たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

『グレート・ギャツビー』

2017年05月13日 23時19分26秒 | ミュージカル・舞台・映画
 現実逃避の息抜き時間、電車の中にしっかり傘忘れてしまい、こんな時なのに新しいものを購入せざるを得ませんでした。せっかくなのでキャトルレーヴで買ってしまいました。ちょっと悔しいですが仕方ない。日生劇場で、17時開演夜の部を観劇、何か月も前、働いていた時に購入したチケットでイープラスと三井住友VISAカードの合同貸切公演でした。席番ひとつちがいで井上さんのサイン入りプログラムがあたるところでしたがお隣の方でした。残念・・・。

 舞台は宝塚風な仕上がりでした。ダンスの場面、遠目には燕尾服の男優さんたちは男役にみえてしまうし、女優さんたちは娘役にしかみえない。特に前半は雪組の舞台がよみがえってくる、よみがえってくる。デイジー「女の子はきれいなおばかさんがいい」、デイジーの妹「カメオのブローチ、もらえないわね」、ギャツビーがニックにシャツを羽のように披露していくところなどなど、きりがありませんが雪組思い出し過ぎ、ニックがゴルフのクラブで愛は打てないって歌うところなんか、一路さんの声が鮮やかによみがえってきて聴こえてきたような気すらしてしまったし、マートルも鮮やかに雪組よみがえり。フィナーレナンバーがあったらいいのにって思っちゃいました。燕尾服の男優さんたちにまじって男役さんたちに踊ってほしいぐらいだし、井上さんが羽根しょって大階段おりてきてほしいぐらいな感じでした。井上さんの歌声、スーツとコートの着こなし、ラストの背中がお見事でした。髪型もギャツビーになりきり。ねねちゃんディジーすごくきれい、田代さんニック、広瀬さんトム、蒼乃さんマートル、それぞれ適役でした。ギャツビーはなんと不器用な生き方しかできなかった男なのか、最後はちょっと涙でした。お葬式にギャツビーのお父さんがやってくるところもめっちゃ雪組思い出し。最後もね、ああこうでした、こうでした、っていう感じでした。

 しばし現実逃避の時間でした。現実を考えると孤独とみじめさに打ちひしがれそうになっているので今夜はもう考えるのをやめて休むことにします。観劇日記はあらためてまたいつか書ければと・・・。

 写真は東宝の公式HPよりお借りしました。

『ロミオ&ジュリエット』_1月28日アフタートーク

2017年05月13日 14時32分29秒 | ミュージカル・舞台・映画
 1月28日(土)夜の部、17時30分開演を観劇、終演後にWロミオ:大野拓郎さん、古川雄大さん、WDeath:大貫勇輔さん、宮尾俊太郎さんによるアフタートークショーが行われました。4カ月も前のことになってしまいました。記憶がかなりあやふやになってきていますが、ようやくわたし自身のための思い出し備忘録。

 
 夜の部でロミオをつとめた大野さんはカーテンコールのロミオの衣装で登場、昼の部でロミオをつとめた古川さんは仮面舞踏会の場面の赤い衣装のロミオで登場。司会は1月19日のアフタートークショーと同じく大越さんという女性のライターさん。自分に一番近い端っこに坐る方は今までみんな圧がすごかったですと。この日はたしか宮尾さんでした。大貫さん、大野さん、古川さん、宮尾さんの順で登場だったと思います。椅子に座るときに華麗にターンされたのは大貫さんだったかな。さすがの美しい立ち居振る舞いでした。それを真似してターンしながら坐ろうとした古川さんが椅子から落ちそうになって大野さんに支えれていたかな、たしかこの日も長い脚をもてあますように坐られていました。宮尾さんって、清史郎君と『ヤマトナデシコ七変化』で共演した方なんですね。最初全くわかっていませんでした。わたしが観劇したのは三回ともDeathは大貫さんだったので残念ながら観劇する機会はありませんでした。このアフタートークショーだけ。バレエの方なので、カーテンコールでバレエを踊りたいって話されていたかな。断片的な思い出し。

 大貫さん、「死Deathもその日その時によって感情が違ってくる。最後にロミオとジュリエットの死を十字架から見つめている時もその日によって感情は違ってくる。」「大野さんは自分から死に寄ってくる感じ、爆発力がある。古川さんは死から逃れようとしている感じ、安定感がある」と話されたのは宮尾さんだったかな。

 大野さん、「安定感なくてすいません、僕自分のことでいっぱいいっぱいなんです」って言った時の表情と仕草が可愛いワンコみたいでした。古川さん、「拓郎はさまーずに例えれば大竹さん、自分はさまーずの三村さん。」さまーずがわからないので逆だったかもしれません。

 古川さん、「2012年の『エリザベート』でトリプルキャストでルドルフを演じたあと、二人でさまーずの舞台を観に行ったというエピソードは他でも話していますが、楽屋に挨拶に行った時、自分の舞台の初日よりも緊張した」とかしなかったとか。

 Wロミオのじゃれあっている仲良しっぷりがかわいいアフタートークショーでした。古川さんを頼りにしている感の大野さんの可愛かったこと。古川さんは二度目のロミオで余裕と安定感を持ちながらも、新鮮さを失わないロミオ、大野さんはご本人のキャラクターがそのまま役に現れているような瞳がキラキラの少年のようなロミオでした。すでに書いていると思いますが登場シーンで舞台を振り返った時の瞳がほんとにキラキラしていたんですよね。ずっと印象に残っています。
 
 まだまだあったような気がしますが、思い出し日記、とりあえずようやく書けました。まだまだロミジュリもフランケンシュタインの観劇日記も書けないまま、心のエネルギーチャージに次の舞台の観劇へ。

 写真は、『ロミオとジュリエット』公式ツィッターよりお借りしました。左から宮尾俊太郎さん、大貫勇輔さん、大野拓郎さん、古川雄大さん。
 
 ロミオと死Deathで思い出されるのは、「僕は怖い」と、ジュリエットが亡くなったと思い込んでいるロミオに死Deathが劇薬を売り渡す場面のダンス、背中合わせの時はお互いの動きがみえていないはずなのに見事にシンクロ。息を呑むようなダンス場面でした。

『就職・就社の構造』より_各業界有力三四社の幸口評価_杉田望(1)

2017年05月13日 08時24分23秒 | 本あれこれ
「各業界有力三四社の幸口評価

杉田望(すぎた のぞむ)

 1943年生れ。早稲田大学文学部中退。「重化学工業通信』元編集長。ハイテク産業や通商問題などの評論のほか、経済小説に「小説・半導体戦争」や最近作『香港密約」などがある。


就職戦線の虚と実 

 六月ごろから大手町や丸の内界隈では例年のように、1992年も同じ光景が見られた。男子学生は紺かグレーのスーツ、女子学生の場合も決まって上下お揃いの紺かグレーの、いわゆるリクルート・ルックというやつで、企業訪間が始まるのだ。テレビがカメラを向けると、Vサインを返してくる。明るく屈託がない。偏差値の後遺症というべきか、そこには有名大学から有名企業にまっしぐらにつき進む 未来のビジネス・エリートの姿がある。しかし、就職戦線を闘うのは有名大学の学生だけではない。実をいうとい丸の内や大手町で繰り広げられる就職戦線とは、ちょっと様相のことなる、もう一つの就職戦線がある。そこには有名でもない大学の学生と、これも有名でもない企業の人事担当者との間で繰り広げられている就職戦線だ。マスコミも彼らを注目するようなことはない。

  だが、これからの日本経済を担うのは彼らなのである。というのも、彼らは日本の労働力市場でマジョリティを占めるということだけではなく、企業社会の中にあってはもっとも頼りになる働き手と期待されるからだ。その意味でいうならば、むしろ大手町や丸の内で繰り広げられているのは、少数派の就職戦線ということになるのかもしれない。そのことはちょっとデータをみればわかることで、企業の数からいえば、東証に一部上場するような有名企業というのはごくわずかだからだ。大半の企業は従業員300人以下の中小企業。大卒も高卒も 大部分の人間は、その中小企業を職場に選ぶ。それに比べると、有名企業出身の学生というのはほんの少数なのである。どういうわけか、就職シーズンになると、丸の内界限に出没する彼らの存在が大きく クローズアップされ、就職戦線というと彼らのことのように扱われる。だが、そこで演じられる学生と企業側との攻防というのは茶番にすぎないのだ。

  有名大学の一つ 、東京大学工学部の学生を例にとるならば、こういう具合である。たとえば、A君の場合だと、既に三年の夏休みに入る前には就職を決めている。同学科の学友のほとんども、大学院に進学するとか、公務員の道を選ぶとか、東証一部の重機械メーカーに就職するとか、あるいは銀行に就職するとか、各々これから歩むべき道を決めている。もちろん、主任教授や先輩たちのひいきがあってのことだが、あとは卒業に必要な単位を修得し、たとえば、大学院に進学するような学生は卒業論文を作成するため実験に明け暮れ、卒業を待つ 。

  これに対して、有名でない大学のB君の場合はどうか……。B君は東京都下の文系大学の学生。今年は「厳しい」と就職担当から聞かされていたが、それにしても、大学4年の夏を過ぎても、まだ就職は決まっていなかった。もちろん、丸の内界隈の有名企業を訪ねてみた。B君はそこで、有名大学と有名でない大学を、有名企業はどのように扱うか、同じ大卒でも、天と地ほどの違いのあることを思い知らされるのだった。

  まず「 指定校」という壁に阻まれる。面接どころか、書類さえも受け取ってはくれない。ようやく面接までこぎつけたとき、もう一度屈辱を味わう。有名校の学生は昼食つきの面接。B君が受けた面接というのは、B君と同じような有名でない大学の学生を大勢集めた、広い講堂での集団面接だった。それをやるのは形式であり、企業側の人事担当者も採用するつもりのないことを露骨に態度で示す。いって みればマスコミから「 指定校」制度を批判され、それでしかたなくやっているという態度だ。だから会社説明もお座なりで、もちろん、質問もいっさい受け付けない。それで「面接」なるものは10分あまりで終わった。バカにされたというよりも、なんだか、アリバイ証明のために利用された、というのがB君が抱いた率直な感想である。

  話をA君にもどそう。4クラス120人のうち、たとえば、名門のM重工業に3名、競合するH製作所に3名、電気通信系のF社に3名、都市銀行に4名、大学院進学7名、通産省の研究所に1名と通産行政に3名という具合に見事に割り振られ、結局100%がきちんと納まっている。いつもとちょっと違うのは経済の低迷を反映してか、公務員志望者が若干名増えたことくらいか……。そのことを除けば、 ほぼ例年通りに定数配分が行われている。要すれば、どの企業にどれだけ学生を配分するか、この学科にはいわば「 就職先カルテル」というべきものが存在しているのだ。

  B君がようやく就職を決めたのは、10月半ばに入ってからのことだった。採用を決めてくれたのは機械工具を取り扱う従業員200人という中堅の専門商社だ。B君は指を折って数えてみる。有名企業を含め中小企業など企業訪間したのは実に67社。それでもB君は恵まれた方だといえるかもしれない。クラスの仲間で就職を決めていないのはまだ20%ほど残されているからだ。とくに厳しかったのは女子学生。クラス仲間のC子の場合も、まだ就職を決めていない。就職活動を通じて、B君が改めて実感できたのは、有名企業が広く門戸を学生に開いているというのはまったくのまやかしであったことだ。受験の足切り、指定校制度、推薦制度などにより、非有名大学の学生や女子学生は事実上排除されている。だから「就職戦線」というのは二つの面がある。一つはいわゆる有名大学から有名企業への就職。もう一つはB君のようないわゆる非有名大学から中小企業や非有名企業への就職である。

  B君が戸惑ったのはもう一つ、有名企業の情報は山ほどあるのに中小企業の実態についてほとんど情報らしい情報がなかったことだ。自分の将来を決める就職だ。だから選ぶ会社のことはよく知っておきたいし、納得のできる就職をしたいと考えるのは人情というものだ。中堅の機械工具の専門商社の場合だと、会社の募集要項には、所在地、資本金、売上高、取扱品目などが示されているだけで、得意とする英語を生かすことができるかどうかなど、さっぱりわからない。もっとも知りたいのは、やはりこの企業の生い立ちであり、自分の性格にマッチするかどうか、この企業の企業風土のことだった。それだけに面接のときB君は真剣だった。

  B君の経験が示すように、有名大学の学生たちは「青田刈り」の対象になり得ても、非有名大学の学生は、地を這う就職活動を余儀なくされる。このことは非有名企業は有名大学の学生を採れないことを意味し、逆に非有名大学の学生は自分の希望する企業や職業から事実上排除され、だから人材配分の社会的不公平が起こり、学生の職業選択の自由が脅かされる。

  それでもB君はがっかりなどはしていない。識者もマスコミも、決して触れることのない就職戦線の虚と実……。そのことを就職活動を通じてわかっただけでも、大学のカルテル制度で就職を決めたA君に比べれば、これから社会で生きていく上でB君には大きな収穫であると思えたからだ。

  こうした実情を踏まえた上で、いわゆる大企業をウォッチングしてみた。企業は個々に特異性をもつが、こうした有力企業を眺めてみると見えてくるものがあるのではない だろうか。 なお、各社冒頭のデータは、本社所在地・ 資本金。 従業員数。平均年齢。平均賃金は東洋経済新報社 『会社四季報』95年春季号、大卒初任給は日本経済新聞社『 日経会社情報』九五年春号に従い、いずれも1994年9月期のものである。ただし、西武百貨店は日本経済新聞社『流通会社年鑑1994』、日本生命保険・ 朝日新聞社・日本経済新聞社は日本経済新聞社『会社総鑑1994』に従い、いずれも1992年度のものである。」

各企業評価の文面は続いていきます。
これずっと書きたかったです。2017年の現在も繰り広げられている光景の基本は同じなのではないでしょうか。こうして大企業に就職・就社したものの、最速1年未満、数年で去っていく若者に、13年間の間にぞろぞろと出会いました。日本株式会社は、いつまで若者にこんなことをやらせるんでしょうか。


(内橋克人・奥村宏・佐高信編著『就職・就社の構造』岩波書店、 1994年3月25日第1刷発行、 163‐167頁より。)


就職・就社の構造 (日本会社原論 4)
クリエーター情報なし
岩波書店