腹に据えかねているほど下らないと思う「新政権批判」が二つある。これらを、自民党も国会で取り上げ、マスコミなどもあげつらっている。
一つは、斉藤次郎氏の日本郵政社長起用や、今度は江利川毅人事院人事官起用への「天下り批判」。もう一つは、国家戦略会議について、「その輪郭が見えない」とかいう批判だ。いずれも「言葉の定義」をわざといい加減にして、為にするように下らない批判だと思う。
まず新政権による「天下り廃止」には、おおむねこんな意味、諸側面が含まれているはずだ。①官僚の再就職口やワタリ口を、②官僚組織を使って我田引水的に提供する。③その代償として、役所から税金などが流れる。④そういう再就職会社などが増殖、肥大化してゆく。などなどだ。
斉藤氏の例などに、上のどういう要件が一体存在するのか? それを「官僚が外郭団体、政府関連会社に就職するのは悪だ」とだけ勝手に定義して、批判しているに近いやり方が横行しているわけだ。こんなのは、言葉の遊びとも言える馬鹿馬鹿しさだと思う。上の要件と一切関係が無く適材適所として元官僚を配してもいけないとしたら、そんなのは逆差別ではないか。そういうポストには、「関心を示す」民間だけがついて良いのかとも、逆に反論したい。
官僚の中にも、こんな人物もいるだろうに。天下り体制とそれを支える主流派を一定でも批判して、彼らから距離を置き、半分無視されてきたような人物である。こういう人物は今や、発掘してでも、重要な地位につけるべきである。首相秘書官の1人も、官僚として功成り名遂げたのに天下りを拒否した変わり者らしい。
国家戦略会議って、そもそも戦略って何かを考えてみると良い。会社などでも短期中期長期の計画があるはずで、最も長期の戦略的計画に関わっては、具体的な形にならない仕事などいっぱいあるはずだ。また、旧政権とは理念を異にする新政権にとって、そここそが大事な部門ではないか。長期的視野を持った優れた組織は「遊びながら情報集めをしているような構成員」を持つべきだとも言われる。そんな大課題を扱う部署が発足わずか2ヶ月で形が分かってしまっては、逆に駄目な組織だとさえ言えないか。
菅直人はまず初めの頃、こう語ったそうだ。
「組閣当夜、国家戦略担当相の就任記者会見で、菅は『すでに仕事の半分は達成できた』と言った。閣僚人事は霞ヶ関に対する最大のメッセージだ」(10月19日毎日新聞)
組閣のための情報集め、つまり、人々の経歴調べや、各省庁当面の改革焦点課題などの情報集めなどは大変な仕事であろうが、誰の目にも見えない。ただし、これが上手くいけば、今後4年の各省庁改革が保障されたも同然となる。
今現在の戦略局重点課題は、4日の毎日新聞によればこれだけあるという。雇用対策、温暖化防止、東アジア共同体の三つ。これらは、首相から戦略局に与えられた特命事項なのだそうだ。いずれも、すぐ目に見えるものを出せる課題とは言えない。それでも緊急雇用対策などは湯浅誠氏も関わった「ワンストップサービス」などどんどん出ている。戦略局が背後で猛烈に働いていても、表面は厚生労働省の仕事として出てくる。
旧政権は、こういう仕事を官僚、特に事務次官会議に丸投げして、首相ですらが何もやらなかったのだろう。その犠牲が、次官会議で一省でも反対する原案は通らないということだった。天下りが無くならない道理である。
「政権の哲学、重要部門理念、その優先順位」 こんなものが目に見えるわけはない。彼らが関わっていても永久に目に見えないとさえ言っても良い。それとも、全ての閣僚、その組織が、目に見えることだけをやれとでもいうのか。そんな内閣ならさぞかし、官僚が喜ぶことだろう。
一つは、斉藤次郎氏の日本郵政社長起用や、今度は江利川毅人事院人事官起用への「天下り批判」。もう一つは、国家戦略会議について、「その輪郭が見えない」とかいう批判だ。いずれも「言葉の定義」をわざといい加減にして、為にするように下らない批判だと思う。
まず新政権による「天下り廃止」には、おおむねこんな意味、諸側面が含まれているはずだ。①官僚の再就職口やワタリ口を、②官僚組織を使って我田引水的に提供する。③その代償として、役所から税金などが流れる。④そういう再就職会社などが増殖、肥大化してゆく。などなどだ。
斉藤氏の例などに、上のどういう要件が一体存在するのか? それを「官僚が外郭団体、政府関連会社に就職するのは悪だ」とだけ勝手に定義して、批判しているに近いやり方が横行しているわけだ。こんなのは、言葉の遊びとも言える馬鹿馬鹿しさだと思う。上の要件と一切関係が無く適材適所として元官僚を配してもいけないとしたら、そんなのは逆差別ではないか。そういうポストには、「関心を示す」民間だけがついて良いのかとも、逆に反論したい。
官僚の中にも、こんな人物もいるだろうに。天下り体制とそれを支える主流派を一定でも批判して、彼らから距離を置き、半分無視されてきたような人物である。こういう人物は今や、発掘してでも、重要な地位につけるべきである。首相秘書官の1人も、官僚として功成り名遂げたのに天下りを拒否した変わり者らしい。
国家戦略会議って、そもそも戦略って何かを考えてみると良い。会社などでも短期中期長期の計画があるはずで、最も長期の戦略的計画に関わっては、具体的な形にならない仕事などいっぱいあるはずだ。また、旧政権とは理念を異にする新政権にとって、そここそが大事な部門ではないか。長期的視野を持った優れた組織は「遊びながら情報集めをしているような構成員」を持つべきだとも言われる。そんな大課題を扱う部署が発足わずか2ヶ月で形が分かってしまっては、逆に駄目な組織だとさえ言えないか。
菅直人はまず初めの頃、こう語ったそうだ。
「組閣当夜、国家戦略担当相の就任記者会見で、菅は『すでに仕事の半分は達成できた』と言った。閣僚人事は霞ヶ関に対する最大のメッセージだ」(10月19日毎日新聞)
組閣のための情報集め、つまり、人々の経歴調べや、各省庁当面の改革焦点課題などの情報集めなどは大変な仕事であろうが、誰の目にも見えない。ただし、これが上手くいけば、今後4年の各省庁改革が保障されたも同然となる。
今現在の戦略局重点課題は、4日の毎日新聞によればこれだけあるという。雇用対策、温暖化防止、東アジア共同体の三つ。これらは、首相から戦略局に与えられた特命事項なのだそうだ。いずれも、すぐ目に見えるものを出せる課題とは言えない。それでも緊急雇用対策などは湯浅誠氏も関わった「ワンストップサービス」などどんどん出ている。戦略局が背後で猛烈に働いていても、表面は厚生労働省の仕事として出てくる。
旧政権は、こういう仕事を官僚、特に事務次官会議に丸投げして、首相ですらが何もやらなかったのだろう。その犠牲が、次官会議で一省でも反対する原案は通らないということだった。天下りが無くならない道理である。
「政権の哲学、重要部門理念、その優先順位」 こんなものが目に見えるわけはない。彼らが関わっていても永久に目に見えないとさえ言っても良い。それとも、全ての閣僚、その組織が、目に見えることだけをやれとでもいうのか。そんな内閣ならさぞかし、官僚が喜ぶことだろう。