

2017年5月29日、雪組ライブビューイング_終わりはきっとあらたな始まり
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こちらの記事の続き。ようやく思い出し日記。早いものであっという間に二か月近くが過ぎようとしています。わたしこの時には今の就労場所で働くことが決まった直後だったんですね。その少し前までは社会から孤立しているのがつらかったし、働き始めたら通勤からして大変でなんだかもっと時間が流れたようが気がします。いよいよ明日は東京宝塚劇場、千穐楽。トップコンビのほんとにほんとのさよならで日比谷は大変なことになったことになっているでしょう。わたしはライブビューイングのチケットの抽選に外れてしまったので、こうして思い出し日記。ライブビューイングのあとツィッターをめぐる旅をしていて、トップコンビの仲良しぶりが伝説になっていることを知りました。その是非はともかく、SNSと映像配信によって、スターさんの素顔が身近に表に出るようなりました。その分、舞台を離れてもスターでいることが求められるようになってきたのかな。時代は変わりましたね。
舞台は『幕末太陽傳』と『DramaticS』の二本立て。昼と夜の二回公演をこなし続けるタカラジェンヌの精神力と体力はほんとにすごい。毎回毎回心身をけずるようにやっていらっしゃるんでしょうね。でも笑顔、余裕をもってやっているようにみえる。夢をあたえてくれる。それが宝塚。6月に『CLUB SEVEN』を観劇した時、細い体で男性と同じに歌い踊り、全く息切れしていないタータン(香寿たつきさん)と蘭ちゃん(蘭乃はなさん)の体力はすごいと思いました。
『幕末太陽傳』はフランキー堺さんが主演した日活映画の舞台化。古典落語のエッセンスを取り入れた軽妙な日本物のお芝居。佐平次のナレーションからスタートします。
「時は幕末、文久二年、世の中いよいよ喧しい(かまびすしい)時代。
北の吉原と並び称された南の品川宿に、その海鼠(なまこ)壁から土蔵相模と呼ばれた旅籠「相模屋」があった。
その相模屋に、ある日佐平次(早霧せいな)という町人がぶらりとやってくる。そして、豪勢に芸者を呼び大尽遊びに興じるが・・・実はこの男、懐に一銭も持ち合わせていなかった
・・・。翌朝、堂々と居残りを決め込んだ佐平次は、番頭や若い衆顔負けの仕事ぶりで相模屋を駆け回り、次々起こる騒動を持ち前の度胸と才覚で解決していく。板頭への返り咲きをねらう女郎おそめ(咲妃みゆ)や、異人館焼き討ちの計画を練る高杉晋作(望海風斗)ら長州藩士たちとも交友を深めた佐平次は、いつしか廓の人気者となるのだが・・・。」
(プログラムより)
早霧さん演じる、居残りを決め込んだ佐平次のすっとぼけぶりが軽妙で芝居心たっぷり。「煤(すす)払いでさあ」っていって長州藩士たちの部屋に入っていくときの台詞回しも小気味よかったです。佐平次がひょいっと飛び跳ねる場面がなんどかあったのですが、早霧さんの身軽さが不思議な感じでした。身体能力が高いということですね。びっくり。小柄でないとやれないですね。飛び跳ねる姿は佐平次のキャラクターがそのまんま映し出されているように感じました。日本物の鬘と衣装がほんとにお似合い。サヨナラ公演の題材としてはどうかしらという感じもありましたが日本物の雪組、芝居の雪組の伝統を受け継いだ集大成の舞台になってよかったのではないでしょうか。
咲妃さん演じるおそめはしたたかに生きる女郎。ライバルの女郎こはるにライバル心をむき出しにして、本気でとっくみあいの喧嘩をする場面、貸本屋の金蔵をだまして心中に誘いこむ場面など芝居心がありつつとっても可愛くて印象に残っています。文楽の心中もののように白装束をまとい、金蔵に一緒に心中するようにみせかける場面、古典落語がもとにあるそうですがむずかしいと思います。金蔵を沈めて自分はちゃっかり生き残っていくしたたかさが小気味よかったです。花魁の華やかな衣装もよくお似合いでした。色っぽさとかわいらしさ、こんな役ができる方なんですね。これで終わりはちょっともったいない。ライバルの女郎こはるを演じた星乃さんもすごくきれいな方だと印象に残りました。同じく退団されてしまうとのこと、もったいないですね。おそめに騙された知り化けて出てくる金蔵もちょっと可哀そうでしたが、すごくいい味が出ていました。演じられた鳳翔さんも退団とのこと。もったいない感じがしますが惜しまれつつ退団していくぐらいがいいですかね。
望海さん演じる高杉晋作は女郎こそでの部屋で三味線弾きながら歌をうたって登場。横顔が鼻筋通っていてすごく美しかったです。こそでとなさぬ仲であるような、ないようなところを感じさせる間が絶妙。遊んでいるふりをしながら、長州藩士たちと異人館焼き討ちの計画をを練っているときの表情はきりっとなって切り替えも上手く、芝居達者な望海さんの持ち味がよく出ていると思いました。
物語の終盤、佐平次、おそめ、高杉晋作の3人が銀橋で明日への希望をうたう場面がありました。宝塚の舞台ならでは。望海さんが二番手で支えきたからこそ成立してきた早霧さんと咲妃さんのトップコンビなのかな。『星逢一夜』の三人の芝居のぶつかりあいはすごかったですもんね。
登場人物が多いので雪組メンバー総動員という感じで、たぶん今まで大きな役がつかなかった方たちもそれそれのキャラクターがしっかりある役がついていた感じで、さまざまな人間模様を織りなしながら、笑いをさそいつつ、舞台全体があったかくしっかりとしていました。
舌ったらずで、まだ途中ですがとりあえずこれでおしまい。日中部屋にいたらちっそくしそうになったので、外へ放浪の旅に出てようやくここまで書けました。


(舞台写真はすべて宝塚ジャーナルから転用しています。)




