青山学院の駅伝監督として有名な原晋氏が、クレディ・スイスの債券を多く買っていて、この度そのすべてがご破算になったと公表した。破産したクレディスイスがスイス最大の銀行に吸収された事はよく知られているが、この合併でクレディの債券までは救済されなかったのである。このことに関連して、一つ前の金融破綻、リーマンショックの時のことで思い出がある。まず、あれが、サブプライムバブルが弾けたと言われたのは、こういうことだった。
貧乏な人に借金をさせて住宅を売り、その借金債券を安全で高い利子があるような債券と一緒に組み合わせてサブプライム証券という金融商品として売りだしたのだ。やがて「社会福祉にもなる夢の商品で、これがどんどん売れて、超大型バブルを形成していった」ということになるのだが、これの破裂があのリーマンショックの震源地となった。さてその時、日本の小金持ち法人なども大損を被ったわけである。例えばこの愛知県でも、少なくとも三つの大学がそれぞれ当時何十億という金を失った事は有名な話として、僕も知っている。あの時にこの大学のような「ご破算」が日本全体の金持ちたちの間でどれだけ起こったことだったか!
さて今の時代、金融で大損した話は、社会にもっと広めるべきだと思う。冒頭の原晋監督のようにふるまうのは、これが社会福祉になるというと笑い話のようだが、実際にそうなのだから仕方ない。
最後に、ある種の金融は、こんな事の繰り返しで儲けてきたという証拠になる旧稿を、一つ紹介しておこう。
サブプライムバブルが弾けたのは08年だが、これと同じ証券の正体を既に20世紀末に暴いていた本がある。このブログではサブプライムバブル弾けを06年ごろから予告しているが、その関連で紹介したこんな本だ。「フィアスコ(日本語で大破綻という意味)」という米投資銀行・モルガンスタンレーの元トレイダーが出版したもので、この主内容はこういうものだ。
『日本財界が2週間で7500万ドルをパクられた話』
この本の内容紹介が当ブログにあって、2007年01月21日のエントリーになっている。興味のある方はお読み願いたい。書き出しを以下に紹介するがこういうもので、この拙稿への行き方はこうする。右欄外の今月分カレンダーの下「バックナンバー」部分をスクロールして「2007年1月」をクリック。上のカレンダーがその月分に替わるからその21日をクリックすると、エントリー本文欄がその日のエントリー分だけに替わるから、お求めのものがお読み願える。
『 95年2月27日イギリスの名門銀行ベアリングズ社が倒産した。シンガポール支社の28歳のデリバティブ・トレーダーが10億ドルの損失を出したことが原因である。イングランド銀行が主要銀行に呼びかけて緊急救済検討会議を持ったが、「白紙の小切手にサインすることと同じ」という事態であると認定して、救済を断念。この倒産が、ベアリングズ社に貸していた日本の銀行の焦げ付きや、デリバティブ損失絡みの東京株式市場暴落(14ヶ月続いた)やをもたらし、日本企業の春の決算期は粉飾の必要に迫られていた。従来保守的であった日本企業にたいして、米デリバティブ・セールスの絶好機到来なのである。「手っ取り早く儲けて」損失を隠したがっていた日本企業に「歴然たる詐欺を働いているよう」なデリバティブが、さー売れるぞ! 著者は語る、「誰が実際にベアリングズ社に金を貸していたかかが分かったときの至上の喜び!」!
モルガンのある上司の言葉 「われわれは死に物狂いのクライアントを愛し、彼らを見ると興奮する。われわれは必死の人々からたくさんの金を稼がせてもらってきた」(以下略)』