たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

『赤毛のアンに隠されたシェイクスピア』より-登場人物の名はシェイクスピアのパロディ-「物語の舞台アヴォンリーは、シェイクスピアの生地」

2022年04月21日 18時53分23秒 | 『赤毛のアン』

赤毛のアンに隠されたシェイクスピア』より-『アン』の妖精について
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/ac3063546e49deb1c259aa61c3177149




「『アン』の舞台は、カナダのプリンスエドワード島にある小さな村、アヴォンリー(Avonlea)だ。

 アヴォンリーという地名は、島にはない。実際にモデルとなったのは、キャベンディッシュという村で、アヴォンリーという地名は、モンゴメリの創作だ。英語の辞典、百科事典にも出ていない。

 ここで思い当たるのは、ウィリアム・シェイクスピアの生まれ故郷、ストラットフォード・アポン・エイヴォン(Stratford-upon-Avon)だ。これは「エイヴォン川のほとりのストラットフォード」という意味の地名で、イングランド中部のウォリックシャー州にある。ストラットフォードという地名は、比較的よくある名前で、イギリスはもちろん、今ではカナダ、アメリカのもある。そこでシェイクスピアの生地といえば、ただのストラットフォードではなく、「エイヴォン川のほとり」と特徴づけられる。

アヴォンリー(Avonlea)は、この生地のエイヴォン川(Avon)に、leaをつけた変形ではないだろうか。leaとはイタリア語的な変形とも読めるし、またleaは英語では、草原、草地をあらわす詩的な言葉だ。
 もちろんモンゴメリは、エイヴォン川を知っていたはずだ。ハリファックス大学ではシェイクスピアについて学び、『アン』を書く前に全集もそろえているからだ。

 アヴォンリーが、シェイクスピアの生地ストラットフォード・アポン・エイヴォンだとすると、『アン』の物語はすべて、シェイクスピアが生まれ育った有名な故郷の上で、くり広げられることになる。シェイクスピアの生地は、モンゴメリのような英文学愛好家にとっては聖地さながらの土地だ。シェイクスピア自身もまた、自分の故郷を、芝居の舞台イメージとして書いている。

 シェイクスピアは、人生の歓び、怒り、悲しみ、愉しみ、そして栄華盛衰を劇的に描いた。モンゴメリは、1911年に新婚旅行で渡英したとき、シェイクスピアの生地を訪れている。モンゴメリはその生地を『アン』の舞台に定め、草原を示すleaをつけたことで、「エイヴォンの草原」を『アン』の舞台装置として創り上げ、シェイクスピアさながらの物語性に満ちた作品を書こうとしたのだ。大作家にちなんだ名付けからは、モンゴメリの作家としての志が感じられる。ちなみに、エイヴォンとは、もともとは古いケルト語で、川という意味である。

 アン・シャーリー最後の巻『炉辺荘のアン』の末尾にも、生地はとりあげられている。この巻末では、アンは近いうちにイギリスに旅立とうとしている。そこで、「シェイクスピアが眠るエイヴォン川のほとりの教会」へ生き、そこにふりそぞぐ月の光を見るであろう、という一節がある。つまりアン本人がエイヴォン川ほとりの生地へ行くのだ。

 ストラットフォード・アポン・エイヴォンへは、私も1994年に行ってみた。街の中央をエイヴォン川がゆったり流れ、ほとりには、彼が埋葬されている聖トリニティ教会がある。近くに彼の正家跡、晩年をすごした家が残されている。そしてエイヴォン川に面したロイヤル・シェイクスピア・シアターという劇場で、喜劇『十二夜』を観た。少し郊外へ出て、シェイクスピアの妻アン・ハサウェイの実家へも行ってみた。立派な豪農の屋敷だった。 」

(松本侑子著『赤毛のアンに隠されたシェイクスピア』、62-64頁より)








イギリスへの旅の思い出-ストラットフォード

2022年04月21日 00時01分23秒 | イギリスへの旅
イギリスへの旅の思い出-オックスフォード⇒ストラットフォード
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/4eb179a513027b06f325e6c5efa345cd


 ストラットフォードはシェイクスピアの生まれ故郷、劇場前で撮ってもらった写真、自分が写ってしまっているのでアップしませんが、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)の劇場があります。

 ミュージカルファンにはお馴染みになったレ・ミゼラブル』オリジナル版演出のジョン・ケアードさんは、RSCの名誉アソシエート・ディレクター。2011年の『レ・ミゼラブル』プログラムによると、シェイクスピア等の古典から新作まで20本以上の作品を手がけています。



「旧演出のレミぜは白黒、アンティーク、暗いと言われたのは、照明も小さな劇場で使うようなシンプルで地味なもの、光をかなり落としていた。演出家のジョン・ケアードのこだわり。シェイクスピアの手法をとりいれている。さすが、ロイヤルシェイクスピアカンパニーの演出家・・・」


2013年9月27日の朝日カルチャーセンターでの、バルジャン役吉原光夫さんのお話でした。
『レ・ミゼラブル』オリジナル版
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/20464872ca3653dfff849dab9a708e4a



(2011年『レ・ミゼラブル』帝国劇場公演プログラムより)
「ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)は、創立以来100年を超える歴史をもつ、イギリスの国立劇団である。シェイクスピア生誕の地ストラットフォードと、ロンドン市内バービカン劇場にて、計5つの劇場を運営するほか、世界中でツアー公演を行っている。俳優はもとより、演出・美術・照明・衣装などの製作部門にいたるまで、現代最高のスタッフをかかえている。」


 ストラットフォードの劇場、ググってみると、残念ながら現在はコロナにより休業となっているようです。伝統の灯りが消えませんように・・・。

 いつかこの世にいる間に、言葉はわからなくても本場の劇場でシェイクスピア劇をみてみたいものです。いつか、いつか。もう叶うことのない願い。


ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーのプログラム(1992年)
























お土産店の包装もシェイクスピアでした。