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書評 スノーデンが米世界盗聴を告発した時③   文科系

2019年04月27日 07時07分06秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
書評「暴露 スノーデンが私に託したファイル」③  文科系

 この著作は期せずして、こんな点も同時並行で描いていくことになった。

①政府とマスコミ
 マスコミがいかにして「体制内マスコミ」にされているかという手口が描かれている。重大な記事は必ず、事前に関係部局に弁護士を通じたりしてお伺いを立てねば後でどんな不法な報復があるかわからないので闇雲には進めないのだし、このお伺いに対して当局は待ったを掛けてスクープ発表をちょっとでも先延ばしにしようとする。まるでその度合い、お伺いの丁寧さと先延ばし期間の長さとで、そのマスコミが体制的か否かが決まると言えるほどだ。
 スノーデンが英国に本社があるガーディアンとその専属のようなジャーナリストに、告発機会を長く待ってでもあくまでも拘った理由もそこにある。なおガーディアンは、この内部告発発表でピューリツァー賞を受けている。なおガーディアンや著者への報復は、前回に一部述べた通りである。

②告発者への人格攻撃
 これは内部告発者に対して常に必ず、大々的に行われることである。攻撃の強さによって、体制内の程度が分かるというほどに。
『言うまでもなく、スノーデンへの攻撃は熾烈を極めた。そして、その攻撃は奇怪にも同じ類のものばかりだった。(中略)(スノーデン自身のマスコミ告発があってから)数時間後には、スノーデンの性格や動機についての誹謗中傷ゲームが既に始まっていた。彼の行動は信念に基づくものではなく、名声を求めたナルシズムによるものだ、と彼らは口をそろえて唱えた。』

 著名マスコミ人によって実際に発されたスノーデンへのマスコミ発言はこんなものだ。
『ほかの人間より自分が賢いと思い込んでいるナルシスティックな若者』(CBSニュース司会者)
『刑務所行きがお似合いの誇大妄想型ナルシスト』(ニューヨーカー)
『(スノーデンは)男の服をまとった”赤ずきんちゃん”として歴史に名を残し』(ワシントン・ポストのリチャード・コーエン)
『高校もろくに卒業できなかった」「どこまでも孤独な人間」』(ニューヨーク・タイムズのコラムニスト)
『「社会に募る不信、痛烈なまでの皮肉、社会構造のほころび、個人主義に拘泥して他者との関わりや公益のほんとうの意味を理解できない人々」の象徴だ』(同上)
『高校を中退した負け犬』(政治メディア「ポリティコ」)

 因みに、過去の内部告発者では、こんな例もある。
 ニクソン時代にペンタゴン文書を告発したダニエル・エルズバーグ。
『政府はエルズバーグの精神科医の診療室に不法侵入してカルテを盗み、彼の性生活まで調べ上げた』

 ウィキリークスの創始者ジュリアン・アサンジも同じである。
『アサンジは髪を染め、偽名を使ってホテルにチェックインし、ソファや床で眠り、クレジットカードを使わず、友人に金を借りてまで現金払いにこだわる。その振る舞いは横柄かつ奇妙であり、被害妄想に取り憑かれているとしか思えない。今や多くの人々がアサンジは合衆国への復讐を求めているだけだと非難している』(ニューヨークタイムズ記者)


③この告発への世界の反響
 メルケル首相がオバマ大統領に電話盗聴を抗議するなど、世界の反撥があったことは有名だ。
 また、この本自身が世界24ヵ国同時翻訳書刊行という事実によって証明されるように、価値あるものとして世界の話題になっている。
 また、先にも述べたように、スノーデンのこの内部告発シリーズによって英紙ガーディアンはピューリッツァー賞を受けた。


(これで終わりです)
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