標的は『信越トレイル』になりました。
長大なコースを歩く楽しみは、ただ山頂を往復するのとはまた違った感覚です。
さて、それでは3日間にわたる物語をここに記録していきます。
1日目その1
剱岳の富山側の登山口『馬場島』から北陸自動車道→上信越自動車道を乗り継ぎ、午前1時05分に斑尾高原チロル登山口駐車場に到着しました。
斑尾高原は観光地です。
冬はスキー場で賑わうし、夏はトレッキングや希望湖(のぞみこ)での釣りやボート、マウンテンバイクなどで遊べます。
建物や施設が多く、どこに停めたらよいか分からないのです。30分ほどさまよって、ここだろうというところに駐車しました。
なんせ真夜中ですから、分かりにくいのも仕方がないですね。
急いで寝床を作って横になります。
前日の剱岳日帰りの疲労感が激しく残っているので、筋肉痛を緩和させるための鎮痛剤を服用しました。
予定としては午前3時30分のスタートですが、さすがにそれは睡眠時間が少なすぎます。
前日も1時間半しか寝ていないため、最低3時間の睡眠を摂ることにしました。
午前4時30分目覚まし時計が容赦なく鳴りました。
軽く食事をします。
ザックに水を3.5リットル詰め込みまして、およそ16㎏の重量になりました。
かなり装備を削りましたが、それでもこの重さは身体に食い込むようにのしかかります。
歩き始めたのが午前5時になりました。
予定より1時間30分遅れです。
まず斑尾高原スキー場の斜面を登って行きます。
斑尾高原には20数本のトレイルが整備されており、それぞれにトレイルネームが付けられています。
僕は『かえでの木トレイル』を利用しておよそ1時30分かけて斑尾山山頂へ登りました。
ここが信越トレイルの起点となります。
スキー場の斜面をつづら折りに登りはじめる手前にリフト降り場があります。
そこの管理小屋の前に自動販売機が稼働していました。
しばらく飲めなくなる炭酸飲料を買いました。
思いっ切り飲んで、残りをザックのポケットに入れました。
もう1本買おうかと悩みましたが、重くなるのでやめました。
後々後悔することになるのですが…。
初日の斑尾高原は雲多めの晴れ。
風が強く、夏の低山ハイキングには好条件です。
虫が飛ばされてしまうので、あまり出てこないからです。
低山とはいえ、ここは豪雪地帯です。
木々は雪の重みで根元付近が地を這うように曲がって生えています。
午前6時33分、斑尾山山頂にてひとまずザックを降ろします。
斑尾山山頂は樹林帯の中でした。
それでは信越トレイルのスルーハイクを開始します。
1日目その2へ続きます。