随筆 どうなるのか S・Yさんの作品です
今更ながら世の中の変化には驚かされることばかりの昨今。
病院へ行けば問診は窓口でタブレットを渡される。検査センターなどの待合室は、皆一様に俯いてタブレットを指でなぞっている。すべてコンピューターの指示で動いている患者。近代的といえばそうなのかもしれないが、私には異様な光景にみえる。
昔はよかった、などというつもりはない。昔、半世紀以上も前は不便な暮らし、不衛生な生活、質素な食生活、決して快適ではなかった。そんな不便な暮らしを、時に懐かしく思うのは多分、私が歳をとったからだろう。
しかし、病院によってはすごい量の質問事項がある。体調が悪くて行っているのだから、タブレットの画面を長時間見ていると目眩がして病状が悪化しそうになる。おまけに腹立たしいのは、常識的なことはパスして終了すると、コンピューターがやり直せと文句を言ってくることだ。例えば、現在妊娠中ですか? などと繰り返し訊いてくる。七十歳近い年齢は登録しているのに、ほんとにコンピューターは融通が利かない。バカだ。おまけに私が行っている病院は、玄関の傘立てまでがダイヤル式の四桁の違う番号を二回合わせないと鍵が掛からない仕組みになった。無事鍵がかかったとしても番号を忘れたらアウト、傘は取れなくなる。大半の患者が戸惑っている。
もっとも驚いたのは行きつけの美容室で、シャンプーが全自動になった。まるで食器洗い機か洗車機の中に入った気分で爽快ではない。どこもかしこも人手不足なのか、この先いったいどこまでコンピューターのお世話になっていくのだろう。
今更ながら世の中の変化には驚かされることばかりの昨今。
病院へ行けば問診は窓口でタブレットを渡される。検査センターなどの待合室は、皆一様に俯いてタブレットを指でなぞっている。すべてコンピューターの指示で動いている患者。近代的といえばそうなのかもしれないが、私には異様な光景にみえる。
昔はよかった、などというつもりはない。昔、半世紀以上も前は不便な暮らし、不衛生な生活、質素な食生活、決して快適ではなかった。そんな不便な暮らしを、時に懐かしく思うのは多分、私が歳をとったからだろう。
しかし、病院によってはすごい量の質問事項がある。体調が悪くて行っているのだから、タブレットの画面を長時間見ていると目眩がして病状が悪化しそうになる。おまけに腹立たしいのは、常識的なことはパスして終了すると、コンピューターがやり直せと文句を言ってくることだ。例えば、現在妊娠中ですか? などと繰り返し訊いてくる。七十歳近い年齢は登録しているのに、ほんとにコンピューターは融通が利かない。バカだ。おまけに私が行っている病院は、玄関の傘立てまでがダイヤル式の四桁の違う番号を二回合わせないと鍵が掛からない仕組みになった。無事鍵がかかったとしても番号を忘れたらアウト、傘は取れなくなる。大半の患者が戸惑っている。
もっとも驚いたのは行きつけの美容室で、シャンプーが全自動になった。まるで食器洗い機か洗車機の中に入った気分で爽快ではない。どこもかしこも人手不足なのか、この先いったいどこまでコンピューターのお世話になっていくのだろう。