たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

宙組『ホテル スヴィッツラ ハウス』-ライブ配信(4)

2021年06月17日 19時31分40秒 | 宝塚
宙組『ホテル スヴィッツラ ハウス』-ライブ配信(3)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/beaa5a31fb0f4e200022ee945237e6c3

2021年5月5日(水)
宙組 『Hotel Svizra House ホテル スヴィッツラ ハウス』 梅田芸術劇場公演
16時30分~ライブ配信

 画面を通して想いよ伝われとばかりに、観客のいない客席に向けて全身全霊で舞台を届けたジェンヌさんたち、目の前の公演が中止となりこの一回にかけた心中はいかばかりのものか思うと涙がにじみます。エピソードがたくさんちりばめられていたので、少しずつまた振り返り。

「2幕1場-混沌本番3日前-

ホテルに集う人々の様々な想いが交錯し、それぞれの人物が、外向きの為の顔と、内に秘めた真相を抱えている-。公演に参加するはずの人物の到着を待ち侘び、不安といら立ちを隠せないヘルマン、アルマ、ユーリー・・・。一方ロベルトは、上官リチャードから自らもスイスへ赴くとの連絡を受ける。突然のリチャードの訪問をいぶかしみながらも、彼は“ウィリアム・テル”にほぼ間違いないと思われる人物を突き止めたと報告する。」

 全員が煙草を手にしながらダンスをするという大人な場面、ロベルト@真風涼帆さんは言うに及ばず、ヘルマン@キキちゃん(芹香斗亜さん)もアルマ@遥羽ららちゃんも喫煙者でした。タカラジェンヌの煙草をもつ姿は、指の先までいかに美しくかっこよくみせるか研究しつくしているので素敵です。ナウオンステージで、合わせるまでが大変だったという真風さんの話。全員があったらこの上もなく素敵な場面になりました。宝塚では珍しい振付だったように思いますが、宝塚をみているのだという満足感。

「1幕9場-パリからの手紙(1)-

 ロベルトがニーナを追ってバルコニーへやって来る。彼女は、パリから届いた親友シルヴィの手紙に心乱し、稽古に集中出来ずにいた。ニーナはパリ・オペラ座で大きなチャンスを目の前にいながら、劇場を占領していたナチス将校たちの前ではどうしても踊る決心がつかず、バレエ団を辞めてしまったのだ。自分の代わりに成功を収め、ドイツ兵との恋に心躍らせるシルヴィに複雑な感情を抱くニーナ。」

「2幕6場-ただ今この時を-

浮かない表情のニーナを気遣うロベルト。彼はニーナの親友シルヴィがある出来事に巻き込まれ、二度と踊れなくなったこと、そして最愛の人を失くしたことを聞く。」

 シルヴィ@春乃さくらちゃん、ドイツ兵オットー@聖叶亜くんの存在が目をひきました。下級生のひとりひとりにいたるまで、生徒全員に役名をつけて生かしきるのも、座付き演出家の役目。こうして外箱で役がついたところから成長していくの宝塚。春乃さくらちゃん2016年入団、聖叶亜くん2019年入団、これから注目していきたと思います。宙組生、層が厚い。

「1幕7場-4日目-

ロベルトはかつて彼が敬愛していた上司であり、スパイ容疑で処刑されたネイサンの娘、エヴァと再会する。」

 エヴァ@小春乃さよちゃん、ロベルト@真風涼帆さんにとってはキーパーソンでした。ネイサンが処刑された真相を追及しようとするロベルトに対して偶然再会した時は拒絶していたエヴァが、終盤父の名誉を回復したいと、逮捕される直前ネイサンから託された腕時計をロベルトに渡すことで真相が明らかになりました。小春乃さよちゃん、『アクアヴィーテ』のエトワールから気になる存在。大劇場公演ではかなり緊張していたようにみえましたが、東京公演ではのびのびと美声を響かせていたました。芝居での存在感がぐっと増したように思います。ラディックとの二役でネイサンを演じた紫藤りゅうくんの演じ分けもお見事。拷問される場面ほんとに痛そうでうますぎました。

 ロベルトの上官リチャード@美月悠さんが実は裏切り者で女性スパイ“ウィリアム・テル”への恋慕を止められず敵国と通じていた、その事実に気づき、真相を追及しようといたネイサンはリチャードにより口封じに処刑されたというストーリーであっているかな。絡み合う人間関係を理解して整理するのがちょっと大変でしたがなんとかついていくができていたと思います。

 ロベルトがスパイキャッチャーであるという面は物語が進むにつれて弱くなり、サスペンス的な要素は前振りほどではなかったように思いますが、サスペンスが主眼ではないのでこれでよかったのかな。明日がわからない第二次世界大戦の中で、自分の想いを大切にしながら懸命に生きようとする人々の姿を映画のように描いた舞台。公演プログラムの色調もかつてのハリウッド映画のようで素敵です。ホテルの支配人@松風輝さん、この方が舞台にいるだけで安心できるという存在感。副組長としては若いですが納得の人事かな。



 「真実」と書いて「おまえ」と読ませる生田先生。26日初日の大劇場公演、芝居もショーもすごく楽しみで心は大劇場に飛んでいきたい。




 21日は月組大劇場千穐楽、ライブ配信、見送り続けていますがたまきちとさくらちゃんのサヨナラショーがあるのでこれは許そうと思います。こんな時何が大切なのか、ウエクミ先生の世界に触れたいです。


旅の思い出写真-アルプス登山電車

2021年06月17日 07時50分42秒 | ドイツロマンティック街道とスイスアルプス
旅の思い出写真-アルプス登山電車
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/1b20dc3ad2e2cecb93c0b2b29acb4f1d

「アイガー北壁、ヨーロッパ三大北壁の一つ、私たちのあこがれの的。

 ヒマラヤ鉄の時代。ハーケンを打ち、アブミを使い、手と足を使うだけではどうしても登ることのできない垂直を超えた世界、この世界が存在する以上、それを見たい。

 幾多の山々の頂が、人々によって踏まれつくされても、それらの行程はそれぞれの一つの線でしかない。つまり頂は一つであってもその行程は千差万別、そのなかで、より魅力的な道こそ、私たちの求めるところ。

 あこがれの北壁、アイガーと、垂直を超えた世界へのあこがれが、私たちの仲間の中で結びついたのは1968年の夏のころからだった。

 近代登山の進歩とともに世界の山々はつぎつぎに登られた。そして世界一高いヒマラヤのエベレストも1953年、イギリス人ヒラリーとネパールのシェルパ、テンジンによって征服された。ある一部の人たちは、これで世界の山に未知の世界はなくなったという。

 たしかに、この地球上ではもう、高さを求める意味でのパイオニア・ワークはすでにこのとき終止符を打ったといえる。

 しかし、山という自然は、そんな簡単に、その全容を人間にあかしてはくれないものだ。同じ山の、同じ道さえ、登るたびに、そこにはいつも目新しいものが待ちうけている。その道が遠かったらなおさらのこと、さらにそれが、新しい場所であれば、この山は想像することもできなかった別の魅力を展開してくれる。山とはそんなものだと思う。だから私はそれを見たい。」

「アイガー北壁は日本的な山だ。黒い湿った岩肌、青白く光る雪面、一日じゅう日の当たらない陰気なその岸壁は、きりに巻かれた夜明けの谷川岳一の倉沢にも似ている。それが第一の印象だった。」

(今井通子『続私の北壁』、昭和57年11月20日第一刷発行、朝日新聞社)

 20歳前後の頃だったと思います、まだ郷里で暮らしていた時、今井通子さんの公演を聴いたことがあります。壇上に現れた時歩幅が広く背筋まっすぐ、颯爽としていて素敵でした。この頃山への漠とした憧れを抱いていました。アイガー登頂の隊員のお一人だった加藤保夫氏の『雪煙をめざして』も、今は手元にありませんが読んでいました。20年以上の時を経て、登山電車でアイガーのお腹を通り抜けた時は、なんとも不思議な感覚でした。二度と戻らない時、この頃を振り返ってみると今また居場所を見つけられたとしてお給料はこの頃の半分、だからプリンス・エドワード島にも三度行くことができました。つらくてつらくて仕方なかったですが、だから自分から辞めるとは言えませんでした。その自分をこれ以上責めることはもうやめようと思います。こうしてヨーロッパにもカナダにもアメリカにも行くことができました。だらかそれはそれでよかったのです。アルプスの山々、この世にいる間にもう一度出会うことはないでしょう、この時しかありませんでした。後悔はありません。

 15年ぐらい前山歩きをしていた時期がありました。トレッキングシューズ、ザックなど、今井通子さんのご主人が開いた登山用具専門店のカモシカスポーツで購入しました。トレッキングシューズ、この旅にも持参し登山電車に乗る時履きました。真冬のカナダを往復した時も持参して、雪のモントリオールを歩くのに役立ったかな。何年も使っていないのでザックの内部はごわごわ、シューズの底はすっかりはがれてしまいました。シューズは革のしっかりしたものなのではり直せばまた履くことができます。いつかまたこの世にいる間にカモシカスポーツではり直してもらって、その時と仲間と山歩きを楽しみたいという密かな思いがずっとあります。そんな穏やかな時が訪れてほしいです。