ニューズウイーク8月6日号に、「中国との地政学的対決を米国民は望んでいない」という論文があった。同誌コラムニストとあるアメリカの大学教授ミンシン・ペイというお人が書かれた物で、近い将来起こりうる米中衝突のいろんなあり方を説かれている。ここに書かれたいろいろな衝突をご紹介するとともに、この衝突予想が甘すぎるものと僕は指摘したい。ずっと警告されてきたように米中を取り巻く「トゥキディデスの呪い」はここに語られたような甘いものでは決してあり得ないと思う。なお、こんな甘い将来予測をするこの論文だから、この「呪い」からは全く遠いものであって、これをむしろ敬遠しているのであろう。
米中衝突が激しくなれば、この「トゥキディデスの呪い」戦争は、日本という国を沈没させるにも等しい大悲劇になる。日本が今のままなら、米側最前線に立たされることは明らかだから。
さて、この衝突にはこんな「目標」、「その達成の仕方」などなどの様相があるという。
一つは衝突の目標。「特定の政策や行動を改めさせること」とか、この目標がもっと進むと「貿易戦争」とか、「経済的封じ込め」、「経済冷戦」とかに発展するという。さらには「軍事的封じ込め」に始まって、「体制変革まで目指す」となれば、これはもう「トゥキディデスの呪い」。そして今現在でさえトランプ周辺にはこんな程度の声なら多いと、報告している。
「中国をグローバル経済から切り離せという強硬論が強いが、その戦略は有効なのか、そもそも、それは実行可能なのか」
さて、こういう諸目標、やり方を、アメリカはどこまでやるつもりか。こういう場合に旧大国が黙って退くことはないから血みどろの戦いになるというのが、古代ギリシャのトゥキディデスが「実証」した歴史の予言のような「呪い」。古代ギリシャでアテネが新興スパルタに敗れたその理由を描いた実証的研究成果なのだと聞いてきた。
さて、僕はこの衝突にかけるアメリカの思いは以下の末尾に示すように根深く、凄まじいものと観てきたから、この論者が言うような安易な予測などは到底認められない。この論文がこんな安易すぎる結論を述べている。
『民主主義国である以上、強力な地政学上の敵対国と長期にわたり対立を続けようと思えば、政府は国民に情報を提供し支持を得る必要がある』
嘘の理由で「国民を熱狂させて」開戦したイラク戦争一つ取っても、この国にはもうこのような「民主主義的戦争抑止力、自制力」などが働いているとは、僕には到底思えなくなっている。なぜか。
アイゼンハウアー大統領が戦後間もなく警告、予言したように、それよりもはるかに大きくもう産軍複合体の天下になって、これがさらにこの40年ほど米金融と結びついた寡頭政治になりはてて、民主主義は実質機能などしていない。例えば、この流れに逆らって国連重視を説いたケネディが彼らに殺されている。冷戦集結後にはさらにこれが酷くなり、21世紀に入って、アフガン、イラク、シリアと、次々と戦争を引き起こしてきた。
加えて、金融資本主義、株主資本主義は、物作り資本主義を世界的に包摂しつくすまで止まらないという宿命のような方向性を持っていると考える。そして、この世界包摂の道が閉ざされたら、滅びるしかないものとも。米の中国に対する好戦性とは、その様な生死を賭けた闘争になると考えてきた。ただし、本当の戦争になるかどうかは別問題。今は国連やその「正義」も無視できないのだし、だからこそアメリカは戦前の日独のようには国連を抜け出さないのだし、今の戦争は一歩間違えれば地球が破壊される。今時のどんな国家指導者が、ヒトラーをはるかに凌駕するようなこんな歴史的汚名を引き受けることができるか?! だからこそ、衝突を仕掛ける方のアメリカが、この衝突に勝利するのは至難と観る。かといって、何もしないで外って置けば、世界の物作り、有効需要が中国周辺にどんどん集まり、創造されていくだけであって、その貿易の累積黒字分によって金融戦争にも物作りがない米はやがて負ける運命にある。ドイツのGDPを追い越したといわれるGAFAの株式時価総額を動員しても対策無しという時代が来るだろう。
こんな時に「普通の国」になろうなどと大音声している日本の首相は、一体、何を考えているのか? もっとも彼は最近「日本はもう終わりだ」とふれ回っているようだが、まさか米中「トゥキディデスの呪い」の最前線に立つつもりなのでは??
米中衝突が激しくなれば、この「トゥキディデスの呪い」戦争は、日本という国を沈没させるにも等しい大悲劇になる。日本が今のままなら、米側最前線に立たされることは明らかだから。
さて、この衝突にはこんな「目標」、「その達成の仕方」などなどの様相があるという。
一つは衝突の目標。「特定の政策や行動を改めさせること」とか、この目標がもっと進むと「貿易戦争」とか、「経済的封じ込め」、「経済冷戦」とかに発展するという。さらには「軍事的封じ込め」に始まって、「体制変革まで目指す」となれば、これはもう「トゥキディデスの呪い」。そして今現在でさえトランプ周辺にはこんな程度の声なら多いと、報告している。
「中国をグローバル経済から切り離せという強硬論が強いが、その戦略は有効なのか、そもそも、それは実行可能なのか」
さて、こういう諸目標、やり方を、アメリカはどこまでやるつもりか。こういう場合に旧大国が黙って退くことはないから血みどろの戦いになるというのが、古代ギリシャのトゥキディデスが「実証」した歴史の予言のような「呪い」。古代ギリシャでアテネが新興スパルタに敗れたその理由を描いた実証的研究成果なのだと聞いてきた。
さて、僕はこの衝突にかけるアメリカの思いは以下の末尾に示すように根深く、凄まじいものと観てきたから、この論者が言うような安易な予測などは到底認められない。この論文がこんな安易すぎる結論を述べている。
『民主主義国である以上、強力な地政学上の敵対国と長期にわたり対立を続けようと思えば、政府は国民に情報を提供し支持を得る必要がある』
嘘の理由で「国民を熱狂させて」開戦したイラク戦争一つ取っても、この国にはもうこのような「民主主義的戦争抑止力、自制力」などが働いているとは、僕には到底思えなくなっている。なぜか。
アイゼンハウアー大統領が戦後間もなく警告、予言したように、それよりもはるかに大きくもう産軍複合体の天下になって、これがさらにこの40年ほど米金融と結びついた寡頭政治になりはてて、民主主義は実質機能などしていない。例えば、この流れに逆らって国連重視を説いたケネディが彼らに殺されている。冷戦集結後にはさらにこれが酷くなり、21世紀に入って、アフガン、イラク、シリアと、次々と戦争を引き起こしてきた。
加えて、金融資本主義、株主資本主義は、物作り資本主義を世界的に包摂しつくすまで止まらないという宿命のような方向性を持っていると考える。そして、この世界包摂の道が閉ざされたら、滅びるしかないものとも。米の中国に対する好戦性とは、その様な生死を賭けた闘争になると考えてきた。ただし、本当の戦争になるかどうかは別問題。今は国連やその「正義」も無視できないのだし、だからこそアメリカは戦前の日独のようには国連を抜け出さないのだし、今の戦争は一歩間違えれば地球が破壊される。今時のどんな国家指導者が、ヒトラーをはるかに凌駕するようなこんな歴史的汚名を引き受けることができるか?! だからこそ、衝突を仕掛ける方のアメリカが、この衝突に勝利するのは至難と観る。かといって、何もしないで外って置けば、世界の物作り、有効需要が中国周辺にどんどん集まり、創造されていくだけであって、その貿易の累積黒字分によって金融戦争にも物作りがない米はやがて負ける運命にある。ドイツのGDPを追い越したといわれるGAFAの株式時価総額を動員しても対策無しという時代が来るだろう。
こんな時に「普通の国」になろうなどと大音声している日本の首相は、一体、何を考えているのか? もっとも彼は最近「日本はもう終わりだ」とふれ回っているようだが、まさか米中「トゥキディデスの呪い」の最前線に立つつもりなのでは??