ピエトロ・ダ・コルトーナ
(1597-1669)
《聖母の誕生》
1643年以降
油彩、カンヴァス
171×123cm
(公式カタログより)
「《聖母の誕生》は、ローマ・バロックの大画家のひとりであるピエトロ・ダ・コルトーナによって制作された。本作品はベルージャのサンタ・マリア・ヌォーヴァ教会のために構想され、1643年に引き渡された、より大型の絵画をピエトロ自身が複製したものである。聖母誕生のエピソードは聖書では言及されていないため、外典の物語に由来する。とはいえ、おそらく、この画家に可愛い娘の誕生という幸せで魅力的な逸話を表わす機会を提供した点で、このテーマは確かな図象的成功を収めた。
本作品で、キリスト教においてきわめて重要な人物である聖母マリアの誕生を、ピエトロ・ダ・コルトーナは魅力的な家庭の場面として描いている。マリアの母アンナは左奥で横になり、幼児(頭をとり巻く星のみがその特別な本性を示している)は構図の中央で産着にくるまれている。このくるむ仕草は絵画全体に基調を与え、「聖なる単純さ」をもたらしている。とはいえ、この要素は本作品の描写を特徴づける壮麗さを消し去るものではない。宮廷風の設定に加え、銀の壺、済んだ水の入った水盤、庭園などの小道具の豪華さ、そして若い女性の纏う衣服の華麗さは、我々に強い印象を与える。聖母の誕生を、画家は王女の誕生として描かずにはいられなかったのだ。
場面に登場する女性は、皆、似通った雰囲気を醸し出し、特異な表情をしている。それは驚くべきことのようにも思われるが、実のところ、ピエトロ・ダ・コルトーナのこの特性(彼は生涯にわたって、個体差なく輝く、同種の美を表わそうと工夫を凝らした)は、対抗宗教改革の一環としてはきわめて適切なものである。ピエトロ・ダ・コルトーナの描く人物たちは、わかいやすい魅力をもち、難解でないため、単純かつ直接的な感動を通して宗教心をもたせるための、理想的な仲介者となっている。」
(1597-1669)
《聖母の誕生》
1643年以降
油彩、カンヴァス
171×123cm
(公式カタログより)
「《聖母の誕生》は、ローマ・バロックの大画家のひとりであるピエトロ・ダ・コルトーナによって制作された。本作品はベルージャのサンタ・マリア・ヌォーヴァ教会のために構想され、1643年に引き渡された、より大型の絵画をピエトロ自身が複製したものである。聖母誕生のエピソードは聖書では言及されていないため、外典の物語に由来する。とはいえ、おそらく、この画家に可愛い娘の誕生という幸せで魅力的な逸話を表わす機会を提供した点で、このテーマは確かな図象的成功を収めた。
本作品で、キリスト教においてきわめて重要な人物である聖母マリアの誕生を、ピエトロ・ダ・コルトーナは魅力的な家庭の場面として描いている。マリアの母アンナは左奥で横になり、幼児(頭をとり巻く星のみがその特別な本性を示している)は構図の中央で産着にくるまれている。このくるむ仕草は絵画全体に基調を与え、「聖なる単純さ」をもたらしている。とはいえ、この要素は本作品の描写を特徴づける壮麗さを消し去るものではない。宮廷風の設定に加え、銀の壺、済んだ水の入った水盤、庭園などの小道具の豪華さ、そして若い女性の纏う衣服の華麗さは、我々に強い印象を与える。聖母の誕生を、画家は王女の誕生として描かずにはいられなかったのだ。
場面に登場する女性は、皆、似通った雰囲気を醸し出し、特異な表情をしている。それは驚くべきことのようにも思われるが、実のところ、ピエトロ・ダ・コルトーナのこの特性(彼は生涯にわたって、個体差なく輝く、同種の美を表わそうと工夫を凝らした)は、対抗宗教改革の一環としてはきわめて適切なものである。ピエトロ・ダ・コルトーナの描く人物たちは、わかいやすい魅力をもち、難解でないため、単純かつ直接的な感動を通して宗教心をもたせるための、理想的な仲介者となっている。」