入院中に、僕が今最も気になっていることを書いてみた。日本の人々の生活のため、孫子のためにということなのだが、僕の友人の方々には、一度ぜひ読んでほしいものとして。時間がないので、ミスも端折りも多かろうが、お読み願えれば幸いである。なお、入院生活はあと一週間は続くだろうが、抗癌剤の副作用が吐き気など強く出て、ちょっと辛い。階段上りはやっている。今日も、ゆっくりと11階からB1に降りて用を足し、18階まで登ってまた11へ戻ってきた。
正しい知識は構造をなすといわれるが、これは日本の政経、国民生活を見、考える場合も同じことだ。社会・世界全体をより根本的・長期的に規定する要素と、短期にすぎぬ要素、その中間の要素などなどがあるからである。そして人には、目前の要素はわかりやすいが、遠いのは馴染みにくくて知りにくい上に、世界も人びとも目前の困難対処に迫られる激動の時代では、なおさらこれは見えにくくなる。こういう時の政治がまたさらに、こんなことが強調されるから、社会は一種の悪循環に陥っていくものだ。
「現実的」と称される目の前の保守、わが国だけのことが目に入っていれば、いわゆるグローバリゼーション経済の本質、株主利益最大化方針資本主義も、米中争覇も見えてこない。が、このふたつはそれこそ日本の社会・世界全体の生活を、より根本的に規定する要因になってきた。それも大変悪い方向へ。ネットなどで政治を論ずる老人は、時間だけはあるのだからこれを論じないでどうすると、僕はずっと言いたかった。
さて、米中争覇は、日本の政経、国民生活をめぐる最大問題になっていくだろう。同時にこの問題は、現行の新自由主義経済グローバリゼーションの最大原理・株主利益最大化方針資本主義の世界市民生活的改善に向けて不可欠な一例「金融取引税の世界的設定」をめぐっても、これを死守したいアメリカが中国と対立するところだ。なんとなれば、中国は自分のモノづくりを米資本に基本的に支配させないだろうからである。アメリカにこれができなければ、米中争覇は中国の勝ちだ。世界のモノ作りは中国にどんどん集まっているのだから、その金をGAFAMらが奪えなければ、米世界争覇継続はありえない。
米日中をめぐるアジア、アセアンなど諸国の動向を見ても、ウクライナ・ロシア戦争を見るにつけても、アメリカ情報ばかりが我が国を席巻しているとわかる。それだけに、最近の新聞などにもやっと流れ始めた「アジア諸国の中国寄り情報」とか、ウクライナ戦争のBRICS側情報とかは、貴重なものだと思う。日本の老人の政治論議は、今これにも目を向けるべきではないか。日本を規定してきた世界情勢要素、グローバリゼーションが、今こういう史上ろくなことがなかった「ブロック経済」時代にはっきりと入ってきたということなのだから。
ウクライナ情報最初の例がこれ。ロシア・ルーブルは全然下がっていないどころか上がっている。ウクライナ以前1ドル75ルーブルだったが、戦後一時150ルーブルに下がって、今は53ルーブルに上がりなおした。中国やインドがロシア原油などを超大幅に買いましたからだ。ちなみにここで、中国にインド、そしてインドネシアを加えると、将来世界の一般消費のどれだけ分になるのかを考えてみればよい。世界最大のマーケットは中国圏の中なのだとも言える。
そしてさらに、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで形成するBRICSに、アルゼンチンなどが加盟を申し出ているという。
次に、そのインドネシアなども含めた東南アジア諸国はそういう中国に近づき、むしろアメリカには警戒している。そもそも東南アジアで対ロ制裁に加わったのはシンガポールだけだったし、その多くが「日米以上に中国がパートナー」と振舞っているという情報も広がり始めた。むしろ「アセアンが団結して米中圧力を排し、中立の立場で」と繰り返してきたと、27日の朝日新聞にあった。
これが当たり前のアジアの認識になっているのは、ウクライナ戦争よりもはるかにひどかったイラク戦争、アフガン戦争や、それ以上に「アジア通貨危機というアメリカの世界的搾取」などをよく覚えているからだろう。庶民はともかく、一国の政経にかかわるほどの人々なら、当然の認識といえる。僕はもう、アメリカの世界覇権は守れないと思う。
日本でノーベル経済学賞にもっとも近かった人物の一人、森嶋通夫も晩年の20世紀のうちから、こう提言してきた。
「日本はアジアにこそその将来を求めるべきだ」
日本が今のまま株主利益最大化方針資本主義でアメリカについていけば、その覇権維持の手段にされ、やがて捨てられるだけだろう。それは、東芝の今などを見てもわかるはずだ。
正しい知識は構造をなすといわれるが、これは日本の政経、国民生活を見、考える場合も同じことだ。社会・世界全体をより根本的・長期的に規定する要素と、短期にすぎぬ要素、その中間の要素などなどがあるからである。そして人には、目前の要素はわかりやすいが、遠いのは馴染みにくくて知りにくい上に、世界も人びとも目前の困難対処に迫られる激動の時代では、なおさらこれは見えにくくなる。こういう時の政治がまたさらに、こんなことが強調されるから、社会は一種の悪循環に陥っていくものだ。
「現実的」と称される目の前の保守、わが国だけのことが目に入っていれば、いわゆるグローバリゼーション経済の本質、株主利益最大化方針資本主義も、米中争覇も見えてこない。が、このふたつはそれこそ日本の社会・世界全体の生活を、より根本的に規定する要因になってきた。それも大変悪い方向へ。ネットなどで政治を論ずる老人は、時間だけはあるのだからこれを論じないでどうすると、僕はずっと言いたかった。
さて、米中争覇は、日本の政経、国民生活をめぐる最大問題になっていくだろう。同時にこの問題は、現行の新自由主義経済グローバリゼーションの最大原理・株主利益最大化方針資本主義の世界市民生活的改善に向けて不可欠な一例「金融取引税の世界的設定」をめぐっても、これを死守したいアメリカが中国と対立するところだ。なんとなれば、中国は自分のモノづくりを米資本に基本的に支配させないだろうからである。アメリカにこれができなければ、米中争覇は中国の勝ちだ。世界のモノ作りは中国にどんどん集まっているのだから、その金をGAFAMらが奪えなければ、米世界争覇継続はありえない。
米日中をめぐるアジア、アセアンなど諸国の動向を見ても、ウクライナ・ロシア戦争を見るにつけても、アメリカ情報ばかりが我が国を席巻しているとわかる。それだけに、最近の新聞などにもやっと流れ始めた「アジア諸国の中国寄り情報」とか、ウクライナ戦争のBRICS側情報とかは、貴重なものだと思う。日本の老人の政治論議は、今これにも目を向けるべきではないか。日本を規定してきた世界情勢要素、グローバリゼーションが、今こういう史上ろくなことがなかった「ブロック経済」時代にはっきりと入ってきたということなのだから。
ウクライナ情報最初の例がこれ。ロシア・ルーブルは全然下がっていないどころか上がっている。ウクライナ以前1ドル75ルーブルだったが、戦後一時150ルーブルに下がって、今は53ルーブルに上がりなおした。中国やインドがロシア原油などを超大幅に買いましたからだ。ちなみにここで、中国にインド、そしてインドネシアを加えると、将来世界の一般消費のどれだけ分になるのかを考えてみればよい。世界最大のマーケットは中国圏の中なのだとも言える。
そしてさらに、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで形成するBRICSに、アルゼンチンなどが加盟を申し出ているという。
次に、そのインドネシアなども含めた東南アジア諸国はそういう中国に近づき、むしろアメリカには警戒している。そもそも東南アジアで対ロ制裁に加わったのはシンガポールだけだったし、その多くが「日米以上に中国がパートナー」と振舞っているという情報も広がり始めた。むしろ「アセアンが団結して米中圧力を排し、中立の立場で」と繰り返してきたと、27日の朝日新聞にあった。
これが当たり前のアジアの認識になっているのは、ウクライナ戦争よりもはるかにひどかったイラク戦争、アフガン戦争や、それ以上に「アジア通貨危機というアメリカの世界的搾取」などをよく覚えているからだろう。庶民はともかく、一国の政経にかかわるほどの人々なら、当然の認識といえる。僕はもう、アメリカの世界覇権は守れないと思う。
日本でノーベル経済学賞にもっとも近かった人物の一人、森嶋通夫も晩年の20世紀のうちから、こう提言してきた。
「日本はアジアにこそその将来を求めるべきだ」
日本が今のまま株主利益最大化方針資本主義でアメリカについていけば、その覇権維持の手段にされ、やがて捨てられるだけだろう。それは、東芝の今などを見てもわかるはずだ。